私が幼馴染の婚約者と浮気をしていた? そんな事実はないのですが?

柚木ゆず

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第1話 覚えがない疑惑と クレア視点(3)

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「じゅ、ジュレイアル様……? ルールを、破るとは……。どういった意味、なのでしょうか……?」
「それを説明する前に、俺から君達に質問があるんだよ。簡単なものだから、まずはそちらに答えてもらいたい」

 金色の髪を後ろで束ねた、大人びた雰囲気を持つ王子様のような方。私達の間に立たれたジュレイアル様は、唖然となるダリアとファビオ様にお顔を向けられた。

「ダリア・エリテラット。君は今日の午前中に、サネテリアス子爵邸で2人の姿を見た。しかも手を繋ぎ、キスをする姿まで見たんだね?」
「はい、はいっ! 見ましたっ! この目で確かに見ました!」
「なるほど。では、ファビオ・オキユテ。君は今日サネテリアス子爵邸を訪れ、手を繋いでキスをした。非常に深い関係を、持っていたんだね?」
「は、はい……。すべてが、事実でございます……」

 ダリアは姿勢を正してハキハキと答え、ファビオ様は俯きがちで答えた。そうするとジュレイアル様は2度頷き、今一度ファビオ様へと視線を向けられた。

「では、最後の質問だ。君はいつから浮気を行っていて、それはどういった経緯で始まっていたのかな?」
「そちらは……。半月前、でございます……。クレア様が好意を抱いてくださり、まして……。そちらが切っ掛けで、ご縁が生まれました……」
「へぇ、そうなのか。半月前に、彼女から――おや? それはおかしな話だね」
「「お、おかしい? ど、どちらが、でしょうか……?」」

 ダリアとファビオ様の声が重なり、私も理由が分からず当惑してしまう。そのため自然と眉が寄っていると――え……!?

「今日の逢瀬と、半月前からの関係。そこがおかしい、あり得ないと言っているんだよ」

 ジュレイアル様は迷いなく、否定をされた。
 この方と私はクラスメイトではあるものの、これまで個人的なご縁はない。深い間柄ではないのに、この状況下でなぜ断言でしてていただけたの……?

((私はまだ追及を始めていなくて、2人はボロを出していない。なのに、どうして……?))

 ジュレイアル様の意図を掴めず、頭の中はハテナマークで満たされてしまう。私は混乱に近い状態で、この方のお姿を眺めていると――…………。

 まさか、これ以上の混乱があるとは思わなかった。

 あっという間に、この騒動の中心人物となってしまったジュレイアル様。この方は更にとんでもないことを、仰られたのだった。

「なぜ、あり得ないと言い切れるのか。それは俺とクレア・・・が、現在交際を行っているから。俺達は毎日会っていて、浮気をするような時間はないからだよ」

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