婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります

柚木ゆず

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第1話 そんな噂はどこから? マリー視点

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「マリー様のお家リエスワーズ家は、大きな商会を持つ裕福なお家ですもの。潤沢な資産を使えば、買収、工作なんて容易ですものねぇ。……全てが露見して台無しになってしまっていますけれど、とても羨ましいですわぁ」
「…………ミラ様、そういった事実はございません。それらは根も葉もないものでして、そちらはどういった経緯で知得されたのでしょうか?」

 ありもしないことを唯々諾々と受け入れ、放置できるはずがない。私はすぐさま、真剣な顔で問いかけた。

「ぇっ!? あ、あら? え……? ど、動揺、しない……?」
「全ては事実無根ですので。そういった状態に陥りはしませんよ」
「で、でも……。信憑性が……。え? え……? え……っ?」
「貴方様や皆様のご様子で、そういった予感はありました。……ミラ様、お教えください。そのような噂は、どのように入手されたのですか?」

 それらが事実として広まってしまえば、私個人だけではなく『家』にも大きな悪影響を及ぼしてしまう。祖父母、お父様お母様。尊敬している人であり大切な人達に、様々な悪い影響が出てしまう。
 なので私は改めて、ミラ様の瞳を真正面から見つめた。

「ゆ、友人から伺いましたわ。で、ですがその方も、お知り合いから聞いたと仰っていましたわ。出所は不明で――みっ、皆様っ。皆様も似たものだと仰ってましたよねっ?」
「は、はい。わたしも知人から――ミラ様の方とは別の人間から、聞きました」
「俺も、同じです。又聞きです」

 近くにいらっしゃった方々にミラ様が尋ねると、返ってきた答えは同じ。その噂は、広範囲で広がっているみたいね。

「わたくしも友人も、直接聞いてはいませんけど……。お屋敷内での行動内容に真実味があり、噂を零してしまったとされる『ノエル』と『ミリア』と『カサンドラ』――使用人の名前がちゃんと出ていて……。その知人はそのうちの、お二人の名を知っていましたから――実在すると、知っていましたから……。作り話のはずがないと、考えていましたの……」
「ミラ様、皆様にも、念のため確認をさせていただきます。ご友人が把握されていた2人とは、ノエルとミリアですよね?」

 私が、今までに見せたことのない勢いで迫っているからだと思う。ミラ様は気圧され後ずさってしまっているけれど、手掛かりになるかもしれない情報があった。そこで更に追及を行うと、その結果、一様に頷きが返ってきた。

((……だとしたら、そういうことね。発生源――元凶の正体が分かったわ))

 なので今すぐ噂の対応を行いたいのだけれど、侯爵家主催の夜会が始まるので去ることはできない。そこで『後日嘘だと証明します』と他の参加者様にも伝えて場を落ち着かせ、会が終わるのを待つ。
 そうしてその時が訪れると大急ぎでお屋敷へと戻り、まずはお父様達に説明をする。けれどそれが終わる頃にはすでに深夜を回っていたので、少し休んで日が昇ると同時に出発。私とお父様は、『原因』がいる場所を目指したのでした。

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