仲良しのもふもふに理不尽な婚約破棄を愚痴ったら、国が崩壊することになりました

柚木ゆず

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第1話 起きていたこと~連続する予想外~ サーラ視点(1)

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「サーラ・ガレッテス。お前との婚約を破棄することにした」

 あっという間、これ以上に合う言葉はないと思う。いつものように朝6時半に目覚めるとすぐ王城から呼び出しがかかり、両親と共に大急ぎで馬車を走らせると、王太子殿下から――婚約者のオーギュスタン・サンルーフ様から、婚約破棄を告げられてしまったのでした。

「お、オーギュスタン様、理由をお教え願います。どうして私は、婚約を破棄されてしまうのでしょうか?」

 殿下との婚約は、6年前の殿下の一目惚れが切っ掛け――オーギュスタン様が私を気に入り、所謂親バカな陛下と王妃殿下からの圧力により無理やり婚約者にされていた。おまけにこの方は、第2第3王子殿下とは真逆――かなり自己中心的かつ、端的に言うと『バカ』な方。この親でなかったら廃嫡されていたほどなので、関係を絶てるのはとても嬉しいこと。
 けれど看過できない点が複数あったため、質問を行わせていただいた。

「理由か? ……お前は、アリス・リノエルドを知っているな?」
「は、はい。もちろん存じ上げております」

 その方は、この国の聖女様。聖女は災禍から国を守る結界を張ってくださる大事な御方で、アリス様を知らない人間なんて国内にはいない。

「俺は今までお前を一番だと思っていたが、それは大間違いだった。アリスこそが内外共に一番だと気付き、お前に興味がなくなったのだ」
「そ、そうでございますか。で、でしたらなぜ、破棄なのでしょうか?」

 それなら、『解消』などとなるはず。どうして私に非があるような形になっているの? そこの確認を行うと、あまりにも自分勝手な理由が飛び出したのでした。

「結婚式は3か月後となっていて、そんな理由で変更するとなると俺の印象が各方面で悪くなってしまう。聡明であり心優しいアリスが、そうアドバイスをくれたのでな。お前に非がある形で縁を切ると決めたんだ」

 アリス様は平民の出なため、『平民が聖女だなんて』『こんな下の下より、貴族の私の方が聖女に向いてるのに』などと、会うたびに悪口を言っていた。そのためついに限界を迎えたアリス様がオーギュスタン様に助けを求め、そうして私は罰を受けることになる。そしてそれが切っ掛けでアリス様との距離が縮まり、1年後めでたく結ばれる。
 それがアリス様考案の策で、殿下は嬉々として採用し――陛下王妃殿下は『聖女が王妃になる方がいい』と判断して、認められたそう。

「……オーギュスタン様……。それは聡明ではなく、狡猾というべきも――」
「うるさい!! 嫉妬は見苦しいぞ!! 聖女は清らかな心を持つ者しかなれないのだからっ、狡猾であるはずがないだろうが!!」
「仰る通りなのですが……。そちらは明らかに、清らかでは――いえ、なんでもございません。……オーギュスタン様。お考えは理解できましたが、承服いたしかねます。そうなってしまっては、私は今後――」
「そうだな、社交界どころか堂々と外を出歩けなくなるだろうな。そこで優しい俺は・・・・・、ちゃんと対策を用意してやっている」

 なぜか、恩着せがましく鼻を鳴らすオーギュスタン様。そんな殿下を見て覚えた嫌な予感は、すぐに的中してしまうことになるのでした。






 ※できるだけ早くお話が進むよう、本日は複数回投稿をさせていただきます。
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