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第2話 2日後 証拠その1を得るための接触と、小さなお返しと大きなお返し(1)
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「エドゥアルさん、ようこそ。今日は、何を食べたいですか?」
「ソフィーが作ってくれる料理ならなんでもいいけど、そうだな……。こないだ食べた、ガーリックライスステーキ載せが美味しかった。それ、作れる?」
「できますよ。これから調理しますね」
真実を知りマリユ様と出会った日から、2日後。正午前に彼がやって来て、私はダイニングスペースに案内した後キッチンに立った。
私は『ハトの知人』さんに感化されてお料理が趣味になっていて、この時間に来た時はお手製のランチを振舞うのが定番。こんな人にご飯を作りたくはないけど、怪しまれないために腕を振るいます!
「まずは、お肉をカットして……。塩コショウなどのスパイスを振って……。フライパンを温めて……」
準備が出来たらまずは牛ヒレ肉を焼いて、この人はレアが好きなので早めに火から上げる。そうして余熱で火を通している間に、牛の脂がたっぷりこぼれたフライパンにニンニクのスライス、熱々のご飯の順に投入。ライスにニンニクと牛脂の風味を纏わせたら塩コショウで味を調え、
((ここに……))
今日はエドゥアルのために一手間加えて、出来上がり。その名の通りガーリックライスの上にカットしたステーキを載せた一品が完成し、私達はテーブルに向かい合って座った。
「ありがとう、ソフィー。いただきます」
「どういたしまして。いただきます」
よくよく考えてみたら、彼はウチで食べる時は値が張るものばかり望んでいた――。ずっと私を、無償で提供する便利なシェフ、と思ってたんだろうな――。どうして気付かなかったんだろ――。
「美味しい……っ。ソフィーは、相変わらず料理上手だ。プロの料理人より上手いよ」
「えへへ、そうですか? ありがとうございます」
この言葉も嘘で、心の中ではきっと嗤ってる――。照れてた私をバカにし続けててたんだ――。こんなの、酷い――。
色々な感情が浮かんできて、また悔しくなってきちゃう。だけどマリユ様のおかげで大きな反撃ができるようになっているし、
「ごぶっ!? 辛っ!?」
実はステーキの1カットにはスパイスをこれでもかと振りかけていて、彼は鼻水を噴き出して涙目になった。
「ぁがぁぁ……!? から……っ! から……っっ!? からぁ……っっっ!?」
我ながらこういうのは陰湿だとは思うけど、相手はワンちゃんの唾液を食べさせた人なんだもん。それに『このあと』のためにも、こういった行為は必要だった。なのでまずは小さなお返しをさせてもらい、
「ご、ごめんなさい。実は瓶の蓋が開いて、中身が全部出てまして……。私のものと交換しようと思いましたが、そちらの肉質がより良かったので……。取り除くことにしたのですが、残っていたみたいです」
「い、いや、気にひないでくれ。ご、ご馳走様」
彼の唇が腫れた我慢のランチは、ようやくお仕舞い。お茶を飲んで暫くリラックスしたら2階にある私のお部屋に移動して、いよいよスタート。いつも通りの雑談の皮をかぶった、証拠確保作戦が始まります……!
「ソフィーが作ってくれる料理ならなんでもいいけど、そうだな……。こないだ食べた、ガーリックライスステーキ載せが美味しかった。それ、作れる?」
「できますよ。これから調理しますね」
真実を知りマリユ様と出会った日から、2日後。正午前に彼がやって来て、私はダイニングスペースに案内した後キッチンに立った。
私は『ハトの知人』さんに感化されてお料理が趣味になっていて、この時間に来た時はお手製のランチを振舞うのが定番。こんな人にご飯を作りたくはないけど、怪しまれないために腕を振るいます!
「まずは、お肉をカットして……。塩コショウなどのスパイスを振って……。フライパンを温めて……」
準備が出来たらまずは牛ヒレ肉を焼いて、この人はレアが好きなので早めに火から上げる。そうして余熱で火を通している間に、牛の脂がたっぷりこぼれたフライパンにニンニクのスライス、熱々のご飯の順に投入。ライスにニンニクと牛脂の風味を纏わせたら塩コショウで味を調え、
((ここに……))
今日はエドゥアルのために一手間加えて、出来上がり。その名の通りガーリックライスの上にカットしたステーキを載せた一品が完成し、私達はテーブルに向かい合って座った。
「ありがとう、ソフィー。いただきます」
「どういたしまして。いただきます」
よくよく考えてみたら、彼はウチで食べる時は値が張るものばかり望んでいた――。ずっと私を、無償で提供する便利なシェフ、と思ってたんだろうな――。どうして気付かなかったんだろ――。
「美味しい……っ。ソフィーは、相変わらず料理上手だ。プロの料理人より上手いよ」
「えへへ、そうですか? ありがとうございます」
この言葉も嘘で、心の中ではきっと嗤ってる――。照れてた私をバカにし続けててたんだ――。こんなの、酷い――。
色々な感情が浮かんできて、また悔しくなってきちゃう。だけどマリユ様のおかげで大きな反撃ができるようになっているし、
「ごぶっ!? 辛っ!?」
実はステーキの1カットにはスパイスをこれでもかと振りかけていて、彼は鼻水を噴き出して涙目になった。
「ぁがぁぁ……!? から……っ! から……っっ!? からぁ……っっっ!?」
我ながらこういうのは陰湿だとは思うけど、相手はワンちゃんの唾液を食べさせた人なんだもん。それに『このあと』のためにも、こういった行為は必要だった。なのでまずは小さなお返しをさせてもらい、
「ご、ごめんなさい。実は瓶の蓋が開いて、中身が全部出てまして……。私のものと交換しようと思いましたが、そちらの肉質がより良かったので……。取り除くことにしたのですが、残っていたみたいです」
「い、いや、気にひないでくれ。ご、ご馳走様」
彼の唇が腫れた我慢のランチは、ようやくお仕舞い。お茶を飲んで暫くリラックスしたら2階にある私のお部屋に移動して、いよいよスタート。いつも通りの雑談の皮をかぶった、証拠確保作戦が始まります……!
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