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エピローグ 明るく広がってゆく未来 マリー視点(2)
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だから――
「移動の際の暇つぶしを考えていたのですが。それは不要だったようですね」
「そうですね。私も考えていましたが、無駄になってしまいました」
「……また、発見がありましたね」
「……はい。お喋りは、こんなにも楽しく、夢中になれるものだったのですね」
「マリー様。こちらが、僕が一番好きな場所と景色です」
「……とても綺麗で、いい匂いですね。心地のいい場所、気持ちのいい景色です」
「…………またも、発見しました。自分の『好き』を知っていただけることも、こんなにも幸せをもたらしてくれるのですね」
「私もです。アーロン様の『好き』を知り、実際に訪れられていることが、幸せでたまりません」
「……マリー様。次は貴方様の一番を、教えていただけませんか?」
「喜んで。アーロン様は、いつお時間がおありでしょうか?」
「明日からは公務が入っておりまして、来週――5日後は、時間を確保できます。マリー様は、その日は……」
「空いております。ですので」
「ええ。次はその日に、お会い致しましょう」
移動中も到着してからも新発見の連続で、笑顔が絶えることがなかった。お互いが強く望んで次の予定まであっさりと決まり、あっという間に7時間の初デートは終わった。
「………………困りましたね。まだ戻りたくない、別れたくないと思っています」
「………………そこも、一致ですね。私も同じ気持ちですよ」
当初の予定は5時間だったのに。そんなやり取りがあって2時間伸びて、予想通りに――いいえ。予想以上に楽しい思い出が生まれて、幸せな時間を過ごすことができた。
でも――。さようならをすると、すぐ会いたくなってきてしまう。
あんなに一緒にいたはずなのに、お顔を、お声を、見て聞きたくなってしまう。
((こんなにも我が儘になってしまうなんて、私らしくないわね。でも、ふふっ))
そんな変化が嬉しくて、どこか誇らしくて仕方がない自分もいて。おもわず笑みが零れてしまう。
わくわくと、そわそわ。
知れば知るほど好きになってしまう方のおかげで、私には新しい楽しみ、待ち遠しいものができて――
「マリー様、5日振りですね。……早くこの日にならないかと、毎日願っておりました」
「私もです。お会いできて嬉しいです、アーロン様」
――その変化はアーロン様にも起きていて。私は馬車から足早に降りられたアーロン様に駆け寄り、満面の笑みを浮かべ合ったのだった。
『未来のことは分からない』『絶対なんてない』。
よくそんな言葉を聞くけれど、アーロン様と私の間に限っては、そんなことはないと思う。
楽しい思い出が増えていくのも、幸せな時間が続いてゆくのも、絶対。
だから私達の未来は、明るい方向へと広がっていって――。
時期は分からないけれど、いつか必ず。
この関係はもう一度、嬉しい方向に変化する。
そう、私――だけではなくアーロン様も、確信をしたのだった。
「移動の際の暇つぶしを考えていたのですが。それは不要だったようですね」
「そうですね。私も考えていましたが、無駄になってしまいました」
「……また、発見がありましたね」
「……はい。お喋りは、こんなにも楽しく、夢中になれるものだったのですね」
「マリー様。こちらが、僕が一番好きな場所と景色です」
「……とても綺麗で、いい匂いですね。心地のいい場所、気持ちのいい景色です」
「…………またも、発見しました。自分の『好き』を知っていただけることも、こんなにも幸せをもたらしてくれるのですね」
「私もです。アーロン様の『好き』を知り、実際に訪れられていることが、幸せでたまりません」
「……マリー様。次は貴方様の一番を、教えていただけませんか?」
「喜んで。アーロン様は、いつお時間がおありでしょうか?」
「明日からは公務が入っておりまして、来週――5日後は、時間を確保できます。マリー様は、その日は……」
「空いております。ですので」
「ええ。次はその日に、お会い致しましょう」
移動中も到着してからも新発見の連続で、笑顔が絶えることがなかった。お互いが強く望んで次の予定まであっさりと決まり、あっという間に7時間の初デートは終わった。
「………………困りましたね。まだ戻りたくない、別れたくないと思っています」
「………………そこも、一致ですね。私も同じ気持ちですよ」
当初の予定は5時間だったのに。そんなやり取りがあって2時間伸びて、予想通りに――いいえ。予想以上に楽しい思い出が生まれて、幸せな時間を過ごすことができた。
でも――。さようならをすると、すぐ会いたくなってきてしまう。
あんなに一緒にいたはずなのに、お顔を、お声を、見て聞きたくなってしまう。
((こんなにも我が儘になってしまうなんて、私らしくないわね。でも、ふふっ))
そんな変化が嬉しくて、どこか誇らしくて仕方がない自分もいて。おもわず笑みが零れてしまう。
わくわくと、そわそわ。
知れば知るほど好きになってしまう方のおかげで、私には新しい楽しみ、待ち遠しいものができて――
「マリー様、5日振りですね。……早くこの日にならないかと、毎日願っておりました」
「私もです。お会いできて嬉しいです、アーロン様」
――その変化はアーロン様にも起きていて。私は馬車から足早に降りられたアーロン様に駆け寄り、満面の笑みを浮かべ合ったのだった。
『未来のことは分からない』『絶対なんてない』。
よくそんな言葉を聞くけれど、アーロン様と私の間に限っては、そんなことはないと思う。
楽しい思い出が増えていくのも、幸せな時間が続いてゆくのも、絶対。
だから私達の未来は、明るい方向へと広がっていって――。
時期は分からないけれど、いつか必ず。
この関係はもう一度、嬉しい方向に変化する。
そう、私――だけではなくアーロン様も、確信をしたのだった。
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