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第5話 その頃、ガレッテス邸では 俯瞰視点(2)
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「はぁ。冷静さを失う者は愚か者、狼狽は愚者の証。そう教えたはずだぞルベン。貴様はなにをやっているのだ」
サミは飛び込んできた家令にため息を吐き、手にしていたグラスを置きました。
「見苦しい、実に見苦しいが――まあいい。それで、なんなんだルベン? お前は何を知って焦り、何を報告しに来たんだ?」
「そっ、それがですねっ! わたくしめもっ、未だに信じられないのですがっ! いえっ、この目でしかと見ましたので事実なのですがっ! あり得ない光景があるのでございます!! なっ、中庭にっ!!」
「中庭だと? ……ルベンよ、それだけでは理解できんだろうが。最低限報告者の義務を果たせ。なにがどうなって、有り得ない光景が生まれたのだ?」
サミは再度嘆息し、エリザベルとメリッサも同様の息を大きく吐きます。そうして3人は呆れまじりでルベンを眺め、3つの視線を受けたルベンは頭を抱えました。
「わ、わたくしめは庭の整備担当に用があり、中庭で彼と話をしておりました。そうすると、程なくサーラお嬢様のお声が聞こえてきたのです。……空から……」
「ん? アイツは、いつの間に帰ってきていたのだ? 馬車はまだ戻っていないのに――ん!? 空だとっ?」
不思議そうに首を傾げていたサミの――エリザベルとメリッサの様子も、共に変化。戸惑いの色が浮かびました。
「空? 空っ? お前は何を言っているのだっ?」
「じ、事実を申し上げております……。で、ですのでわたくしめは戸惑い、すぐにその方向――真上を見上げました。そ、そうしたら…………」
「「「そ、そうしたら?」」」
「お嬢様が……。み、見たこともない生物…………ゆうに5メートルはある、翼の生えたライオンのような生き物の、背に乗られていて……。その化け物とともに、中庭に舞い降りたのでございます……!!」
「………………。なんだって!?」「………………なんですって!?」「………………。んな!?」
少しの沈黙の後、3人は仲良く大絶叫。冷静さがなんたらと説いていたサミ達は、ルベン以上に取り乱し始めたのでした。
「そ、そして……。旦那様達3人にお話があるから呼んで来て欲しい、と仰られまして……。こうしてわたくしめは、こちらにおります……」
「「「…………」」」
「その化け物は、なんと人語を操ることが可能でして……。『3人が応じないのでなら壁を壊して入る』『猶予は3分だ』とも、喋っておりまし――」
「馬鹿者それを先に言え!! いっ、行くに決まってるだろう!!」
下手に刺激すると、きっと大変なことになってしまう――。サミ達は直感的にそう感じ、汗びっしょりになった状態で食堂を飛び出しました。
そして全員が足をもつらせながら必死で進み、指定された中庭にたどり着くと――
サミは飛び込んできた家令にため息を吐き、手にしていたグラスを置きました。
「見苦しい、実に見苦しいが――まあいい。それで、なんなんだルベン? お前は何を知って焦り、何を報告しに来たんだ?」
「そっ、それがですねっ! わたくしめもっ、未だに信じられないのですがっ! いえっ、この目でしかと見ましたので事実なのですがっ! あり得ない光景があるのでございます!! なっ、中庭にっ!!」
「中庭だと? ……ルベンよ、それだけでは理解できんだろうが。最低限報告者の義務を果たせ。なにがどうなって、有り得ない光景が生まれたのだ?」
サミは再度嘆息し、エリザベルとメリッサも同様の息を大きく吐きます。そうして3人は呆れまじりでルベンを眺め、3つの視線を受けたルベンは頭を抱えました。
「わ、わたくしめは庭の整備担当に用があり、中庭で彼と話をしておりました。そうすると、程なくサーラお嬢様のお声が聞こえてきたのです。……空から……」
「ん? アイツは、いつの間に帰ってきていたのだ? 馬車はまだ戻っていないのに――ん!? 空だとっ?」
不思議そうに首を傾げていたサミの――エリザベルとメリッサの様子も、共に変化。戸惑いの色が浮かびました。
「空? 空っ? お前は何を言っているのだっ?」
「じ、事実を申し上げております……。で、ですのでわたくしめは戸惑い、すぐにその方向――真上を見上げました。そ、そうしたら…………」
「「「そ、そうしたら?」」」
「お嬢様が……。み、見たこともない生物…………ゆうに5メートルはある、翼の生えたライオンのような生き物の、背に乗られていて……。その化け物とともに、中庭に舞い降りたのでございます……!!」
「………………。なんだって!?」「………………なんですって!?」「………………。んな!?」
少しの沈黙の後、3人は仲良く大絶叫。冷静さがなんたらと説いていたサミ達は、ルベン以上に取り乱し始めたのでした。
「そ、そして……。旦那様達3人にお話があるから呼んで来て欲しい、と仰られまして……。こうしてわたくしめは、こちらにおります……」
「「「…………」」」
「その化け物は、なんと人語を操ることが可能でして……。『3人が応じないのでなら壁を壊して入る』『猶予は3分だ』とも、喋っておりまし――」
「馬鹿者それを先に言え!! いっ、行くに決まってるだろう!!」
下手に刺激すると、きっと大変なことになってしまう――。サミ達は直感的にそう感じ、汗びっしょりになった状態で食堂を飛び出しました。
そして全員が足をもつらせながら必死で進み、指定された中庭にたどり着くと――
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