若頭が異世界でお嬢を溺愛するお話

なーさん

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38*手を握るのって安心するよね

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「もうすぐ王都に入ります」

「ふぇ!?あ、はい!」

「‥‥」

馬車の中でいつの間にか寝てしまったみたいで悠二に寄りかかっていた

「あ、悠二ごめん、重かったよね~‥‥って悠二?」


悠二からの返事がない
雛は悠二を覗き込むと悠二は顔を真っ赤にして苦しそうに熱い息を吐いて雛の方へ倒れこむ


「え、ちょっと!大丈夫!?」

「お、じょ‥‥」


ドキン


トロンとした眼差しで見つめられて雛の胸が鳴る

ハァハァと熱い息を吐いて苦しそうな悠二の額に手を当てて熱を測る

「悠二!すごい熱じゃねーか!なんで‥‥」

(あ、帰ってきた時‥‥悠二濡れてた‥‥私探して湖に入ったんだ‥‥)


「悠二、ごめんね。私のせいで‥‥。もうすぐ王宮に着くから。ゆっくり寝てて」

「お嬢、のせい‥‥じゃな‥‥です。はぁ。俺は、大丈夫だから‥‥」

「とりあえず、あったかくして寝てろ」

悠二の事を馬車のベンチに寝かせて反対側に行こうとしたら腕を掴まれてグイッと引っ張られて悠二の胸に埋まる

「お嬢‥‥こっちに‥‥。」


ブワッと顔に熱が溜まるのが分かる


「わ、分かったから!えっと、じゃぁ、隣にいるから!」

「へへ」


ギュン


いつもはあまり見せないヘニャっとした笑顔に胸を撃ち抜かれる
結局、悠二に膝枕をして王宮を待つ間に馬車の窓からブライアンに事の説明をして医者の準備もしてもらう



「悠二、ごめんな。ありがとう‥‥」


見た目よりも柔らかな黒髪を撫でながらポツリと呟く


雛は早く王宮に着くように祈っていた






*****


「水分をとってゆっくり寝ていれば治るでしょう。」


医者に言われて雛はホッとしたものの悠二は熱にうなされながらもう一日中寝ている
熱は下がったものの目を覚まさない悠二に不安が積もる

「悠二‥‥早く起きろよ‥‥。」

悠二の世話はサミュエルにも任せず雛が全てやっていた
片時も離れたくなくて寝るのも惜しくてその場に居続けた


悠二が熱を出して三日目の朝



カーテンから差し込む日差しが顔にかかる

「‥‥ん。」

ボヤッとする視界で辺りを見渡す

何故か右手が動かない

右手に視線をやると


「‥‥お嬢?」


ギュッと手を握りしめて座りながら雛が寝ている
手には雛の寝息がかかって少しくすぐったく感じる

そんな光景を見て悠二は顔が緩む



起こすのは可哀想だがそんな体制で寝て居た方が体を傷めてしまうから起こす事にした

「お嬢、お嬢!起きてください!風邪ひきますよ!」

「ん~~‥‥悠二ぃ」

握って居た手に頬ずりしてきて悠二は悶える

「~~お嬢、それ以上は、俺、持ちませんから!襲いますよ!?」

「‥‥!!!」

ガバリと雛が起き上がって悠二を凝視する


「おはようございます。お嬢」


ふわりと笑った悠二を見て雛は口をパクパクさせて顔が真っ赤になっていく


「ご心配おかけして、もうし‥‥」


頭を下げようとした時、雛が悠二の胸に飛び込んできた

「うっうっ悠二ぃ!!よかった、うぅっ~」

胸の中で泣きじゃくる雛の事を壊れないように優しく抱きしめる

「お嬢、有難うございます。」

「本当よっ!悠二のばかぁ!!うぅ~~」



2人は暫くそのままでいた

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