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第7話 一つ目の終了と、突然の出会い~必然と必然によって追加される罰~ サーラ視点(2)

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「お、お目にかかれて光栄でございます。わたくしはこの国の人間、サーラと申します」

 私は12歳で王太子殿下の婚約者にさせられたことで、場数もそれなりに踏んでいるし各国の王族の方々とも何度もお会いしている。なので高位の方でも緊張はしないようになっていたのだけど、今回は別。


「わたくしは神界に住まう神、アテナアテーナと申します」

「貴女がレオを救ってくださったのですね? 貴女はわたくしにとっても恩人ですわ」


 目の前にいらっしゃるのは、神様。色々な本に載っている、『知恵』や『芸術』『戦略』を司るその御方と喋っているんだもの。
 先にノアとお話しをされていて、すでにお姿を5分くらいは目にしているけど……全然慣れない。地面についている両膝は独りでに小刻みに震えてしまうし、呂律も若干変になってしまう。

「肩の力を抜いてください――と言っても、難しいですよね? 恩人を固くさせてしまうのは忍びありませんし、レオ――ノアの安否と意思が、確認できたことですしね。あと一つ用事を済ませたら、去りましょうか」

 真白の衣を纏われた、清らかさだけを感じるアーテナ様。穏やかで美しいお顔がにこやかに緩み、澄んだ瞳が再び私へと注がれた。

「恩人サーラ、貴女にお礼を行いたいと考えています。何か願いはありませんか?」
「いっ、いえっ、なにもございませんっ。ノアの滞在を認めていただけておりますので、これ以上の望みはございませんっ!」

 さっきノアとの会話中に『神界に戻るつもりはありませんか?』『かの大戦の功労者の帰還を、多くの者が心待ちにしておりますよ』というお言葉が出て、それに対しノアは『戻るつもりはありません』『サーラを一生涯護り続ける所存です』と即答してくれて。そうしたらアテーナ様も即座に、『分かりました』と仰ってくださった。
 なのでこれ以上、私に望むことはないのです。

「…………貴女は、本心でそう仰るのですね。ノア、貴男は良い人と出逢いましたね」
「はい。これ以上はない出逢いを、できました」
「ふふ。では最後の用事も済みましたし、わたくしは『上』に戻ります」
「長年ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした。アテーナ様、お元気で」
「あ、ありがとうございます。お目にかかれて光栄でございました」
「わたくしも、貴女とお話しができて幸せでしたよ。……ノア。貴方の要請はすぐ対応しますから、そうですね。5分ほどこの場で待機したあと、向かってください」

 最後に改めて優しく微笑まれ、アテーナ様のお身体は真白の光を放ったあと消えた――お戻りになられた。
 なので私はホッと息を吐いて、そのあと隣へと顔を向けた。

「ねえ、ノア。さっきの要望って、なんなのかな?」

 多分序盤はもっと緊張してしまっていて、その影響で聞き取れていなかったのだと思う。私が激しい鼓動と戦っていた間に、どんなお願いをしていたんだろう?

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