婚約破棄ですか？ それはこれから、私が貴方に行うものですよ？

エピローグ その後のルイーズ ルイーズ視点

「「「「「ルイーズ様っ。ご卒業おめでとうございますっ！」」」」」

　カフェテラスで婚約を破棄してから、およそ半年後。今日は、学院の卒業式。３年生だった私は今日巣立つことになり、１～２年生、ＯＧＯＢの皆様、先生方より沢山の祝福をいただいていました。

「ありがとうございます。皆様のおかげで、素晴らしい学院生活となりました」

　優秀な先生の教えを受け、人としての在り方を学びました。
　素敵な先輩方に導いていただけて、学院生としての在り方を学びました。
　素晴らしい同級生や下級生の方に触れて、多くの物を学び吸収しました。
　大変なことも、ありましたが。大切な一生の思い出となる、３年間となりました。

「ルイーズ様。卒業後も、仲良くしてくださいね」

　ありがとうございました――。学び舎にもお礼を告げていると、左手側からそんなお声が聞こえてきました。
　この方は、クラスメイトだったぺスユテ伯爵令嬢のミラ様。あの日カフェテリアで一緒にランチを摂っていた、一番親しいご学友です。

「はい。末永く、よろしくお願い致します」
「今まではほぼ毎日お会いしていたから、寂しくなりますわ。けれど明日また会えますから、寂しさは少し減りましたわ」

　明日は、隣国のカーレルン侯爵家に嫁がれたラティナ様――ミラ様のお姉様のご懐妊をお祝いするパーティーがあり、私も招待されています。ですのでお会いすることが可能で、私は微笑みに微笑みをお返ししました。

「お姉様も、ルイーズ様にお会いできることを楽しみにしていましたわ。それと……」
「？？？　どうかされましたか？」
「いえ、なんでもありませんわ。お待ちしておりますわね」

　ミラ様はクスリと口元を緩められて、私は首を傾げながらも返事を行いました。そうして時間が流れて、次の日の夕刻。パーティーに参加するべくぺスユテ邸を訪れ、そこでとある方とお会いすることになりました。

「ルイーズ様。今夜は、会っていただきたい方がいらっしゃいますの」
「始めまして。わたしはカーレルン侯爵家の次男、ノアムと申します。以前のパーティーで貴女をお見掛けし、お近づきになりたいと強く思っておりました」

　その方は、ラティナ様の旦那様の弟様。爽やかで優しげなお顔が柔らかな微笑みを作られて、


　とくん。


　そうしたら私の胸は、大きく高鳴ったのでした――。