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第2話 お屋敷を去った結果~妹と婚約者の場合~ 俯瞰視点(2)
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「……………………」
「フローラ!? どっ、どうしたのだ!?」
あれから一か月後の朝。二階の廊下で娘を見掛けた父エメリックは、顔を見るなりギョッとしました。
――つまらなそうにしている――。
今日は最愛の人マクサンスがお屋敷に来る日で、いつもなら朝から嬉々としているのに冴えない表情を浮かべている。エメリックは真っ先に不調を疑い、額に手を当てました。
「…………熱は、ないみたいだな。どこか調子が悪いのか?」
「違いますわ、お父様。調子はわるくありませんの」
「そ、それもそうか。では、どうしたのだ?」
よくよく考えてみたら、調子が悪いのならつまらなそうにはしない。現状そうなる理由に思い当たる節はなく、若干眉を顰めました。
「………………」
「ふ、フローラ……?」
「………………最近、マクサンス様と過ごす時間が楽しくなくなってきましたの」
『う~ん、まだまだだね。筋はまあいいと思うけど、風景を絵に落とし込めていない』
『そ、そうなんですね……。難しいですわ』
『俺みたいな人間なら最初からできるけど、普通の人には難しいよね。大丈夫、これからもしっかり俺が教えてあげるから。上達するよ』
『そ、そうなんですのね。よ、よろしくお願いしますわ』((……普通の人って、なんなんですの……))
マクサンスの趣味は『絵』で、一緒に風景画を描きに行った時のこと。フローラが一生懸命描いた絵を見て、肩を竦められたり。
『そうっ、そうなんですのっ! ですから、ふふふっ。なんとわたくしは――』
『あ、ごめん。ちょっといいかな?』
『――え!? は、はい。なん、ですか……?』
『今、大事なことを思い出したんだ。忘れないようにメモするから少し待っていて』
『わ、分かりましたわ』((……せっかく、いいところだったのに……))
マクサンスと一緒に、ガーデンテーブルでお喋りをしていた時のこと。フローラの話のクライマックスで、急にメモ帳を取り出して話を腰を折られたり。
会うたびにモヤモヤっとすることが起きていたため、二人で過ごす時間を心から楽しめなくなっていたのです。
「…………そ、そうだったのか……。ま、まああれだ。それ以上に、良いところがあるのだろう? な? なっ?」
「そう、ですわね。素敵な部分も、ありますわ。たくさん」
「ならば、ソレがきっと上書きしてくれるだろうさ。今は悪い部分に意識がいってしまって目立っているだけで、すぐ良い部分に注目できるようになって気も変わるさ。わたしが保証しよう」
「そう、ですか……? 分かりましたわ。お父様がそう仰るのなら、信じますわ」
「うむ、うむうむ。そうするといい」
と断言しましたが、エメリックには何の根拠もありませんでした。ですのでそうなるとは限りませんし、しかも――
「フローラ!? どっ、どうしたのだ!?」
あれから一か月後の朝。二階の廊下で娘を見掛けた父エメリックは、顔を見るなりギョッとしました。
――つまらなそうにしている――。
今日は最愛の人マクサンスがお屋敷に来る日で、いつもなら朝から嬉々としているのに冴えない表情を浮かべている。エメリックは真っ先に不調を疑い、額に手を当てました。
「…………熱は、ないみたいだな。どこか調子が悪いのか?」
「違いますわ、お父様。調子はわるくありませんの」
「そ、それもそうか。では、どうしたのだ?」
よくよく考えてみたら、調子が悪いのならつまらなそうにはしない。現状そうなる理由に思い当たる節はなく、若干眉を顰めました。
「………………」
「ふ、フローラ……?」
「………………最近、マクサンス様と過ごす時間が楽しくなくなってきましたの」
『う~ん、まだまだだね。筋はまあいいと思うけど、風景を絵に落とし込めていない』
『そ、そうなんですね……。難しいですわ』
『俺みたいな人間なら最初からできるけど、普通の人には難しいよね。大丈夫、これからもしっかり俺が教えてあげるから。上達するよ』
『そ、そうなんですのね。よ、よろしくお願いしますわ』((……普通の人って、なんなんですの……))
マクサンスの趣味は『絵』で、一緒に風景画を描きに行った時のこと。フローラが一生懸命描いた絵を見て、肩を竦められたり。
『そうっ、そうなんですのっ! ですから、ふふふっ。なんとわたくしは――』
『あ、ごめん。ちょっといいかな?』
『――え!? は、はい。なん、ですか……?』
『今、大事なことを思い出したんだ。忘れないようにメモするから少し待っていて』
『わ、分かりましたわ』((……せっかく、いいところだったのに……))
マクサンスと一緒に、ガーデンテーブルでお喋りをしていた時のこと。フローラの話のクライマックスで、急にメモ帳を取り出して話を腰を折られたり。
会うたびにモヤモヤっとすることが起きていたため、二人で過ごす時間を心から楽しめなくなっていたのです。
「…………そ、そうだったのか……。ま、まああれだ。それ以上に、良いところがあるのだろう? な? なっ?」
「そう、ですわね。素敵な部分も、ありますわ。たくさん」
「ならば、ソレがきっと上書きしてくれるだろうさ。今は悪い部分に意識がいってしまって目立っているだけで、すぐ良い部分に注目できるようになって気も変わるさ。わたしが保証しよう」
「そう、ですか……? 分かりましたわ。お父様がそう仰るのなら、信じますわ」
「うむ、うむうむ。そうするといい」
と断言しましたが、エメリックには何の根拠もありませんでした。ですのでそうなるとは限りませんし、しかも――
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