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エピローグ~アネッサの場合~ 俯瞰視点
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「だっ、だしてぇぇぇぇぇぇ! ここからだしてぇぇぇぇぇぇぇ!!」
あれから一か月後。次女・アネッサの姿は、ロートスアール子爵家が所有する二階建ての建物の一室にありました。
――生涯、この部屋の中で過ごす――。
これが、アネッサに与えられた罰。
彼女はワガママかつ、逆恨みによって偽装を試みた上で平然と殺人まで犯せてしまう。その危険な『牙』が他者に向かないよう、ロートスアール家が身柄を拘束し続けることとなったのです。
「部屋から出してぇ!! せめてぇっ、廊下を歩かせてぇぇ……!」
与えられる可能性があった、温情。
あの時僅かでも罪悪感を覚えたり反省したりしていれば、アネッサの活動できる範囲は広がっていました。特別な日の外出すら、認められるはずでした。
『ふん。なにが葛藤と謝罪よ』
『本当に妹想いなら、婚約の件が出た時に辞退を申し出てるでしょ』
『あの様子なら、挑戦すらしていない。はっ、それで『幸せに』だなんてよく言えるわねっ! ますます腹が立ってきた!!』
『…………わたくしの判断は、間違っていなかった……。アイツは、居てはいけない人間ですわ……!!』
しかしながらアネッサは、そのチャンスをフイにしてしまう。省みないどころか更なる理不尽な振る舞いをしたため、この部屋が『すべて』となってしまったのでした。
「お願いします! 本当に反省しましたから!! 許してください!!」
扉の向こう側には食事を運ぶ者など数人の人間がおりますが、誰一人として反応しない。
いくら叫んでも、その声に返事はありません。
「お願いしますっっ!! 本当に反省しているんです!! あんな真似は二度としませんしっ、ロートスアール家のために粉骨砕身の精神で働かせていただくつもりです!! この人生の全てを捧げて尽くしますから!! 尽くさせていただきますから!! 一度だけっ、あと一回だけチャンスをください!! お願いします!!」
ドンドンドンと何度も何度も激しく扉を叩きますが、それでも向こう側からの反応は一切なし。
いくら泣き叫んでも、もうこの状況は変わりません。
一か月前、それまでも。
何回も、何十回も、何百回も、こうならない機会はありました。父も母も姉も、そうならないように懸命に手を差し出していました。
しかしながらその手を怒りと共に叩き、理不尽な要求をし続け逆恨みをしてしまった。
アネッサは度重なる自身のワガママによって、確かにあった幸せな未来を自ら手放してしまったのでした。
あれから一か月後。次女・アネッサの姿は、ロートスアール子爵家が所有する二階建ての建物の一室にありました。
――生涯、この部屋の中で過ごす――。
これが、アネッサに与えられた罰。
彼女はワガママかつ、逆恨みによって偽装を試みた上で平然と殺人まで犯せてしまう。その危険な『牙』が他者に向かないよう、ロートスアール家が身柄を拘束し続けることとなったのです。
「部屋から出してぇ!! せめてぇっ、廊下を歩かせてぇぇ……!」
与えられる可能性があった、温情。
あの時僅かでも罪悪感を覚えたり反省したりしていれば、アネッサの活動できる範囲は広がっていました。特別な日の外出すら、認められるはずでした。
『ふん。なにが葛藤と謝罪よ』
『本当に妹想いなら、婚約の件が出た時に辞退を申し出てるでしょ』
『あの様子なら、挑戦すらしていない。はっ、それで『幸せに』だなんてよく言えるわねっ! ますます腹が立ってきた!!』
『…………わたくしの判断は、間違っていなかった……。アイツは、居てはいけない人間ですわ……!!』
しかしながらアネッサは、そのチャンスをフイにしてしまう。省みないどころか更なる理不尽な振る舞いをしたため、この部屋が『すべて』となってしまったのでした。
「お願いします! 本当に反省しましたから!! 許してください!!」
扉の向こう側には食事を運ぶ者など数人の人間がおりますが、誰一人として反応しない。
いくら叫んでも、その声に返事はありません。
「お願いしますっっ!! 本当に反省しているんです!! あんな真似は二度としませんしっ、ロートスアール家のために粉骨砕身の精神で働かせていただくつもりです!! この人生の全てを捧げて尽くしますから!! 尽くさせていただきますから!! 一度だけっ、あと一回だけチャンスをください!! お願いします!!」
ドンドンドンと何度も何度も激しく扉を叩きますが、それでも向こう側からの反応は一切なし。
いくら泣き叫んでも、もうこの状況は変わりません。
一か月前、それまでも。
何回も、何十回も、何百回も、こうならない機会はありました。父も母も姉も、そうならないように懸命に手を差し出していました。
しかしながらその手を怒りと共に叩き、理不尽な要求をし続け逆恨みをしてしまった。
アネッサは度重なる自身のワガママによって、確かにあった幸せな未来を自ら手放してしまったのでした。
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