4 / 31
第1話 お屋敷を去った結果~使用人達の場合~ 俯瞰視点(3)
しおりを挟む
「なにその目!? なにか文句でもあるの!?」
「ただ見てただけでしょ!? いちゃもんはやめなさいよ!!」
「あらごめんなさい」
「きゃ!? ……いいですよぉ? あっ、こちらこそごめんあそばせ!」
「ぎゃ!? こ、この……!!」
「なによ? 先にぶつかってきたのはそっちでしょ? お互い様よ」
「レイナ、お連れ様。休憩のお茶、淹れておいたわよ」((唾入りの、ね))
「置いていたわたしの服が汚れてるんだけど!? 汚したの誰よ!?」
我慢が限界を迎えた結果、勃発したのは内輪もめ。使用人達は同格である仲間で苛立ちを発散させようとして、使用人の間では毎日醜い争いが起きていました。
「ネックレスがなくなってる!? 誰か盗ったわね!?」
「そんな安物、誰も盗らないわよ。どこかに置き忘れたんじゃないの?」
「っ!? 冷た!?」
「ごめ~ん、うっかり手が滑っちゃった~」
「エミリアンタでしょ!? 奥様に嘘の情報を流したのは!?」
「嘘の情報? なんのこと?」
「サボっていたとかっ、お召し物を踏んでから渡したとか!! ありもしないことを言ったのはアンタでしょ!! 分かってるんだからね!!」
「そういうことは、証拠を出してから言いなさいよ。適当なこと言わないで」
全員が仲良しだった、かつての姿はどこにもありません。一日に何度も、あらゆる場所で、あらゆる形で、あらゆる使用人達が鬱憤をぶつけ合い――それはキャッチボールをしているような状態のため、使用人達の中から膨大なストレスが消えることはありませんでした。
「「「「「もう限界よおおおおおおお!!」」」」」
それによりやがて、全員の怒りが大爆発。屋敷内では殴り合いが発生してしまい、その出来事が彼女達に過去最大級の悲劇をもたらすこととなるのでした。
「ああああああああああ!! あああああああああああああああああああ!!」
「よくもおおおおおおお!! よくもおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「!? こっ、こらなにをやっているのだ!? やめんか――ぐあ!?」
「あなた!?」「お父様!?」
騒ぎを聞きつけやって来たこの屋敷の主を、同僚だと勘違いして思い切り突き飛ばしてしまう。それによって腰を痛めたことで一家全員の怒りを買ってしまい、調査の結果争いの原因は全員にあると分かったため――
「貴様らはクビだ!!」
――使用人が一新されることとなったのでした。
「元はと言えば旦那様達が原因なんですよ!!」
「理不尽がなければ揉めてませんでした!!」
「こんなことも起きていません!!」
「責任があるのはこちらだけではありません!! 考え直してください!!」
「酷すぎますこんなこと!!」
使用人達は必死になって反論しますが、三人は一切認めない。加えて危害を加えたのは事実なため、結局全員お屋敷を去ることとなったのでした。
「…………そんな……」
「…………こんな、こと……」
「…………なんで、こんなことに……」
「…………なんでよぉ……」
そうなった原因は三人にもありますが、最大の要因は自分達の性格。カプシーヌを攻撃したり仲間を攻撃したりする性質がなければ、こんな風にはなっていませんでした。
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
良いお給料も。安全な職場も。ステータスも。
自らの行いと性質によってすべてを失い、使用人達はひとしく絶望する羽目になったのでした――。
「ただ見てただけでしょ!? いちゃもんはやめなさいよ!!」
「あらごめんなさい」
「きゃ!? ……いいですよぉ? あっ、こちらこそごめんあそばせ!」
「ぎゃ!? こ、この……!!」
「なによ? 先にぶつかってきたのはそっちでしょ? お互い様よ」
「レイナ、お連れ様。休憩のお茶、淹れておいたわよ」((唾入りの、ね))
「置いていたわたしの服が汚れてるんだけど!? 汚したの誰よ!?」
我慢が限界を迎えた結果、勃発したのは内輪もめ。使用人達は同格である仲間で苛立ちを発散させようとして、使用人の間では毎日醜い争いが起きていました。
「ネックレスがなくなってる!? 誰か盗ったわね!?」
「そんな安物、誰も盗らないわよ。どこかに置き忘れたんじゃないの?」
「っ!? 冷た!?」
「ごめ~ん、うっかり手が滑っちゃった~」
「エミリアンタでしょ!? 奥様に嘘の情報を流したのは!?」
「嘘の情報? なんのこと?」
「サボっていたとかっ、お召し物を踏んでから渡したとか!! ありもしないことを言ったのはアンタでしょ!! 分かってるんだからね!!」
「そういうことは、証拠を出してから言いなさいよ。適当なこと言わないで」
全員が仲良しだった、かつての姿はどこにもありません。一日に何度も、あらゆる場所で、あらゆる形で、あらゆる使用人達が鬱憤をぶつけ合い――それはキャッチボールをしているような状態のため、使用人達の中から膨大なストレスが消えることはありませんでした。
「「「「「もう限界よおおおおおおお!!」」」」」
それによりやがて、全員の怒りが大爆発。屋敷内では殴り合いが発生してしまい、その出来事が彼女達に過去最大級の悲劇をもたらすこととなるのでした。
「ああああああああああ!! あああああああああああああああああああ!!」
「よくもおおおおおおお!! よくもおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「!? こっ、こらなにをやっているのだ!? やめんか――ぐあ!?」
「あなた!?」「お父様!?」
騒ぎを聞きつけやって来たこの屋敷の主を、同僚だと勘違いして思い切り突き飛ばしてしまう。それによって腰を痛めたことで一家全員の怒りを買ってしまい、調査の結果争いの原因は全員にあると分かったため――
「貴様らはクビだ!!」
――使用人が一新されることとなったのでした。
「元はと言えば旦那様達が原因なんですよ!!」
「理不尽がなければ揉めてませんでした!!」
「こんなことも起きていません!!」
「責任があるのはこちらだけではありません!! 考え直してください!!」
「酷すぎますこんなこと!!」
使用人達は必死になって反論しますが、三人は一切認めない。加えて危害を加えたのは事実なため、結局全員お屋敷を去ることとなったのでした。
「…………そんな……」
「…………こんな、こと……」
「…………なんで、こんなことに……」
「…………なんでよぉ……」
そうなった原因は三人にもありますが、最大の要因は自分達の性格。カプシーヌを攻撃したり仲間を攻撃したりする性質がなければ、こんな風にはなっていませんでした。
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
良いお給料も。安全な職場も。ステータスも。
自らの行いと性質によってすべてを失い、使用人達はひとしく絶望する羽目になったのでした――。
1,584
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢のミレナは、双子の妹キサラより劣っていると思われていた。
婚約者のルドノスも同じ考えのようで、ミレナよりキサラと婚約したくなったらしい。
排除しようとルドノスが突き飛ばした時に、ミレナは前世の記憶を思い出し危機を回避した。
今までミレナが支えていたから、妹の方が優秀と思われている。
前世の記憶を思い出したミレナは、キサラのために何かすることはなかった。
嫌いなところが多すぎるなら婚約を破棄しましょう
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私ミリスは、婚約者ジノザに蔑まれていた。
侯爵令息のジノザは学園で「嫌いなところが多すぎる」と私を見下してくる。
そして「婚約を破棄したい」と言ったから、私は賛同することにした。
どうやらジノザは公爵令嬢と婚約して、貶めた私を愛人にするつもりでいたらしい。
そのために学園での評判を下げてきたようだけど、私はマルク王子と婚約が決まる。
楽しい日々を過ごしていると、ジノザは「婚約破棄を後悔している」と言い出した。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
『紅茶の香りが消えた午後に』
柴田はつみ
恋愛
穏やかで控えめな公爵令嬢リディアの唯一の楽しみは、幼なじみの公爵アーヴィンと過ごす午後の茶会だった。
けれど、近隣に越してきた伯爵令嬢ミレーユが明るく距離を詰めてくるたび、二人の時間は少しずつ失われていく。
誤解と沈黙、そして抑えた想いの裏で、すれ違う恋の行方は——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる