婚約者と幼馴染が浮気をしていたので、チクチク攻撃しながら反撃することにしました

柚木ゆず

文字の大きさ
34 / 72

第9話 7日後の夜 3回目の状況確認と、ハトの知人からのサプライズ(2)

しおりを挟む
《ソフィーさん。ソフィーさんが好きな食べ物って、なんですか?》
《私が好きな食べ物は、ケーキです。病気になってしまった影響で約1年間も食べられなくって、その反動なのか好きが大好きになっちゃいました。一番のお気に入りはザッハトルテで、二番目はアップルパイです》
《教えてくれてありがとう。それを知って、いいことを思い付きました。3日後を、楽しみにしていてくださいね》

 そんなやりとりがあった3日後は、私の誕生日。その日になんとホールのザッハトルテが届いて、それからは毎年誕生日などおめでたい日には必ず、手作りのソレを贈ってくれていたんです。
 だから私にとって、ザッハトルテは特別なもの。『ハトの知人』さんの優しさがたっくさん詰まった宝物で、箱や袋は全て部屋で保存しています。

「今日は、ソフィー様の作戦が全て終わる日。お祝いの日。『ハトの知人』は成功を確信していて、せっせと作っていましたよ」
「知人さん……っ。ありがとう……っ。嬉しい……っ」

 自然と零れてきた嬉し涙を拭いつつケーキに頭を下げて、正面、そして斜め前方――アリス様がいらっしゃるジョンピス邸がある方向にもお辞儀をして、その後すぐにお皿とフォークとナイフを2セット用意した。
 ちなみにこれは、食い意地が張っているんじゃありません。大切な人の想いを、早く味わいたい。そんな思いで、毎回すぐ1カット味わうようにしているのです。

「マリユ様。『ハトの知人』さんは毎回、食べきれない分はご家族とお召し上がりください、って言ってくれているんです。今夜はお父様は留守ですので、一緒に食べていただけませんか?」
「喜んで。御一緒させていただきます」
「ありがとうございます……っ。今、切り分けますね」

 改めて『ハトの知人』さんに感謝をしながらカットして、まずはマリユ様に――お取りしようとしたら、「こちらは、ソフィー様のための物です。1カット目はソフィー様がお取りください」。そう仰ってくださったので、2カット目が載ったお皿をお渡しする。そして更には、「同様の理由で、まずはソフィー様がお召し上がりください」とのことなので、お言葉に甘えて先に頂く。

「……『ハトの知人』さん。いただきます」

 フォークで一口大にして、口へと運ぶ。そうするとふわ~っと濃厚な味わいが広がっていって、あっという間に口内が楽園になる。
 チョコレートのほろ苦い甘さと、『優しい甘さと柔らかさ』――知人さん特製のものに含まれている、知人さんからの想いが作る不思議で素敵な感覚。それらが絡み合って、思わず笑みが零れてしまいます。

「ふふっ。その表情で、語らずとも感想を理解できます」
「本当に、幸せです……っ。マリユ様、お待たせしました。妹さん作のものですからヘンテコなんですけど、どうぞお召し上がりください」
「ええ。いただきます」

 そうしてマリユ様も味わい、美味しいと破顔。それから私達は微笑み合いながら残りのザッハトルテを味わって、その最中に――。ふと、不思議なことが起きたのです。

しおりを挟む
感想 226

あなたにおすすめの小説

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

夫から「余計なことをするな」と言われたので、後は自力で頑張ってください

今川幸乃
恋愛
アスカム公爵家の跡継ぎ、ベンの元に嫁入りしたアンナは、アスカム公爵から「息子を助けてやって欲しい」と頼まれていた。幼いころから政務についての教育を受けていたアンナはベンの手が回らないことや失敗をサポートするために様々な手助けを行っていた。 しかしベンは自分が何か失敗するたびにそれをアンナのせいだと思い込み、ついに「余計なことをするな」とアンナに宣言する。 ベンは周りの人がアンナばかりを称賛することにコンプレックスを抱えており、だんだん彼女を疎ましく思ってきていた。そしてアンナと違って何もしないクラリスという令嬢を愛するようになっていく。 しかしこれまでアンナがしていたことが全部ベンに回ってくると、次第にベンは首が回らなくなってくる。 最初は「これは何かの間違えだ」と思うベンだったが、次第にアンナのありがたみに気づき始めるのだった。 一方のアンナは空いた時間を楽しんでいたが、そこである出会いをする。

融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。

音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。 格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。 正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。 だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。 「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

処理中です...