12 / 72
第2話 2日後 証拠その1を得るための接触と、小さなお返しと大きなお返し(3)
しおりを挟む
「知人との打ち合わせが早く終わり、その者の提案で趣味に付き合っていたのですよ」
「ああ。そういえば以前、お菓子作りが趣味な友人が居る、そう仰っていましたね」
「そうです、そうなのですよ。歴19年の知人に教わって作った、手作りトリュフ。味に自信があります故、どうぞ召し上げってください」
ノアムお父様は上機嫌でやって来て、エドゥアルの前には左手に持っていた箱を、私の前には右手に持っていた箱を置いた。
引き続きやけにニコニコしていて、1箱トリュフが12個入り――量的には1つだけでいいのに、わざわざ私と彼のを別にする。お父様……。そっちのチョコには、何か入ってますよね……?
「いやぁ、お菓子作りもよいものですなぁ。リフレッシュにもなりますし――おっと失敬。こうして喋っていれば、食べるタイミングを見失ってしまいますな。エドゥアル殿、失礼いたしました」
「いえ、お気になさらず。では、有難く頂戴しましょう」
彼は微塵も疑うことなく摘まんで口へと運び、私にも勧めてくれるお父様の顔は嬉々としている。
お父様。間違いなく、入れてますよね。
「では、わたしも。…………うむ。自画自賛となってしまいますが、いい味だ」
「俺が好きなビターで、口触りも滑らかですね。実に美味しい」
「おお、それはよかった。ささ、さささっ。もう一粒、いえ。よろしければ、お好きなだけどうぞ」
「一流パティシエのような出来栄えで、大げさではなく美味しい。お言葉に甘えて、いただきます」
この人は、『前回はゴマをする場面が多くてストレスが溜まった』とも言っていた。なのできっと内心では小馬鹿にしながら応じ、にこやかに食べ進める。
そして多分お父様も内心では小馬鹿にしていて、その後も2人は本心を隠しながら楽しげにお喋り。気が付くと30分以上も経過しており、エドゥアルが帰る時間となった。
「あまりに美味しく、結局全て食べてしまいました。まったく、俺は卑しい男です」
「いえいえっ、それはこの上ない喜びですよ。今日はいつも以上に楽しい時間を過ごせました。お気をつけて」
「こちらこそ、素晴らしい時間を過ごせました。ソフィー、またね。お義父さん、失礼します」
そうして彼は馬車に乗って去ってゆき、それを見送っていたお父様は――
「……エドゥアル、まもなくショーが始まるぞ。楽しみしているんだな」
と、ものすごく腹黒い笑みを浮かべていた。
何度聞いても『何もしていないよ』と返って来るけど、明らかに何かしてる。あの人の身に、これから何が起きるんだろ……?
「ああ。そういえば以前、お菓子作りが趣味な友人が居る、そう仰っていましたね」
「そうです、そうなのですよ。歴19年の知人に教わって作った、手作りトリュフ。味に自信があります故、どうぞ召し上げってください」
ノアムお父様は上機嫌でやって来て、エドゥアルの前には左手に持っていた箱を、私の前には右手に持っていた箱を置いた。
引き続きやけにニコニコしていて、1箱トリュフが12個入り――量的には1つだけでいいのに、わざわざ私と彼のを別にする。お父様……。そっちのチョコには、何か入ってますよね……?
「いやぁ、お菓子作りもよいものですなぁ。リフレッシュにもなりますし――おっと失敬。こうして喋っていれば、食べるタイミングを見失ってしまいますな。エドゥアル殿、失礼いたしました」
「いえ、お気になさらず。では、有難く頂戴しましょう」
彼は微塵も疑うことなく摘まんで口へと運び、私にも勧めてくれるお父様の顔は嬉々としている。
お父様。間違いなく、入れてますよね。
「では、わたしも。…………うむ。自画自賛となってしまいますが、いい味だ」
「俺が好きなビターで、口触りも滑らかですね。実に美味しい」
「おお、それはよかった。ささ、さささっ。もう一粒、いえ。よろしければ、お好きなだけどうぞ」
「一流パティシエのような出来栄えで、大げさではなく美味しい。お言葉に甘えて、いただきます」
この人は、『前回はゴマをする場面が多くてストレスが溜まった』とも言っていた。なのできっと内心では小馬鹿にしながら応じ、にこやかに食べ進める。
そして多分お父様も内心では小馬鹿にしていて、その後も2人は本心を隠しながら楽しげにお喋り。気が付くと30分以上も経過しており、エドゥアルが帰る時間となった。
「あまりに美味しく、結局全て食べてしまいました。まったく、俺は卑しい男です」
「いえいえっ、それはこの上ない喜びですよ。今日はいつも以上に楽しい時間を過ごせました。お気をつけて」
「こちらこそ、素晴らしい時間を過ごせました。ソフィー、またね。お義父さん、失礼します」
そうして彼は馬車に乗って去ってゆき、それを見送っていたお父様は――
「……エドゥアル、まもなくショーが始まるぞ。楽しみしているんだな」
と、ものすごく腹黒い笑みを浮かべていた。
何度聞いても『何もしていないよ』と返って来るけど、明らかに何かしてる。あの人の身に、これから何が起きるんだろ……?
9
あなたにおすすめの小説
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです
ほーみ
恋愛
「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」
その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。
──王都の学園で、私は彼と出会った。
彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。
貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。
夫から「余計なことをするな」と言われたので、後は自力で頑張ってください
今川幸乃
恋愛
アスカム公爵家の跡継ぎ、ベンの元に嫁入りしたアンナは、アスカム公爵から「息子を助けてやって欲しい」と頼まれていた。幼いころから政務についての教育を受けていたアンナはベンの手が回らないことや失敗をサポートするために様々な手助けを行っていた。
しかしベンは自分が何か失敗するたびにそれをアンナのせいだと思い込み、ついに「余計なことをするな」とアンナに宣言する。
ベンは周りの人がアンナばかりを称賛することにコンプレックスを抱えており、だんだん彼女を疎ましく思ってきていた。そしてアンナと違って何もしないクラリスという令嬢を愛するようになっていく。
しかしこれまでアンナがしていたことが全部ベンに回ってくると、次第にベンは首が回らなくなってくる。
最初は「これは何かの間違えだ」と思うベンだったが、次第にアンナのありがたみに気づき始めるのだった。
一方のアンナは空いた時間を楽しんでいたが、そこである出会いをする。
融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。
音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。
格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。
正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。
だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。
「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる