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第3話 付喪神(2)
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「モヤスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
雄々しく叫びながら突き上げられた右の拳。右腕が最大まで伸びきった瞬間、その先端が真白の輝きを放ち――。
その光がなくなりと、その手には長方形をした金属のようなものが握られていました。
「燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす!!」
「鏡さん、アレが何か知ってるかな?」
「ええ、知識はありますよ。あの手に握られているのは、火打ち金(ひうちがね)。火を起こす際に使用されていたものですね」
火打石と打ち合わせて発火させる、鋼鉄片。
まだマッチなどがない時代に火を起こす際に重宝されていたものですが、現代でも好んで使用している人がいるものです。
「……そうでしたか。貴方は、火打ち金の付喪神なのですね」
本来の付喪神は宿った物に関係した姿となり、精霊の時に持っていた力を使うことができます。
ですが名を失い持ち主の姿になっている時は、少々異なります。精霊の力が『宿った物』と完全に一体化してしまっているため『宿った物』が能力(武器)と化し、その性質に関係した力を使えるようになるのです。
「燃やす燃やす燃やす燃やす燃やすうううううううううううう!!」
まさに、猪突猛進。攻撃しか頭にないことが一目位瞭然の前傾姿勢で彼我の距離を詰めてゆき、肉薄するや得物を握り右手を勢いよく振り下ろしました。
((火打ち金は、火打ち石と打ち合わせて火を出すもの。となれば、受け止めるのは危険ですね))
瞬時にそう判断した鏡は真後ろに飛び退り、その一撃を回避しました。
そんな彼の予想は、正解。もしも腕などでガードをしていたら火打ち金がぶつかった箇所が燃え、大変なことになっていました。
「燃えろ!! 燃えろ!! 燃えろ!! 燃えろ!! 燃えろ!!」
「燃えたら死んでしまいます。申し訳ありませんが応じることはできませんよ」
飛び掛かって攻撃、飛び退って回避。飛び掛かって攻撃、飛び退って回避。
それが6回ほど繰り返され、さすがに意味はないと悟ったのでしょう。攻撃一辺倒だった付喪神の動きがピタリと止まり、ぴょんぴょんと後方にジャンプをして距離を取りました。
「オ、オオオオオオ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
両足を大きく開いて、両手を高々と挙げる。
新たなポーズを取った付喪神は――
雄々しく叫びながら突き上げられた右の拳。右腕が最大まで伸びきった瞬間、その先端が真白の輝きを放ち――。
その光がなくなりと、その手には長方形をした金属のようなものが握られていました。
「燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす!!」
「鏡さん、アレが何か知ってるかな?」
「ええ、知識はありますよ。あの手に握られているのは、火打ち金(ひうちがね)。火を起こす際に使用されていたものですね」
火打石と打ち合わせて発火させる、鋼鉄片。
まだマッチなどがない時代に火を起こす際に重宝されていたものですが、現代でも好んで使用している人がいるものです。
「……そうでしたか。貴方は、火打ち金の付喪神なのですね」
本来の付喪神は宿った物に関係した姿となり、精霊の時に持っていた力を使うことができます。
ですが名を失い持ち主の姿になっている時は、少々異なります。精霊の力が『宿った物』と完全に一体化してしまっているため『宿った物』が能力(武器)と化し、その性質に関係した力を使えるようになるのです。
「燃やす燃やす燃やす燃やす燃やすうううううううううううう!!」
まさに、猪突猛進。攻撃しか頭にないことが一目位瞭然の前傾姿勢で彼我の距離を詰めてゆき、肉薄するや得物を握り右手を勢いよく振り下ろしました。
((火打ち金は、火打ち石と打ち合わせて火を出すもの。となれば、受け止めるのは危険ですね))
瞬時にそう判断した鏡は真後ろに飛び退り、その一撃を回避しました。
そんな彼の予想は、正解。もしも腕などでガードをしていたら火打ち金がぶつかった箇所が燃え、大変なことになっていました。
「燃えろ!! 燃えろ!! 燃えろ!! 燃えろ!! 燃えろ!!」
「燃えたら死んでしまいます。申し訳ありませんが応じることはできませんよ」
飛び掛かって攻撃、飛び退って回避。飛び掛かって攻撃、飛び退って回避。
それが6回ほど繰り返され、さすがに意味はないと悟ったのでしょう。攻撃一辺倒だった付喪神の動きがピタリと止まり、ぴょんぴょんと後方にジャンプをして距離を取りました。
「オ、オオオオオオ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
両足を大きく開いて、両手を高々と挙げる。
新たなポーズを取った付喪神は――
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