39 / 72
第11話 12目目 昼 カーラの表情は、やがて180度変わる 俯瞰視点(3)
しおりを挟む
「………………れ、レニファ―……っ!? レニファ―って誰よ……っっ!?」
『親愛なるレニファ―』。ラストにあった人名を目にしてから、およそ30秒後。ようやく彼女は我に返り、改めて便箋に指をめり込ませました。
「カーラじゃなくて、ソフィーでもなくって、レニファ―!? レニファ―って何者!?」
カーラとレニファ―という名前に酷似した点はなく、そもそも文字数が違っています。そのため『書き間違えている』という可能性は皆無で、とある2文字が頭を過りました。
「……もしかして……。浮気を、している……?」
大量の愛の言葉。デート。高価なプレゼント。それらを合わせると、必然的にそういったことになってしまいます。
「エドゥは、あんなにもわたくしに夢中……。あり得ない、けれど……。そういえば……」
『いいかい、カーラ。浮気を持ちかけられても、決して応じてはいけない。「真実の愛に気付いたんだよ」などと言われても、受け入れては駄目よ』
『ワタシはこれまで、そうして破滅してきた者を何人も見てきた。浮気をする男は、いずれまた浮気をする。もし応じた場合はその相手を傷つける事になる上に、次はカーラ自身が被害者になってしまうのよ』
今は亡き祖母の言葉を思い出し、ごくりと唾を飲み込みました。
「あの日おばあ様が、言った通りで……。エドゥは…………2回目の浮気を、している……?」
捨てられたのは、ソフィーだけじゃない。わたくしも、捨てようとしている……?
「いっ、いいえっ! そんな事はないっっ! あり得ないわっっ!」
だって昨日の彼は、間違いなくわたくしを心から愛していたもの!! エドゥはっ、エドゥだけは例外っっつ! 十人十色よっ!
カーラは心の中で捲し立て、更に続けます。
「それにっ、もし浮気が事実ならっ。エドゥは手紙を入れ間違えた事になるっ!」
そんな、致命的な間違いを犯すはずがない! これは――
これは、誰かのイタズラよっ!
そう言いかけていたカーラは、その言葉を発することができませんでした。
なぜならこの手紙は、エドゥアルとカーラ、2人だけの秘密だから。エドゥアルは家族や友人に見つからないようにしているため、『カラブ・エタナル』として手紙を書けるのは本人だけ。そう、知っていた――思い込んでいたからです。
『そうか。エドゥアル・ラインとカーラ・オグタルは、こうやって連絡を取り合っていたんだね』
マリユ。彼は自らの情報網を駆使し、このやり取りを把握していました。
そのため『二人だけの秘密』といった部分を利用し、先日こうして手紙を送っていたのです。
「……………………エドゥは――あの男は、浮気をしてる……っ。ずっと、していたのね…………っ!」
まんまと騙されていた。わたくしを弄んでいたなんて……! なんて、狡猾で見る目のない男なの……っ! 許さないっ! 許さない……っ! 乗り込んで一発殴って、こっちから関係を解消してやるっ! ある事ない事言って、慰謝料を請求してやる!!
カーラは顔を真っ赤にして椅子から立ち上がり、エドゥアルのもとへと行こうとします。が、そうはできません。
彼は両親と共に隣国へ出掛けており、帰って来るのは翌日の正午過ぎ。会いたくても会えないのです。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁ……!! 早くっ! 早くっ、アイツを思い切りなぐりたぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
そのためカーラは、頭を掻きむしって絶叫。明日の正午まで何もできないという、大きな大きな我慢を強いられることとなったのでした。
そして――。いざ会えたら会えたで、今度は別の不幸に襲われることになるのでした――。
『親愛なるレニファ―』。ラストにあった人名を目にしてから、およそ30秒後。ようやく彼女は我に返り、改めて便箋に指をめり込ませました。
「カーラじゃなくて、ソフィーでもなくって、レニファ―!? レニファ―って何者!?」
カーラとレニファ―という名前に酷似した点はなく、そもそも文字数が違っています。そのため『書き間違えている』という可能性は皆無で、とある2文字が頭を過りました。
「……もしかして……。浮気を、している……?」
大量の愛の言葉。デート。高価なプレゼント。それらを合わせると、必然的にそういったことになってしまいます。
「エドゥは、あんなにもわたくしに夢中……。あり得ない、けれど……。そういえば……」
『いいかい、カーラ。浮気を持ちかけられても、決して応じてはいけない。「真実の愛に気付いたんだよ」などと言われても、受け入れては駄目よ』
『ワタシはこれまで、そうして破滅してきた者を何人も見てきた。浮気をする男は、いずれまた浮気をする。もし応じた場合はその相手を傷つける事になる上に、次はカーラ自身が被害者になってしまうのよ』
今は亡き祖母の言葉を思い出し、ごくりと唾を飲み込みました。
「あの日おばあ様が、言った通りで……。エドゥは…………2回目の浮気を、している……?」
捨てられたのは、ソフィーだけじゃない。わたくしも、捨てようとしている……?
「いっ、いいえっ! そんな事はないっっ! あり得ないわっっ!」
だって昨日の彼は、間違いなくわたくしを心から愛していたもの!! エドゥはっ、エドゥだけは例外っっつ! 十人十色よっ!
カーラは心の中で捲し立て、更に続けます。
「それにっ、もし浮気が事実ならっ。エドゥは手紙を入れ間違えた事になるっ!」
そんな、致命的な間違いを犯すはずがない! これは――
これは、誰かのイタズラよっ!
そう言いかけていたカーラは、その言葉を発することができませんでした。
なぜならこの手紙は、エドゥアルとカーラ、2人だけの秘密だから。エドゥアルは家族や友人に見つからないようにしているため、『カラブ・エタナル』として手紙を書けるのは本人だけ。そう、知っていた――思い込んでいたからです。
『そうか。エドゥアル・ラインとカーラ・オグタルは、こうやって連絡を取り合っていたんだね』
マリユ。彼は自らの情報網を駆使し、このやり取りを把握していました。
そのため『二人だけの秘密』といった部分を利用し、先日こうして手紙を送っていたのです。
「……………………エドゥは――あの男は、浮気をしてる……っ。ずっと、していたのね…………っ!」
まんまと騙されていた。わたくしを弄んでいたなんて……! なんて、狡猾で見る目のない男なの……っ! 許さないっ! 許さない……っ! 乗り込んで一発殴って、こっちから関係を解消してやるっ! ある事ない事言って、慰謝料を請求してやる!!
カーラは顔を真っ赤にして椅子から立ち上がり、エドゥアルのもとへと行こうとします。が、そうはできません。
彼は両親と共に隣国へ出掛けており、帰って来るのは翌日の正午過ぎ。会いたくても会えないのです。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁ……!! 早くっ! 早くっ、アイツを思い切りなぐりたぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
そのためカーラは、頭を掻きむしって絶叫。明日の正午まで何もできないという、大きな大きな我慢を強いられることとなったのでした。
そして――。いざ会えたら会えたで、今度は別の不幸に襲われることになるのでした――。
10
あなたにおすすめの小説
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです
ほーみ
恋愛
「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」
その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。
──王都の学園で、私は彼と出会った。
彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。
貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。
夫から「余計なことをするな」と言われたので、後は自力で頑張ってください
今川幸乃
恋愛
アスカム公爵家の跡継ぎ、ベンの元に嫁入りしたアンナは、アスカム公爵から「息子を助けてやって欲しい」と頼まれていた。幼いころから政務についての教育を受けていたアンナはベンの手が回らないことや失敗をサポートするために様々な手助けを行っていた。
しかしベンは自分が何か失敗するたびにそれをアンナのせいだと思い込み、ついに「余計なことをするな」とアンナに宣言する。
ベンは周りの人がアンナばかりを称賛することにコンプレックスを抱えており、だんだん彼女を疎ましく思ってきていた。そしてアンナと違って何もしないクラリスという令嬢を愛するようになっていく。
しかしこれまでアンナがしていたことが全部ベンに回ってくると、次第にベンは首が回らなくなってくる。
最初は「これは何かの間違えだ」と思うベンだったが、次第にアンナのありがたみに気づき始めるのだった。
一方のアンナは空いた時間を楽しんでいたが、そこである出会いをする。
融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。
音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。
格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。
正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。
だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。
「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる