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第14話 終演 叔父クレモン視点(1)
しおりを挟む「居るはずのないわたしが居て、ビックリしていますよね? 貴方がたの企みは、エリー君――こちらの方が、阻止してくださったのですよ」
慇懃に一礼をした、メリッサ。ヤツはゆっくりと顔を上げると、想定外の言葉を吐いた。
どうしてそれを、コイツが知っている……!? なぜオレが仕向けたと――そっ、そんなことはどうでもいい!
なんとかして誤魔化さねば……っ。大事(おおごと)に、なる……っ!!
「た、企み? 一体、なんの話をしているんだ? オレ達はなにも――」
「転倒死に見せかけた、メリッサ・ハンナの殺害。それがお前達が企てていた悪事。彼女と俺は、その話をしているんだ」
メリッサの隣にいた、長身の男――エリオス・タウラが一歩前に出て、射殺すような視線が注がれる。
こ、この男は……っ。内容までも、把握している……っっ!
「しらを切ろうとしても、無駄だ。エイジ・キルス、サズ・オイガ、イーザ・ライナ、レオン・ノーフェル。お前が雇った者達が、包み隠さず吐いている。5年前の件に、ついてもな」
「ご、5年前……? なにを言って――」
「お前達が当主夫妻の転落死を仕組んだ件について、言っているんだ。情報漏洩や裏切りを防ぐべく、口の堅い信頼できる者達に頼んだ――同じ者に、頼んでしまった。その結果我々に、芋づる式に情報を得られる羽目になったのだよ」
っっっ! バカな! アイツらは、そんな話までしやがったのか……!?
調査を重ね、何があっても口を割らないと確信したのがあの4人だ……っ。なぜ、アイツらが――っっ!! そう、か……っ。
「この状況を作り出したのは、お前の息子だ。そこにいる男が余計なオプションをつけて、メリッサにあれこれ語ったのだよ」
「彼らの口から出たものは、現場担当者と犯人しか知り得ないソレばかりでした。そのためそれらが証拠となり、すでにあなた方3人の捕縛許可が下りています」
治安局員の1人が書類を突きつけるようにかざし、そこには確かに……。大きな字で、オレ達の名前が記されていた。
「そこにいる男のおかげで、随分と立証を早められた。灯台下暗し、というものだな」
「くっ……っ、ぐぅ……っ」
「と、父さん、ごめんよ……。どうしても、メリッサが許せなくて……。俺のせいで、こんなことに――がぶ!?」
振り向きざまに息子の顔面を殴り、愚息は間抜けな声を零して大の字になった。
「あなた!? らっ、ライグっ!」
足を引っ張りやがった役立たずを殴り倒すと、イネスが狼狽しながらライグに駆け寄りだした。
鼻が折れているだの、泡を噴いているだの……っ。この期に及んでも、こんなゴミを案じやがって……っ。
――そんなものは必要ない!!――。
――もう一発殴らせろ!!――。
――そこをどけ!!――。
イネスを力任せに引っ張って押しのけ、オレはそのまま馬乗りに――
「きゃあぁあ!?」
馬乗りになろうとしていると、悲鳴が聞こえた。そしてその直後、
「ぁ……」
その方向から、ゴンという鈍い音がした。
…………え?
今の音は……。まさか――。
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