仲良しのもふもふに理不尽な婚約破棄を愚痴ったら、国が崩壊することになりました

柚木ゆず

文字の大きさ
19 / 38

第9話 一方的な進撃 サーラ視点(2)

しおりを挟む
「サーラ。こういう非常事態の時は、偉い人達はどこに避難するようになってるの?」
「お城の2階部分の一番奥にある、大部屋。そこに隠れるようになってるよ」
「そうなんだ。階段は…………そっちだね」

 私は王太子妃になると決まっていたから、あれこれ情報を持っている。そのため私達は迷うことなくオーギュスタン様たちのもとを目指し、

「陛下のもとへは行かさんぞ!!」
「お前達をここで食い止める!!」

 途中で、陛下や殿下直属の護衛――爆発でも気圧されない更に腕の立つ方が、左右の手に鋭利な剣を携え立ちはだかった。でも、

「我が一族は、王族の剣。我が一族、300年の研磨をあじわぇぇぇぇぇぇ!!」
「その迫力と殺気、人間相手なら敵なしだったんだろうね。……安心していいよ、今回は相手が悪かっただけだ」

 軽く薙がれた右の前足によって壁に叩きつけられ、一人目は失神。その隙をついて飛び掛かったもう一人も、戻ってきた右前足によってあっさりを意識を奪い取られてしまった。

「これで…………邪魔をする人は、いなくなったみたいだね」
「そうだね。大丈夫みたい」

 お城には使用人など働いている人がどっさりいるけど、皆さんは非戦闘員だからどこかに隠れているみたい。なのですっかり静かになった通路を進んで、やがて分厚い鉄の扉で塞がれた部屋の前にたどり着いた。

「ここだよ。この向こうに、オーギュスタン様――陛下や王妃殿下、第2第3王子殿下もいらっしゃるはず」
「1、2、3、4、5。向こう側から5人分の生命力を感じるから、ちゃんと揃ってるみたいだね」

 扉を見つめていたノアはコクッと頷き、そのあと私へと顔が向いた。

「挨拶をする前に、もう一度確認しておくね。王太子や国王夫妻と一緒にいる、弟――王子2人は、違うんだよね? サーラに嫌な思いをさせたことは、なかったんだよね?」
「うん。お二人だけは違っていて、よくしていただいたよ」

『おまけにこの方は、第2第3王子殿下とは真逆――かなり自己中心的かつ、端的に言うと「バカ」。この親でなかったら廃嫡されていたほどなので、関係を絶てるのは嬉しい』

 第2王子殿下カミーユ様と、第3王子殿下ディディエ様。この方々は常識人で、ことあるごとに『兄や両親がすみません……』『お力になれず申し訳ございません……』と唇を噛んでくださっていた。
 カミーユ様とディディエ様は、陛下王妃殿下と正反対――私とメリッサのような立ち位置になっていて、お二人からの当たりがかなりきつい。そのせいで一切、私的に動けなくなっていたんだよね。

(じゃあ、新しい方・・・・では彼らに任せたらいいね)
「? ノア? 今、なんて言ったの?」
「ううん、なんでもないよ。……標的の確認も終わったことだし、いくねサーラ」

 ノアは2度左右に首を振ったあと、前足で扉を引っ掻いた。そうするとまるで飴細工のように鉄扉が引き裂かれ、そうして――

「「「ひぃぃぃぃ!?」」」

 ――私達の視界内に、青ざめたオーギュスタン様達が現れたのでした。

しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜

織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。 侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。 学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

婚約破棄がやって来る

あんど もあ
ファンタジー
賊に馬車を襲われた公爵令嬢。なぜか、彼女は喜んで娼館に売られたがる……。

私を追放した王子が滅びるまで、優雅にお茶を楽しみますわ

タマ マコト
ファンタジー
王国の茶会の場で、マリアンヌは婚約者である王子アレクシスから突然の婚約破棄を告げられる。 理由は「民に冷たい」という嘘。 新しい聖女リリアの策略により、マリアンヌは「偽りの聖女」として追放される。 だがマリアンヌは涙を見せず、静かに礼をしてその場を去る。 辺境の地で彼女は小さな館を構え、「静寂の館」と名づけ、紅茶と共に穏やかな日々を過ごし始める。 しかし同時に、王都では奇跡が失われ、作物が枯れ始めていた――。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...