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第9話 一方的な進撃 サーラ視点(2)
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「サーラ。こういう非常事態の時は、偉い人達はどこに避難するようになってるの?」
「お城の2階部分の一番奥にある、大部屋。そこに隠れるようになってるよ」
「そうなんだ。階段は…………そっちだね」
私は王太子妃になると決まっていたから、あれこれ情報を持っている。そのため私達は迷うことなくオーギュスタン様たちのもとを目指し、
「陛下のもとへは行かさんぞ!!」
「お前達をここで食い止める!!」
途中で、陛下や殿下直属の護衛――爆発でも気圧されない更に腕の立つ方が、左右の手に鋭利な剣を携え立ちはだかった。でも、
「我が一族は、王族の剣。我が一族、300年の研磨をあじわぇぇぇぇぇぇ!!」
「その迫力と殺気、人間相手なら敵なしだったんだろうね。……安心していいよ、今回は相手が悪かっただけだ」
軽く薙がれた右の前足によって壁に叩きつけられ、一人目は失神。その隙をついて飛び掛かったもう一人も、戻ってきた右前足によってあっさりを意識を奪い取られてしまった。
「これで…………邪魔をする人は、いなくなったみたいだね」
「そうだね。大丈夫みたい」
お城には使用人など働いている人がどっさりいるけど、皆さんは非戦闘員だからどこかに隠れているみたい。なのですっかり静かになった通路を進んで、やがて分厚い鉄の扉で塞がれた部屋の前にたどり着いた。
「ここだよ。この向こうに、オーギュスタン様――陛下や王妃殿下、第2第3王子殿下もいらっしゃるはず」
「1、2、3、4、5。向こう側から5人分の生命力を感じるから、ちゃんと揃ってるみたいだね」
扉を見つめていたノアはコクッと頷き、そのあと私へと顔が向いた。
「挨拶をする前に、もう一度確認しておくね。王太子や国王夫妻と一緒にいる、弟――王子2人は、違うんだよね? サーラに嫌な思いをさせたことは、なかったんだよね?」
「うん。お二人だけは違っていて、よくしていただいたよ」
『おまけにこの方は、第2第3王子殿下とは真逆――かなり自己中心的かつ、端的に言うと「バカ」。この親でなかったら廃嫡されていたほどなので、関係を絶てるのは嬉しい』
第2王子殿下カミーユ様と、第3王子殿下ディディエ様。この方々は常識人で、ことあるごとに『兄や両親がすみません……』『お力になれず申し訳ございません……』と唇を噛んでくださっていた。
カミーユ様とディディエ様は、陛下王妃殿下と正反対――私とメリッサのような立ち位置になっていて、お二人からの当たりがかなりきつい。そのせいで一切、私的に動けなくなっていたんだよね。
(じゃあ、新しい方では彼らに任せたらいいね)
「? ノア? 今、なんて言ったの?」
「ううん、なんでもないよ。……標的の確認も終わったことだし、いくねサーラ」
ノアは2度左右に首を振ったあと、前足で扉を引っ掻いた。そうするとまるで飴細工のように鉄扉が引き裂かれ、そうして――
「「「ひぃぃぃぃ!?」」」
――私達の視界内に、青ざめたオーギュスタン様達が現れたのでした。
「お城の2階部分の一番奥にある、大部屋。そこに隠れるようになってるよ」
「そうなんだ。階段は…………そっちだね」
私は王太子妃になると決まっていたから、あれこれ情報を持っている。そのため私達は迷うことなくオーギュスタン様たちのもとを目指し、
「陛下のもとへは行かさんぞ!!」
「お前達をここで食い止める!!」
途中で、陛下や殿下直属の護衛――爆発でも気圧されない更に腕の立つ方が、左右の手に鋭利な剣を携え立ちはだかった。でも、
「我が一族は、王族の剣。我が一族、300年の研磨をあじわぇぇぇぇぇぇ!!」
「その迫力と殺気、人間相手なら敵なしだったんだろうね。……安心していいよ、今回は相手が悪かっただけだ」
軽く薙がれた右の前足によって壁に叩きつけられ、一人目は失神。その隙をついて飛び掛かったもう一人も、戻ってきた右前足によってあっさりを意識を奪い取られてしまった。
「これで…………邪魔をする人は、いなくなったみたいだね」
「そうだね。大丈夫みたい」
お城には使用人など働いている人がどっさりいるけど、皆さんは非戦闘員だからどこかに隠れているみたい。なのですっかり静かになった通路を進んで、やがて分厚い鉄の扉で塞がれた部屋の前にたどり着いた。
「ここだよ。この向こうに、オーギュスタン様――陛下や王妃殿下、第2第3王子殿下もいらっしゃるはず」
「1、2、3、4、5。向こう側から5人分の生命力を感じるから、ちゃんと揃ってるみたいだね」
扉を見つめていたノアはコクッと頷き、そのあと私へと顔が向いた。
「挨拶をする前に、もう一度確認しておくね。王太子や国王夫妻と一緒にいる、弟――王子2人は、違うんだよね? サーラに嫌な思いをさせたことは、なかったんだよね?」
「うん。お二人だけは違っていて、よくしていただいたよ」
『おまけにこの方は、第2第3王子殿下とは真逆――かなり自己中心的かつ、端的に言うと「バカ」。この親でなかったら廃嫡されていたほどなので、関係を絶てるのは嬉しい』
第2王子殿下カミーユ様と、第3王子殿下ディディエ様。この方々は常識人で、ことあるごとに『兄や両親がすみません……』『お力になれず申し訳ございません……』と唇を噛んでくださっていた。
カミーユ様とディディエ様は、陛下王妃殿下と正反対――私とメリッサのような立ち位置になっていて、お二人からの当たりがかなりきつい。そのせいで一切、私的に動けなくなっていたんだよね。
(じゃあ、新しい方では彼らに任せたらいいね)
「? ノア? 今、なんて言ったの?」
「ううん、なんでもないよ。……標的の確認も終わったことだし、いくねサーラ」
ノアは2度左右に首を振ったあと、前足で扉を引っ掻いた。そうするとまるで飴細工のように鉄扉が引き裂かれ、そうして――
「「「ひぃぃぃぃ!?」」」
――私達の視界内に、青ざめたオーギュスタン様達が現れたのでした。
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