目が覚めたらクレイジーサイコレズの吸血鬼が同衾していました。

ゆっこ!

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第四話 廃墟へと到る自動人形

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 深緋色をしたピオフォア(エプロンドレス)を翻し、自動人形である薄雲は闇夜の中を高速移動していく。
 
 背丈のある雑草生い茂る場所を飛び跳ねて躱し、短い下草が生える場所を選んで踏みしめ、進んでいく。
 
 踏まれた下草が人形の体重を掛けられ折れ曲がるが、生命力の強い雑草はそんなことにもめげずに、再び起き上がることだろう。

 薄雲は、そのようにリズム良く地面を飛び跳ね、暗い東側の森を抜けて目的地(廃墟ビル)へと接近していく。

 もし薄雲が自動人形ではなくただの人間だったなら、まったく慎重さを欠いた行動と言えた。

 しかし、その慎重さを欠いた行動は、薄雲のオーナーである私にとってまったく問題のない行動であった。

 なぜならば、私が一体化した薄雲という自動人形は、コンピューターRPGに例えるならラスボスのような存在だから。
 何かの間違いで自動人形部分を破壊されたとしても、真のボスとして内部から私が現れるという二段仕込みの怪物なのである。

 そんな薄雲相手に、雑魚でしかない一般人が何ができる?

 銃器や迫撃砲があれば互角に戦える?

 まさか!(鼻で嗤う)それはない!

 吸血霧を内包する薄雲は、そんな軍隊レベルで何とかできるほど脆弱ではない。

 私の魔力(正確にはレムネリアの力)で、頑強さ、柔軟性、共に強化してある。

 そんな強化人形と同化する私が注意すべきは、仙術、巫術を使う道士、存在するかもしれない同格の道士、或いは死霊術で製造されたキョンシーくらいだろう。

 それに、私がここを強襲するとの情報が事前に流れ、事前準備されることだ。

 (ふふっ!)

 私は内心嘲笑する。

 その心配は、先程容易く見張りを倒せたことで杞憂だったと判明した。

 もうここまで反撃なく来れたことがその証明なのだ。

 もし、襲撃が事前に漏れていれば、見張りの男性もここで屯する有象無象も、少しは警戒し重武装となっていたはずだ。

 だが、ここまでの道中で、その気配はまったくなかった。

 戦場になる場所は、そうなると理解していれば、張り詰めた雰囲気が漂うもの。とても画し通せるものではないのだが、もちろん、そんな気配も一切なかった。

 私の強襲は、奇襲として成立していた。

 それ故に、別に今さら雑魚でしかない有象無象に見つかっても、もはや問題ないのだ。

 そんな雑魚相手では無敵に近い怪物が、一般人たちに毛の生えた程度の輩に対し、何を恐れる必要があるというのか?

 真に気を付けるべきはこんな雑魚たちではなく、むしろ、もの言わぬドローンや、部屋ごと吹き飛ばす悪質な罠であろう。

 だが、証拠隠滅の必要のある精製所や研究施設と違い、住居としている一帯にそんな悪質な罠を用意している可能性は低い。
 今、薄雲が向かっているのは、その住居側である。

 (さて)

 まずはここで雑魚の数を減らし、敵の手数を減らすのが肝要。

 (いた)

 光源の薄明りが拡がる区画に進入すると、次第にチラホラと人の影が確認できた。私は早速、その周囲に吸血霧を撃ち込むべく準備させる。

 (あそこに!そこ!)

 私の指令に従い別方向に向けて、両腕を突き出す薄雲。

 狙いはそれほど厳密に定める必要はない。近場に撃ち込んでもらえたなら、後はこちらで始末をつける。

 それ故に、自動人形薄雲は足を止めることはない。

 次の瞬間、両腕の内部から圧縮された霧が、勢いよく人影のある方向へと撃ち出された。

 プシュウッ!

 そんな発射音を響かせて、圧縮済みの吸血霧は大気を高速で切り裂いていく。

 それは廃墟ビル内部へと到達すると、急速に周辺へと拡散していった。

 (まずは! こいつとあいつ!) 

 私(吸血霧)は、近場に居た中年男性と青年を捉え、無音の中で瞬殺すべく、獣のように襲い掛かっていった。 
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