逆行令嬢の反撃~これから妹達に陥れられると知っているので、安全な自分の部屋に籠りつつ逆行前のお返しを行います~

柚木ゆず

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エピローグ 2年後

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お義母様・・・・。ごきげんよう」
「イザベルお母様、こんにちは。今日は、大切なご報告があるんです」

 雲一つない青空が広がる、春風が気持ちのいい日。私とアルフォンス様は、お母様のお墓を訪れていました。
 毎月1度行っている、お母様への日常報告。それは先日終わったばかりですが、嬉しいことが判明したので、改めてやって来ました。

「お母様。もうすぐ私達に、新しい家族が出来るんですよ」

 まだ大きくなっていない、お腹。アルフォンス様の穏やかな視線を受けながら、そこをそっと撫でる。
 昨日の夜にお医者様に診ていただき、妊娠が判明しました。今はまだ生命が宿っている感覚はありませんが、ちゃんと居てくれている。これからスクスクと育っていって、やがては私達の前で元気よく泣いてくれるんです。

「私はあの日からずっと幸せで、結婚してからは更に幸せになって、それだけでも充分なのに……っ。更に更に、幸せな人生になりました。……お母様、ありがとうございます。あの日、奇跡を起こしてくれて」

 極刑を宣告された日。逆行する直前、形見のペンダントがあたたかくなった。
 あれは、お母様が守ってくれたんですよね?

「そのおかげでやり直すことができて、アルフォンス様と出逢えて……。未来を変えることができて、心も取り戻すことができて。アルフォンス様と、一緒になれました」
「そのおかげで素敵な出会いが生まれ、そうした縁によって、俺は愛する人と一緒になれました」
「「お母様(お義母様)。ありがとうございます」」

 お互い見つめ合って、指を絡めて手を握り合って、微笑み合って。2人で一緒に、頭を下げる。
 イザベルお母様、見守っていてくれてありがとう。お母様がああしてくれたから、私の人生は変わったよ。幸せだよっ。

「お義母様。これからも引き続き、大事な貴方の娘が――貴方の孫も、ずっと笑っていられるようにしてゆく所存です。ご安心ください」
「だ、そうですっ。お母様、これからも心配は要りませんよ。あちらでゆっくりと・・・・・、見守っていてくださいね」

 空いていた右手の指で、いつもつけているペンダント、その中央に入ったヒビをそっとなぞる。
 そのヒビは何もしていないのに出来ていて、それはきっと無理をしてくれた証。もうあんなことは起きないので、


 安心して、見守っていてくださいね。


 逆行後に起きた出来事を思い出しながら、ペンダントへと微笑みかける。そうしたら――。ほわり。一瞬だけまた温かくなり、

「ぁ……っ。お母様……っ!」

 柔らかな金髪と優しいタレ目の、小柄な女性。私の大好きな人が、優しく笑ってくれている姿が浮かびました。

「…………セリア。今、目の前にお義母様がいらっしゃったね」
「アルフォンス様も、感じていたのですね……っ。はい。温かい笑顔、でした」
「お義母様の期待を裏切るわけにはいかないし、そもそも、好きな人に悲しい顔をさせる趣味はない。……セリア。ますます、君を幸せにすると誓おう。覚悟してくれ」
「はい……っ。アルフォンス様は、絶対、な人ですから。覚悟させていただきます」

 恰好よく行われたウィンクに破顔をお返しして、そうしていたら…………。

「セリア」
「アルフォンス様」

 お母様の前だけど、したくなったので仕方がありません。お互いにスゥッと目を瞑り合って、キス。
 大切な人の感触と、たくさんの愛。私は、今日も――。二度目の人生で得られた、かけがえのない幸せに包まれたのでした。



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