若頭が異世界でお嬢を溺愛するお話

なーさん

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37*帰りたい

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「ギンちゃん‥‥」

『そうだよ、あの時雛が助けてくれただけギンだ』

「よかった、生きてたんだね。ふふ。こんなにおっきくなっちゃうから分からなかった。」

『雛も、大きくなった。でも、とても綺麗なままだ。』

「ありがとう。あの、私は何故ここに?悠二は‥‥?」

『ココは、間の世界。誰も来れない。今は、俺と雛だけだ』

「え‥‥」

『雛をここに呼んだのは聞きたいことがあったからだ。』

「なに?」

『雛は、元の世界に戻りたいか?』

単刀直入に聞かれて一瞬なんて言われているのかが分からなくて固まってしまう

「‥‥え?」

『俺は、最初は雛だけを連れて来るつもりだった。この世界なら、雛は幸せになれると思ったから‥‥あんな世界にいては雛が可哀想だと思ったから‥‥時間はかかったが準備ができた。だからあの日雛を連れて来た。なのにあの男が雛を掴んで離さなかった‥‥雛は道にぶつかってしまうし本当にあいつは余計なことをしてくれた。』

「ははは。」

『あいつは言ってないかもしれないが、俺は一度あいつと話した。【帰れ】と。』

ドクン

「‥‥え?帰れるの?」

『一度だけなら道は開ける。しかし、あいつは帰れない。もう選んでしまったから』

「ど・・ゆこと?」

『雛が眠っている時、あいつに帰してやると言った。しかし、雛のそばにいると言われた。雛がこの世界にいるならここに残ると。雛のいない世界は考えられないと‥‥。そして、あの時あいつはこの世界にいることを選んだ。だからあいつはもう道を通れない』

ポロポロと雛の目から涙が零れおちる

『雛?』

「モウちゃん、私ね、あっちで幸せになったんだよ。お母さんとは離れちゃったけど‥‥お爺ちゃんと暮らすようになってからとっても幸せなの。色んなことさしてもらって、色んな所に連れてってもらって、勉強もちゃんとさしてもらって、美味しいものもいっぱい食べさしてもらった。」

『じゃあ、雛はあっちにいた方が幸せか?それなら、雛はまだ選んでないから道は開けるぞ』

「ううん。私があっちで幸せだったのは悠二がいたから。もちろん、お爺ちゃんも大好きだけど‥‥悠二がそばに居てくれたから幸せなの。だから、悠二と一緒にいることが私の幸せなの。」

『あいつが‥‥そんなに好きなのか?』

「うん。大好きっ!」

『そうか。雛が幸せなら俺は嬉しい。』

「ギンちゃん、また会える?」

『いつでも。俺は雛の主人だからな。』

「え、なんで!友達だよ!」

『名前をくれた。俺たちは、名前をくれたものに従う。あの日、名前をくれたから腹から力が湧いて今も生きている。今の俺がいるのは雛のおかげだ。』

「なんか、知らずに凄いことしてたのね‥‥。」

『雛は、そのままでいればいい。』

「そうね。だから、私はギンちゃんの主人じゃなくて友達ね。」

『雛が言うなら。』

「じゃあ、悠二のところに連れて言ってくれる?」

『もちろん』


そう言うと大きな体をぺたんと伏せて雛に背中に乗るように促す


「お、重くない?大丈夫」

『重くなんてない。いくぞ、ちゃんと捕まってろ』


そう言うとフワリと体が浮き上がる


早いのに怖くない


空をこんなに近く感じてとても気持ちがいい


頬に当たる風がとても気持ちいい







*****


「悠二様、一度王宮に帰りましょう。」

兵士の一人が悠二に声をかける

「はぁ!?そんな事出来るわけねぇだろ!!お嬢を見つけてからだ!!!!」

悠二の怒声に当たりの空気が割れるように響く

「で、ですが‥‥」

「帰りてぇんならてめぇらだけで帰りやがれ!!俺はお嬢を探す!!!」

水浸しでガタガタと震えながらそう言うとまた悠二は湖へ入っていこうとする

「悠二様!!これ以上は体に触ります!どうか、今日はもうやめてください!」

ブライアンが必死に止めるも悠二は聞く耳を持たない
ノアも、黙々と湖やその周辺を探している



ピク


徐に悠二が空を見上げる

「‥‥悠二様?」

「静かに!お嬢の声がする‥‥」


「ーーじ!」

「っ!お嬢!?お嬢!!何処ですか!!??」

「ゆうじぃ!!」

悠二が空を見上げると雛がモウの背に乗ってフワリと舞い降りた


「お嬢!!!!」

「悠二っ!!」


ギンから降りるよりも早く悠二が駆け寄って雛を抱きしめる

「お嬢‥‥っ。お嬢!!心配するでしょう!?なんですぐ居なくなるんですか!危ないのにひとりで水辺になんか行って‥‥ほんと、ほんとなんなんすか!そんなに俺を早死にさせたいんすか!?」

「ちょ、ごめん!ごめんて!ちょ、苦しいっ」

「こんなの俺が受けた苦痛に比べたらなんでもないです!!お嬢~~‥‥よかった、本当に、良かった。生きてて良かった‥‥」

「悠二、心配かけてごめんな?私もいきなりでびっくりだったんだけど‥‥わざとってわけじゃないんだけど‥‥ほら!ギンちゃんも謝って!」

ギンは雛に言われて頭を下げる

「‥‥あれ、こいつ。」


大きな体にシルバーの毛並み瞳が右が翡翠色、左が空色の獣


「聖獣‥‥?」
「まさか、そんなの空想の産物だろう?」
「でも、こんな獣見た事ない‥‥」

ノアもブライアンも言葉を失っているのか目を見開いたまま動かない

雛は悠二に真剣に向き合う

「心配かけてごめんなさい。でも、もう帰ってきたから。」

「お嬢‥‥本当に良かった‥‥。お嬢‥‥こいつから話、聞きましたよね?」

「‥‥後でゆっくり話す。」

雛がそう言うと悠二は一瞬体を硬くした


『雛。俺は今日はもう帰る。いつでも呼べば飛んで行くから。』

「ギンちゃん、ありがとう。今度、お出かけしようね」

『あぁ。また、アレが食いたい。雛の作ってくれたやつが』

「分かった!ふふ。ありがとね。またね』

雛がそう言うとギンはスッと空へ消えて行った



「お騒がせしました!!では、王宮へ帰りましょう!」



雛がとびきり笑顔で言うとみんなが力が抜けて安心したように笑ってくれた



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