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第一部:第3章(グーサノイド城下)
12.ニコ・キヴィサロ
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城下に店を構える一軒のタバコ屋――もとい、魔術師協会のグーサノイド支部にて。
主たるニコ・キヴィサロは、慣れない手つきで茶を注ぎ、戦きながら差し出していた。ぎこちない仕草だった。体の使い方を忘れてしまったように感じていた。強張った筋肉はいう事を聞かず、震える喉が呼吸を阻害する。ぼんやりとして遠く感じる世界で、カップを受け取った少女が、深くうなずいている。そうして、重々しく、宣告するのだ。
「まずい」
苛立ちを叫びに込め、頭をかきむしった。「勘弁してくださいよ! こちとら気楽な一人暮らしが長いんです。優雅なティータイムなんぞに縁はないんです!」
「まあそれは良いとして」
「あなたが入れろって言ったんですよ!?」
「うん、良いとしてね。ニコ君はこの国に暮らし始めてどれくらいだっけ」
ニコは不満を隠さなかったが、どう考えても勝ち目はなかった。「…3年になりますね」
クロエは全く動じず、まずいお茶をすすっている。「ここ、変わった国だと思わない? 先輩の意見を聞いてみようと思って」
「先輩…」とつぶやき、満更でもない様子だ。「そうですね。まずもって、魔術師協会の仕事がゼロっていうのが異様ですね」
「それはニコ君がさぼってるからじゃなくて?」
むっとして床を蹴る。「否定はしませんがね。ただ、付け加えさせて頂きますと、私はこの3年で一度も魔術師に会っていません」
「…それほんと?」
「本当です」
「なら確かに、魔術師相手の仕事なんてないね。…でも、大規模工事とか災害現場派遣とか、国からの要請はあるでしょう?」
「ありません」
「…なんで?」
「知るもんですか。頼まれもしないものを押し売りに行くほど、やる気のある魔術師ではありませんので」
そうは言いつつ、大いに不貞腐れている。3年も無視をされれば、いくら都合が良くてもプライドが傷つく。クロエは首をかしげた。
「じゃあノア君…ノア・バルティルス国王陛下の印象は」
ニコはますます不機嫌になり、ぷいと顔を背けてしまった。「残念ながら、ご尊顔を拝する栄誉には預かっていません」
「ええ…」さすがのクロエも良い顔はしなかった。「でもさ、ニコ君はここの唯一の職員なんでしょう? ということは、支部長格で着任してるよね。挨拶は必須なんじゃない?」
「私の常識でもそういうことになってますが、前任者が不要だと。新入りへの嫌がらせかとは思ったのですが、とっとと協会とおさらばしたいので乗ってやったんです。…残念ながら、今のところお咎めはありませんね」
「お気の毒に」
ニコは椅子を引きずってきて、クロエの正面にかけた。「でも、私も興味があるんです。ノア・バルティルスとは、一体どういう人間なんです?」
「私もそれが知りたい」
頬杖をつき、眉間をしわくちゃにする。「3年間、魔術師との交流はありませんでしたが、街の人間とは良い関係を築いてきたつもりです。それでも、彼らには踏み込ませない一線があるんです」ニコは身を乗り出す。「――ひとつは、ノア・バルティルス。もうひとつは、過去です」
「過去?」
「そう、過去の出来事です!」
「たとえば」
言葉がのどでもみくちゃになり、ニコは興奮に身震いした。
話し相手を得たことは、自身で思っているよりも、ずっと喜ばしい出来事だった。彼には友人もいて、居場所もあった。それでも、余所者だった。彼の疑問は、発見は、どこにもはけ口がなかった。それが今、ようやく対話者を見つけた。
「この国、10年前には相当荒廃していたって知ってます? 実際ひどい状況だったようです。グーサノイドへの入国前に、聖サティリス王国側の国境で聞き込みをしたんです。長年、グーサノイドからの難民に、悩まされていたようですよ。流れてくる人々は、着の身着のまま、痩せて汚れて、靴すら履かずに傷ついた足を引きずってくることもざらだったそうで…まあ、あまり詳しく話したがらないところを見るに、良心的には扱わなかったのでしょうね。それが、ここ数年はぴたりと止んだというんです。…実際に来てみればどうです? 規模はたいしたことありませんが、実に平穏で、行き届いた街です。美しいと言っていい。感心するより、気味が悪くなりましたよ。だって、どう考えてもおかしいでしょう? だから、会う人ごとに片っ端から尋ねたんです。何があったんです? どうやって立て直したんです? って。でも、誰も答えてくれません。話の流れに、『10年足らずで復興とは立派なものですね』とでも切り出せば、愛想笑いで礼くらいは言ってくれました。それだけです。もっと以前について尋ねても、同じことです。たとえば――」
続けようとするニコを、人差し指をあてがってとどめる。
「ノア君については?」
「…好意的ですね。一国の国王に向けるものとは思えません。友好的な態度です。ただ…なんとなく、恐ろしい人なのかなという印象もあります」
「恐ろしい」クロエは瞬いた。「それはまた、どうして」
ニコは難しい顔をしてうなる。「どうしてでしょうね。好意が、あまりにも盲目的だからでしょうか。…そう。盲目的で、妄信めいている。私の地元ではヤドリギを神聖視しているんですが…祖母が部屋にヤドリギを飾る時の、思いつめたように真面目な顔を、思い出すんです。一方で、表立っては何も言わずとも、彼の名を聞くなり口ごもる人がいる。あとは…」不本意そうに目をそらす。「…馬鹿げてはいますが、この国の迷信の影響も、否定できませんね」
「迷信ってどんな」
ニコは真顔になり、クロエの目をまっすぐに見つめた。
「紫は狂う」
少しの間をおいて、取り繕うように笑みを作った。「各世代に一人、もっともバルティルスの血の濃い者が、紫色の瞳を持って生まれる。そしてその人物は、例外なく、狂う――そういう迷信です」
クロエは黙っていた。ニコはふと、表情を消した。
「興味があるんですが、今上のグーサノイド王の瞳は、何色ですか?」
クロエの脳裏に、始めてノアに――そして、その従弟のアラン・バルティルスに出会ったときの、強烈な印象が蘇る。輝く、二対の瞳。知らず、口角が天を向く。
「紫だよ」
逡巡が浮かんだ。「…こんな話も、ありますよ」ぐっと声をひそめる。「酔った知人が話してくれたんです。先王…つまり、ノア・バルティルスの父は、戴冠直後は善政を敷いたようです。ところが、晩年になり、狂った。国は一転して地獄絵図。さらにその父は、大陸戦争の混乱にまぎれて、それよりもずっとおぞましいことをしたのだとか。そして、彼らの瞳は、紫だった」ニコは笑いをゆがませ、中途半端な顔をした。「信じますか?」
空っぽのカップを弄び、机の上に放り出す。
「わからない」
ニコは深く息をはいた。「少なくとも、現状は正気なようで何よりです」
「ときどき怪しいけどね」カップを押し出す。「お代わり」
「…まあ、良いですけど。ところで、何を書いているんです?」
十枚近い紙が、細かい文字で真っ黒になっていた。ペンを弄びつつ、気のない返事をする。
「聖サティリス王国からの無申告移動についてのでっち上げと言い訳。自主的謹慎を追認するお願い。それから現金を送るよう指示する手紙を家に」
「…あなたも相当ですね」はたと思い当たり、目を輝かせる。「ついでに私を告発しませんか! この国、私以外に職員がいないし、住人は興味がないし、何をやっても問題にしてもらえないんです!」
「…やだよ」
「そんなこと言わないで。クロエさんは私の希望なんです! だって、グーサノイドくんだりまで来て、事実確認と処分をして、宥めすかした新しい人員を送り込む手間を考えたら、大抵のことは見逃した方が生産的じゃないですか。並みの訴えじゃあ協会は動かないんですよ。そこにあなた…高位魔術師のクロエ・モーリア様です! あなたからの告発となれば、さすがに無視もできません!」
「だからやだって」
「なぜです!」
「だってニコ君、融通きくじゃん」
二人は互いを見つめた。ニコはそろそろと身を引き、恐ろし気に額を押さえた。「そういえば、謹慎って…ここでする気なんですね。一体いつまで…」
「当分いることにした。『軽率な振る舞いについて猛省し、自らの義務と責任を改めて骨身に刻む期間』は、ここにいるつもり」
「…つまり、無期限と」
「仲良くしようね」
「…たいへん光栄です」
残りを書き終えると、封を閉じた。ニコは意味もなく身構えてみたが、結局黙って受け取った。
「ところでニコ君、タバコ吸わないよね。なんでタバコ屋なんてやってるの?」
「…よく気づきますね。前任者が小遣い稼ぎで売っていたようなんです。なんとなく引き継いでいるうちに、血が騒いで…私の実家、結構大きな商会なんですよ。いつか商売で実家のやつらをぎゃふんと言わせて、私を追い出したことを後悔させてやるんです」急に愛想のよい顔になり「国王陛下に献上できるような逸品から、山岳民族が愛用する強烈な鼻タバコまで。愛煙家垂涎の豊富なラインナップが当店の自慢です!」
「それ需要あるの?」
「…ロマンがあるんです」
そっぽを向くニコに、やれやれと首を振る。「後払いで良ければ、国王陛下への献上品をもらってくよ」
「いいんですか!」と飛び上がったあと、気まずそうにうなだれた。「とんでもない値段ですけど」
「大丈夫だよ。たぶん」
心元ない返事を聞きながら、ニコははたと気が付いた。彼女は若干17歳にして高位魔術師であり、実家は聖サティリス王国の貴族。加えて祖父は魔術師協会の設立者である。
ニコは見事な手際で品物を包み、クロエに熱い感謝を捧げた。
後日、マフィアのボスのような葉巻を手に、涙目でせき込むノアと、腹を抱えて笑い転げるアランの姿が見られたとか。
主たるニコ・キヴィサロは、慣れない手つきで茶を注ぎ、戦きながら差し出していた。ぎこちない仕草だった。体の使い方を忘れてしまったように感じていた。強張った筋肉はいう事を聞かず、震える喉が呼吸を阻害する。ぼんやりとして遠く感じる世界で、カップを受け取った少女が、深くうなずいている。そうして、重々しく、宣告するのだ。
「まずい」
苛立ちを叫びに込め、頭をかきむしった。「勘弁してくださいよ! こちとら気楽な一人暮らしが長いんです。優雅なティータイムなんぞに縁はないんです!」
「まあそれは良いとして」
「あなたが入れろって言ったんですよ!?」
「うん、良いとしてね。ニコ君はこの国に暮らし始めてどれくらいだっけ」
ニコは不満を隠さなかったが、どう考えても勝ち目はなかった。「…3年になりますね」
クロエは全く動じず、まずいお茶をすすっている。「ここ、変わった国だと思わない? 先輩の意見を聞いてみようと思って」
「先輩…」とつぶやき、満更でもない様子だ。「そうですね。まずもって、魔術師協会の仕事がゼロっていうのが異様ですね」
「それはニコ君がさぼってるからじゃなくて?」
むっとして床を蹴る。「否定はしませんがね。ただ、付け加えさせて頂きますと、私はこの3年で一度も魔術師に会っていません」
「…それほんと?」
「本当です」
「なら確かに、魔術師相手の仕事なんてないね。…でも、大規模工事とか災害現場派遣とか、国からの要請はあるでしょう?」
「ありません」
「…なんで?」
「知るもんですか。頼まれもしないものを押し売りに行くほど、やる気のある魔術師ではありませんので」
そうは言いつつ、大いに不貞腐れている。3年も無視をされれば、いくら都合が良くてもプライドが傷つく。クロエは首をかしげた。
「じゃあノア君…ノア・バルティルス国王陛下の印象は」
ニコはますます不機嫌になり、ぷいと顔を背けてしまった。「残念ながら、ご尊顔を拝する栄誉には預かっていません」
「ええ…」さすがのクロエも良い顔はしなかった。「でもさ、ニコ君はここの唯一の職員なんでしょう? ということは、支部長格で着任してるよね。挨拶は必須なんじゃない?」
「私の常識でもそういうことになってますが、前任者が不要だと。新入りへの嫌がらせかとは思ったのですが、とっとと協会とおさらばしたいので乗ってやったんです。…残念ながら、今のところお咎めはありませんね」
「お気の毒に」
ニコは椅子を引きずってきて、クロエの正面にかけた。「でも、私も興味があるんです。ノア・バルティルスとは、一体どういう人間なんです?」
「私もそれが知りたい」
頬杖をつき、眉間をしわくちゃにする。「3年間、魔術師との交流はありませんでしたが、街の人間とは良い関係を築いてきたつもりです。それでも、彼らには踏み込ませない一線があるんです」ニコは身を乗り出す。「――ひとつは、ノア・バルティルス。もうひとつは、過去です」
「過去?」
「そう、過去の出来事です!」
「たとえば」
言葉がのどでもみくちゃになり、ニコは興奮に身震いした。
話し相手を得たことは、自身で思っているよりも、ずっと喜ばしい出来事だった。彼には友人もいて、居場所もあった。それでも、余所者だった。彼の疑問は、発見は、どこにもはけ口がなかった。それが今、ようやく対話者を見つけた。
「この国、10年前には相当荒廃していたって知ってます? 実際ひどい状況だったようです。グーサノイドへの入国前に、聖サティリス王国側の国境で聞き込みをしたんです。長年、グーサノイドからの難民に、悩まされていたようですよ。流れてくる人々は、着の身着のまま、痩せて汚れて、靴すら履かずに傷ついた足を引きずってくることもざらだったそうで…まあ、あまり詳しく話したがらないところを見るに、良心的には扱わなかったのでしょうね。それが、ここ数年はぴたりと止んだというんです。…実際に来てみればどうです? 規模はたいしたことありませんが、実に平穏で、行き届いた街です。美しいと言っていい。感心するより、気味が悪くなりましたよ。だって、どう考えてもおかしいでしょう? だから、会う人ごとに片っ端から尋ねたんです。何があったんです? どうやって立て直したんです? って。でも、誰も答えてくれません。話の流れに、『10年足らずで復興とは立派なものですね』とでも切り出せば、愛想笑いで礼くらいは言ってくれました。それだけです。もっと以前について尋ねても、同じことです。たとえば――」
続けようとするニコを、人差し指をあてがってとどめる。
「ノア君については?」
「…好意的ですね。一国の国王に向けるものとは思えません。友好的な態度です。ただ…なんとなく、恐ろしい人なのかなという印象もあります」
「恐ろしい」クロエは瞬いた。「それはまた、どうして」
ニコは難しい顔をしてうなる。「どうしてでしょうね。好意が、あまりにも盲目的だからでしょうか。…そう。盲目的で、妄信めいている。私の地元ではヤドリギを神聖視しているんですが…祖母が部屋にヤドリギを飾る時の、思いつめたように真面目な顔を、思い出すんです。一方で、表立っては何も言わずとも、彼の名を聞くなり口ごもる人がいる。あとは…」不本意そうに目をそらす。「…馬鹿げてはいますが、この国の迷信の影響も、否定できませんね」
「迷信ってどんな」
ニコは真顔になり、クロエの目をまっすぐに見つめた。
「紫は狂う」
少しの間をおいて、取り繕うように笑みを作った。「各世代に一人、もっともバルティルスの血の濃い者が、紫色の瞳を持って生まれる。そしてその人物は、例外なく、狂う――そういう迷信です」
クロエは黙っていた。ニコはふと、表情を消した。
「興味があるんですが、今上のグーサノイド王の瞳は、何色ですか?」
クロエの脳裏に、始めてノアに――そして、その従弟のアラン・バルティルスに出会ったときの、強烈な印象が蘇る。輝く、二対の瞳。知らず、口角が天を向く。
「紫だよ」
逡巡が浮かんだ。「…こんな話も、ありますよ」ぐっと声をひそめる。「酔った知人が話してくれたんです。先王…つまり、ノア・バルティルスの父は、戴冠直後は善政を敷いたようです。ところが、晩年になり、狂った。国は一転して地獄絵図。さらにその父は、大陸戦争の混乱にまぎれて、それよりもずっとおぞましいことをしたのだとか。そして、彼らの瞳は、紫だった」ニコは笑いをゆがませ、中途半端な顔をした。「信じますか?」
空っぽのカップを弄び、机の上に放り出す。
「わからない」
ニコは深く息をはいた。「少なくとも、現状は正気なようで何よりです」
「ときどき怪しいけどね」カップを押し出す。「お代わり」
「…まあ、良いですけど。ところで、何を書いているんです?」
十枚近い紙が、細かい文字で真っ黒になっていた。ペンを弄びつつ、気のない返事をする。
「聖サティリス王国からの無申告移動についてのでっち上げと言い訳。自主的謹慎を追認するお願い。それから現金を送るよう指示する手紙を家に」
「…あなたも相当ですね」はたと思い当たり、目を輝かせる。「ついでに私を告発しませんか! この国、私以外に職員がいないし、住人は興味がないし、何をやっても問題にしてもらえないんです!」
「…やだよ」
「そんなこと言わないで。クロエさんは私の希望なんです! だって、グーサノイドくんだりまで来て、事実確認と処分をして、宥めすかした新しい人員を送り込む手間を考えたら、大抵のことは見逃した方が生産的じゃないですか。並みの訴えじゃあ協会は動かないんですよ。そこにあなた…高位魔術師のクロエ・モーリア様です! あなたからの告発となれば、さすがに無視もできません!」
「だからやだって」
「なぜです!」
「だってニコ君、融通きくじゃん」
二人は互いを見つめた。ニコはそろそろと身を引き、恐ろし気に額を押さえた。「そういえば、謹慎って…ここでする気なんですね。一体いつまで…」
「当分いることにした。『軽率な振る舞いについて猛省し、自らの義務と責任を改めて骨身に刻む期間』は、ここにいるつもり」
「…つまり、無期限と」
「仲良くしようね」
「…たいへん光栄です」
残りを書き終えると、封を閉じた。ニコは意味もなく身構えてみたが、結局黙って受け取った。
「ところでニコ君、タバコ吸わないよね。なんでタバコ屋なんてやってるの?」
「…よく気づきますね。前任者が小遣い稼ぎで売っていたようなんです。なんとなく引き継いでいるうちに、血が騒いで…私の実家、結構大きな商会なんですよ。いつか商売で実家のやつらをぎゃふんと言わせて、私を追い出したことを後悔させてやるんです」急に愛想のよい顔になり「国王陛下に献上できるような逸品から、山岳民族が愛用する強烈な鼻タバコまで。愛煙家垂涎の豊富なラインナップが当店の自慢です!」
「それ需要あるの?」
「…ロマンがあるんです」
そっぽを向くニコに、やれやれと首を振る。「後払いで良ければ、国王陛下への献上品をもらってくよ」
「いいんですか!」と飛び上がったあと、気まずそうにうなだれた。「とんでもない値段ですけど」
「大丈夫だよ。たぶん」
心元ない返事を聞きながら、ニコははたと気が付いた。彼女は若干17歳にして高位魔術師であり、実家は聖サティリス王国の貴族。加えて祖父は魔術師協会の設立者である。
ニコは見事な手際で品物を包み、クロエに熱い感謝を捧げた。
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