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第10話 粛清その1(5)
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「ぁぁ……。ぁぁ……! ぁぁぁ……! とま、った……! やっと、痛みがとまったぁぁあああ……!」
「「「………………」」」
「こ、これは……。これが、本物のエミ、だったのか……?」
「ち、ちがうぅぅ……。こんなにぃ、ひどくないぃぃ……! のろいの、せぃぃ、なのぉぉぉぉぉぉ……っ」
そう、ですね。
呪いを使ったあとのエミと使う前のエミは別人ですが、こんなに化け物染みた姿ではありませんでした。
呪いの反動……。こんな風に、なってしまうのですね……。
「でんかぁ……っ。くる、しい……。ねつも、ある、みたいなのぉ……っ。たす、けて……っ」
「……………………」
「でん、かぁ……? へんじを、して、よぉ……っ。ねえ……っ。たす、けてぇ……っっ」
「……………………周囲を騙し、あまつさえ王太子妃となる者に害を及ぼしていた者に、情けは不要だ。特例を用いてこの場で私刑に処し、お前は今後一生牢屋が住居だ」
「ボクっ、衛兵を呼んでくるよっ! 急いで行ってくるっっ!」
第2王子のサラス様が王の間を飛び出し、程なく帯剣した兵士さんが2人到着。彼らはソラ君に怯えながらエミを拘束し、彼女はズルズルと引きずられ始めました。
「いやだぁ……っ。こんなかおも、ろうやも、いやだぁぁ……っっ。でんかぁ……っ。へいかぁ……っ。ひでんかぁ……っ。さらすさまぁ……っ。たすけてぇ……!」
エミはかすれた声で懇願するも、これまで味方だった人達からの返事はありません。返ってくるのは、冷めた目線のみです。
「ね、ねえ……! へんじ、してぇぇ……! たすけてぇ……! たすけてぇ……! おね、がぃぃ……! いたいの……! くるしいの……! しんどいの……! たすけてぇえ……!」
「「「「………………」」」」
「な、なんとかいってぇぇ……! ねえ、ねえ、ねえ――っっ! りゅ、りゅうの、あなた……っ! アリシアさま……! おねがい、おねがいします……! たす、け、てぇ……! しにそうなの……! くるしいの……! いたいの……! からだが、こなごなになりそうなの……! すなのように、なってしまいそうなの……! なんでも、する、からぁ……! たすけてぇぇ……! おねがいぃぃぃぃ……!」
「「………………」」
今度はわたし達に助けを求め始めますが、ソラ君もわたしも返事はしません。ただただ、変わり果てたエミを見つめます。
「おねがぃぃぃぃ……! だれかぁぁぁぁ……! だれかぁぁぁぁあぁ! だれかぁあああああああ! たすけてぇぇぇぇ! くるしみからぁ、かいほうしてぇえええええええええええ」
彼女はその後も涙を零しながら訴え続けますが、状況が好転することはありません。
いくら喋っても結局救いの手が伸びることはなく――
やがてその姿は、扉の向こうへと消えていったのでした。
「「「………………」」」
「こ、これは……。これが、本物のエミ、だったのか……?」
「ち、ちがうぅぅ……。こんなにぃ、ひどくないぃぃ……! のろいの、せぃぃ、なのぉぉぉぉぉぉ……っ」
そう、ですね。
呪いを使ったあとのエミと使う前のエミは別人ですが、こんなに化け物染みた姿ではありませんでした。
呪いの反動……。こんな風に、なってしまうのですね……。
「でんかぁ……っ。くる、しい……。ねつも、ある、みたいなのぉ……っ。たす、けて……っ」
「……………………」
「でん、かぁ……? へんじを、して、よぉ……っ。ねえ……っ。たす、けてぇ……っっ」
「……………………周囲を騙し、あまつさえ王太子妃となる者に害を及ぼしていた者に、情けは不要だ。特例を用いてこの場で私刑に処し、お前は今後一生牢屋が住居だ」
「ボクっ、衛兵を呼んでくるよっ! 急いで行ってくるっっ!」
第2王子のサラス様が王の間を飛び出し、程なく帯剣した兵士さんが2人到着。彼らはソラ君に怯えながらエミを拘束し、彼女はズルズルと引きずられ始めました。
「いやだぁ……っ。こんなかおも、ろうやも、いやだぁぁ……っっ。でんかぁ……っ。へいかぁ……っ。ひでんかぁ……っ。さらすさまぁ……っ。たすけてぇ……!」
エミはかすれた声で懇願するも、これまで味方だった人達からの返事はありません。返ってくるのは、冷めた目線のみです。
「ね、ねえ……! へんじ、してぇぇ……! たすけてぇ……! たすけてぇ……! おね、がぃぃ……! いたいの……! くるしいの……! しんどいの……! たすけてぇえ……!」
「「「「………………」」」」
「な、なんとかいってぇぇ……! ねえ、ねえ、ねえ――っっ! りゅ、りゅうの、あなた……っ! アリシアさま……! おねがい、おねがいします……! たす、け、てぇ……! しにそうなの……! くるしいの……! いたいの……! からだが、こなごなになりそうなの……! すなのように、なってしまいそうなの……! なんでも、する、からぁ……! たすけてぇぇ……! おねがいぃぃぃぃ……!」
「「………………」」
今度はわたし達に助けを求め始めますが、ソラ君もわたしも返事はしません。ただただ、変わり果てたエミを見つめます。
「おねがぃぃぃぃ……! だれかぁぁぁぁ……! だれかぁぁぁぁあぁ! だれかぁあああああああ! たすけてぇぇぇぇ! くるしみからぁ、かいほうしてぇえええええええええええ」
彼女はその後も涙を零しながら訴え続けますが、状況が好転することはありません。
いくら喋っても結局救いの手が伸びることはなく――
やがてその姿は、扉の向こうへと消えていったのでした。
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