アマノジャクに突っ走れ!!!

ゆっこ!

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 第七話 敵陣の全貌を把握せよ。 熱くなるな、まずは情報の蒐集だ。

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 俺とお嬢ちゃんはつい数十分前に、対異形獣大隊中央司令部での、ギルド重役ジム・トラファルガーを交えた話し合いを終えていた。

 そこで建設中である敵ハイブへの威力偵察を志願した俺たちは、新たにドローン軍隊の30機を加えて、ハイブへと向け出発することと相成った。

 だが、それだけでは戦力不足と、本陣の前方10キロ地点で一時停止。

 新たに後方へと要請した新兵器の到着を待つこととした。

 「諸君、予想外に大仕事になった。俺たち第000335派遣中隊は、先陣を切って敵ハイブ至近へと突撃、ドローン部隊を囮として、周辺に映像取得用の小型ドローンをばら撒く。そうやって小型ドローンが破壊されるまでに、出来る限り敵の陣容のデータをかき集め、後退する」

 ドローン兵が準備した簡易テントをブリーフィングルームとして、俺は、その様に部下たちに状況を説明した。

 そして、続いて副官の立場となったお嬢ちゃん…ストーム01がタッチペンを持って手持ちのボードスクリーンのある点を差し示し、囲ってみせる。
 すると、リンクするホワイトボードに張られた幕型ディスプレイへと、その映像が映し出される。

 情報任務を言い渡された000335派遣中隊の隊員一同は、早速、食い入るようにホワイトボードの映像を見詰める。
 みんな、死地を切り抜けるために必死だった。

 「質問はあるか? ある者は、時間が限られているから手短にな」

 俺は、極めて冷静な態度でそう言うと、再び隊員全員を見回す。

 見れば全員、任務の重大さに表情が引きつっていた。

 (俺の内心と同じだな)

 内心、そう思う俺。

 じつを言えば、お嬢ちゃんと二人で決めて来た任務とはいえ、俺も内心では敵の軍勢が怖かったし、任務の重要性を理解しているからこそ、その重責に圧し潰されそうだった。

 これまでの実戦を生き延びた自信と、やってやるぜ!という気合を持って、今は何とか怖気を押さえ込み、平静さを装っているだけなのである。

 「これは…本当にビッグビジネスですね、隊長。身震いがします!」

 俺とお嬢ちゃんの説明に、最初にそう応じてきたのは、先の戦闘で切り込み隊長とも言える立場を勝ち取ったグランド4であった。
 グランド4は、先の戦いでも率先して俺の指示に従った男である。

 「応よ! 俺たちはローンレンジャーだ。大金を稼ぐために何回でも大博打を打つ! そして、勝って生き残るのが仕事だ! グランド4、お前もそう言ってくれると思っていたよ!」

 「もちろんですとも隊長! 前の大不況で一家心中するはずだった俺です! まだ残っている借金を返すためにも、何だってやって見せます!」

 「その意気だ! 期待しているぞ!」

 「はい! みんなで見たこともない大金を稼いで見せます!」

 そんなグランド4の意気込みに、チームのメンバーたちもウンウンと肯いた。どうやらグランド4の言葉が、上手くチーム全体の意識を前向きな方向へと導いたようだ。

 なぜなら、グランド4の言葉には、それほどチームのみんなに訴えかける影響力があったのだ。

 それは、グランド4たちの年代に、ある共通認識があるからだった。

 グランド4の過去は、チームの同年代の者たち………いや、世界中の大多数の者たちにとっては、他人事ではなかったのである。
 みんな多かれ少なかれ、異獣出現のために先の大不況の影響を受け、人生に多大な傷を受けて今を生きている。

 グランド4にとっては、それが一家心中擦れ擦れの事態だったということだ。

 無論、この場に居るメンバーたちも、それぞれ事情が異なっていても似たような理由があったのだろう。

 みんな、その影響の末に、今、こうしてローンレンジャーとなり、この場にいるのだから。

 だからこそグランド4の言葉には、チームの心に響き渡る効果があったのだろう。

 生と死の狭間である戦場にあって、大金を求めて戦い続ける。

 チーム全員が、そんなローンレンジャーなのだった。


 チクショウ! 泣ける話じゃねーか! 


 「隊長、ドローン部隊30機と、レンタングル・ウォーカー10台が新たに到着しました」

 「後方からの補給分が来たか!」

 過去のことを思い出して感情的になっていた俺のところに、輜重兵であるドローン兵が報告…吉報を持ってきた。そのドローン部隊は、俺が頼んできた要請通りに、後方の補給部隊から護送されてきた新たな戦力だった。

 まず、レンタングル・ウォーカー。

 その見た目は、長方形型の巨大な盾を前面に装備し、後方に重砲を取り付けた、中型で八足歩行の虫型戦闘用ドローンである。

 味方の前衛となり、敵のヘイトを集めて戦場に留まることを目的としている。

 ある意味、戦闘力をと防御力を併せ持つデコイであった。

 戦術的に、こいつらをどれだけの時間戦場に残せるかが、勝利の鍵になる代物だった。

 高い防御性能と攻撃性能を併せ持つこのデコイ型ドローンは、異獣側から見れば決して無視できぬ種類の、厄介な邪魔者である。

 放置すれば、装備した重砲で被害を受け続けるし、殲滅部隊を送り込めば、他の陣地が手薄となる。

 一方の人類側は、このデコイドローンに異形獣が気を取られている隙に、レンタングル・ウォーカー目掛けてやってくる敵の攻撃に集中したり、交戦の好きに敵陣に浸透をするという寸法だ。

 さらには、30機のベーシック・ドローンが随伴歩兵の役目を受け持つ。

 戦車の随伴歩兵の如くベーシック・ドローンがレンタングル・ウォーカーを防衛するとなれば、その防御力は飛躍的に向上する。

 この前衛デコイ隊が健在なままなら、人類側は人的被害を気にすることなく、他の任務に従事できるのである。

 「よし。こいつらの派遣には少々、いや、かなりの資金が必要だったが、トラファルガーが任せてくれたドローン部隊と合流させれば、かなりの戦力になる! こいつらが稼いだ時間を有効に使えば、今度の任務も格段に成功率が上層する!」

 俺は、そう歓声を上げる。お嬢ちゃんはじめ、000335派遣中隊の面々も歓声を「わあっ!」っと上げ、笑顔となる。

 普段は自分たちでやっている仕事を任せられる味方が増えた。つまり、その開いた手番の代わりに、普段はやらない、生き残るための行動が取れるということだ。

 これには、派遣中隊の面々もニッコリだ。

 相手を攪乱するための行動をして良し。

 火力を集中させて敵戦力の撃滅に集中するも良し。

 手が空いた者たちで、戦闘や攪乱に役に立つ、他の物品を新たに運び込んで良し。

 夢が拡がるのである。

 副官役をしているお嬢ちゃんも、手持ちの物資から使えそうな品をピックアップし、頻りにタッチペンを動かし、ボードに標を付けていた。

 また、過去の事例から有効な作戦を探そうとしていることが、お嬢ちゃんの手持ちのボードと繋がっている、ホワイトボードの画像変化で見て取れた。

 黒炎を発生させる枯れ木や枯草、発煙筒の類をどれだけ運べるか?

 どうやって異形の獣の持つ根源的な炎への恐怖を引き出すか?

 どの程度、敵の生体レーダーの攪乱が可能か?

 燃やす物がないなら、もってくればいいじゃない。 
 
 それはどこにあるのか?

 等々を引っ切り無しに検索している。

 「うん、そっとは任せるぜ、お嬢ちゃん」

 「ん、了解。任せて」

 「と、いうことだ。作戦はお嬢ちゃんに任せて、俺たちは戦闘準備だ。新兵器の整備班と共に、綿密な事前準備といこうじゃないか!」

 「グランドスプリンター隊、了解です!」

 「ストームシューター隊もです!」

 「機甲戦車班、アイアン01了解!」

 「輜重班、及びドローン隊了解です」

 ドローン含む部下たちの賛同を得て、俺はブリーフィングをここまでにして、新兵器の許へと向かった。

 手持ちの武具の整備が終われば、後はお嬢ちゃんが妥当と見做した作戦を聞き、その準備をして出発するだけである。

 そんな新たな作戦の開始は、もうすぐなのだった。
 

 
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