上 下
19 / 23

第11話 もう一つのカリキュラム ジュリア視点(1)

しおりを挟む
「てぃ、ティアゴ様……。これは、いったい……?」

 午後7時過ぎ、ディナーの時間。完治しているためわたしは食堂にいて、そんなわたしは唖然となって目の前にあるテーブルを凝視していた。
 パンとカボチャのスープ、シーザーサラダや白身魚のムニエル。これは、いいの。わたしを唖然とさせているのは、その隣にある――


 どす黒い球体。


 美しいデザート皿に載った、この禍々しい塊はなんなの!?

「これは僕が調合した材料で作った『団子』というものでして、食べ物でありお薬でもあるもの。毒素を出しつつ活性化させる――要するに身体から悪い物を出して、元気になるお手伝いをしてくれるものなのですよ」

 どう見ても、死に至らしめる呪いの飲み物だけど……。この方がそう仰るのなら無害なもの。
 とりあえずは、一安心ね。とりあえず、は……。

「『お姉様に健康を維持していただく』――エマ様の想いを知ったら、じっとしていられなくなりましてね。僕も本日より、微力ながらお手伝いをさせていただきます」
「お姉様。ティアゴ様は、様々なアイディアを出してくださったのですよ。再び、西洋東洋の融合が実現したのですっ」
「そ、そうだったのね。あ、ありがとう、ございます」

 西洋と東洋の融合。わたしにとっては最悪な組み合わせで、おもわず泣きそうになってくる。
 でもそうなると不自然だから、我慢。涙の代わりに笑顔を返し、ティアゴ様特製デザート? へと視線を移す。

「こちらは。普通に食せば、よろしいのでしょうか?」
「ええ。1日3回、食事の際に一緒に食べていただくだけで効果がありますよ」

 ……ティアゴ様。『だけ』? これを、食べるだけって……。簡単に仰りますが……。

「こ、この色を口にするのは、勇気がいりますわね……。ち、ちなみに、どんな材料が使用されているのでしょうか?」
「………………」
「てぃ、ティアゴ様? ティアゴ様?」

 どっ、どうして黙ったままなんですか!?
 もっ、もしかして……。言えないものが入っているの!?

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

役目を終えて現代に戻ってきた聖女の同窓会

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,684pt お気に入り:77

百鬼夜荘 妖怪たちの住むところ

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:937pt お気に入り:16

会社を辞めて騎士団長を拾う

BL / 完結 24h.ポイント:1,485pt お気に入り:38

待ち遠しかった卒業パーティー

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,535pt お気に入り:1,291

悪役令息の義姉となりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21,833pt お気に入り:1,377

処理中です...