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第5話 チャンス アネッサ視点(2)
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「うわごと、で……? 謝る……?」
「……私達の知らないところで、あの子はお前の言動に触れていたのだろう? それに関して、色々と葛藤があったのだよ……」
休養か出ていくの問題は、自分の婚約が絡んでいた。アネッサの怒りの元凶は自分にある。
そんな自分が、注意をしていいのだろうか?
きっと駄目で、そうする資格なんてないのだと思う。でもそうしないと、アネッサが大変なことになってしまう。
アネッサは大事な家族で、なにより唯一の妹。幼い頃からずっと見てきていて、人生の中で少しでも多く楽しい思い出を作って欲しいと願っている。
お父様とお母様が駄目で、もう自分しかいないから……。やるべきじゃないけど、やってみようと思っています。
そんなことを考えていたらしく、意識を失っている間に葛藤と謝罪を繰り返していたらしい。
「……そう、なのですか……」
「相当、悩んでいたのだろうな。何度も何度も涙が零れていた」
「………………」
「それだけじゃない、目覚めたあともお前を心配していたよ。なにせ目を覚まして真っ先に出た言葉は、お前の心配だったのだからな」
アネッサは無事なのですか!?――。
意識が覚醒するや室内を見回し、わたくしの姿を探したらしい。
「アネッサよ。今のお前にはもう不要な言葉だとは思うがな、敢えて言わせておくれ」
「おとう、さま……?」
「私であり『家』の判断のせいでこじれてしまったが、お前達はたったひとりの姉であり妹だ。これからは――これからも、仲良くやっていっておくれ」
「っ! はいっ! はいお父様! 仲良くさせていただきますわっ!」
言下。わたくしは姿勢を正してハッキリと声に出した。
「うん、それはよかった。では、私はエヴァネアの部屋に戻るよ。念のため今日はアネッサも安静にしているのだぞ」
「承知いたしました。お姉様によろしくお伝えくださいませ」
「もちろんだとも。しっかり伝えておくよ」
お父様はわたくしの両目からぼろぼろと零れ落ちている涙を見て頷き、ゆっくりと部屋をあとにしたのでした。
「……」
そんな姿を見送ったわたくしは、足音が完全に聞こえなくなると――
「……私達の知らないところで、あの子はお前の言動に触れていたのだろう? それに関して、色々と葛藤があったのだよ……」
休養か出ていくの問題は、自分の婚約が絡んでいた。アネッサの怒りの元凶は自分にある。
そんな自分が、注意をしていいのだろうか?
きっと駄目で、そうする資格なんてないのだと思う。でもそうしないと、アネッサが大変なことになってしまう。
アネッサは大事な家族で、なにより唯一の妹。幼い頃からずっと見てきていて、人生の中で少しでも多く楽しい思い出を作って欲しいと願っている。
お父様とお母様が駄目で、もう自分しかいないから……。やるべきじゃないけど、やってみようと思っています。
そんなことを考えていたらしく、意識を失っている間に葛藤と謝罪を繰り返していたらしい。
「……そう、なのですか……」
「相当、悩んでいたのだろうな。何度も何度も涙が零れていた」
「………………」
「それだけじゃない、目覚めたあともお前を心配していたよ。なにせ目を覚まして真っ先に出た言葉は、お前の心配だったのだからな」
アネッサは無事なのですか!?――。
意識が覚醒するや室内を見回し、わたくしの姿を探したらしい。
「アネッサよ。今のお前にはもう不要な言葉だとは思うがな、敢えて言わせておくれ」
「おとう、さま……?」
「私であり『家』の判断のせいでこじれてしまったが、お前達はたったひとりの姉であり妹だ。これからは――これからも、仲良くやっていっておくれ」
「っ! はいっ! はいお父様! 仲良くさせていただきますわっ!」
言下。わたくしは姿勢を正してハッキリと声に出した。
「うん、それはよかった。では、私はエヴァネアの部屋に戻るよ。念のため今日はアネッサも安静にしているのだぞ」
「承知いたしました。お姉様によろしくお伝えくださいませ」
「もちろんだとも。しっかり伝えておくよ」
お父様はわたくしの両目からぼろぼろと零れ落ちている涙を見て頷き、ゆっくりと部屋をあとにしたのでした。
「……」
そんな姿を見送ったわたくしは、足音が完全に聞こえなくなると――
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