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3 あたしが初仕事! (6)
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「その日も、昨日も、今日も……。『本当に無理はしてない?』って、聞かれた……」
「性格が突然、180度変わったんだもの。周りはどうしても、無理をして振る舞っていると思うわ」
普通に暮らしていると、そんな風にはならないもんね。
もしもママとパパがそうなったら、あたしはすっごく心配する。リョーコちゃんみたいに良いコトがあっても、あんまり喜べないなぁ……。
「私は貴方達が心配になって調べたのだけれど、ご両親は学校に相談しに来ていたわ。『教室ではどうですか?』『元気にやっていますか?』と、繰り返し尋ねていたらしいわよ」
「お父さん……。お母さん……」
「今回の変化はプラスがあったのだけれど、マイナスもあったの。貴方の一番大切な人達が、苦しむ羽目になってしまった」
「そ、そんな……。で、でも……っ。お父さん達は、友達があまりいないのを心配してて……っっ」
両膝から崩れ落ちたリョーコちゃんは、項垂れて頭を何回も振る。そして涙で一杯になった顔を上げて、モミジちゃんを見つめた。
「ウチは、どうしたら……っ。どうすればいいんですか……っ!?」
「元の性格のまま、頑張ってみる。というのはどうかしら?」
モミジちゃんは両膝をついて、ふわり。リョーコちゃんの震える肩に、そっと手を置いた。
「貴方は決して、嫌われてはいない。話しかける勇気がなくて俯きがちで、周りはそういう姿を見て話しかけにくくなっているだけ。だから勇気を持って一歩踏み出してみれば、絶対に世界を変えられるのよ」
「け、けど……。ウチはその勇気が、なかなか出ないん、です……。ウチはひとりじゃ、なにも――」
「ひとりでできないのなら、私が協力をさせてもらうわ」
その瞬間。その言葉を聞いた瞬間。リョーコちゃんの震えが止まった。
「自分だけで一歩を踏み出せないなら、誰かに背中を押してもらえばいい。私が、その誰かになるわ」
「つきした、さん……。どうして……。ウチに、そこまで……。してくれるんですか……?」
「貴方を助けようと色々調べているうちに、貴方が変わった一番の理由は『家族に心配させたくないから』だと気付いた。そんな思いやりのある人がいたら、誰だって力を貸したくなるわよ。役目に関係なくね」
うん、うんっ。そーだよねっ。
あたしも、精一杯お手伝いしたいって思ってるよっ。
「だから橋田涼子さん、貴方は無理をしなくてもいい。そのままの自分でいいのよ」
「ぅ……。ぇぅっ……。はぃ……。はい……っ。うちは、そのままでも、いいんですね……っっ」
嬉し涙をどっさりこぼしながら、濡れた顔でニッコリ笑う。
そしたら、あわっ。リョーコちゃんの身体が1回眩しく光って、身体が透明になりはじめた。
「性格が突然、180度変わったんだもの。周りはどうしても、無理をして振る舞っていると思うわ」
普通に暮らしていると、そんな風にはならないもんね。
もしもママとパパがそうなったら、あたしはすっごく心配する。リョーコちゃんみたいに良いコトがあっても、あんまり喜べないなぁ……。
「私は貴方達が心配になって調べたのだけれど、ご両親は学校に相談しに来ていたわ。『教室ではどうですか?』『元気にやっていますか?』と、繰り返し尋ねていたらしいわよ」
「お父さん……。お母さん……」
「今回の変化はプラスがあったのだけれど、マイナスもあったの。貴方の一番大切な人達が、苦しむ羽目になってしまった」
「そ、そんな……。で、でも……っ。お父さん達は、友達があまりいないのを心配してて……っっ」
両膝から崩れ落ちたリョーコちゃんは、項垂れて頭を何回も振る。そして涙で一杯になった顔を上げて、モミジちゃんを見つめた。
「ウチは、どうしたら……っ。どうすればいいんですか……っ!?」
「元の性格のまま、頑張ってみる。というのはどうかしら?」
モミジちゃんは両膝をついて、ふわり。リョーコちゃんの震える肩に、そっと手を置いた。
「貴方は決して、嫌われてはいない。話しかける勇気がなくて俯きがちで、周りはそういう姿を見て話しかけにくくなっているだけ。だから勇気を持って一歩踏み出してみれば、絶対に世界を変えられるのよ」
「け、けど……。ウチはその勇気が、なかなか出ないん、です……。ウチはひとりじゃ、なにも――」
「ひとりでできないのなら、私が協力をさせてもらうわ」
その瞬間。その言葉を聞いた瞬間。リョーコちゃんの震えが止まった。
「自分だけで一歩を踏み出せないなら、誰かに背中を押してもらえばいい。私が、その誰かになるわ」
「つきした、さん……。どうして……。ウチに、そこまで……。してくれるんですか……?」
「貴方を助けようと色々調べているうちに、貴方が変わった一番の理由は『家族に心配させたくないから』だと気付いた。そんな思いやりのある人がいたら、誰だって力を貸したくなるわよ。役目に関係なくね」
うん、うんっ。そーだよねっ。
あたしも、精一杯お手伝いしたいって思ってるよっ。
「だから橋田涼子さん、貴方は無理をしなくてもいい。そのままの自分でいいのよ」
「ぅ……。ぇぅっ……。はぃ……。はい……っ。うちは、そのままでも、いいんですね……っっ」
嬉し涙をどっさりこぼしながら、濡れた顔でニッコリ笑う。
そしたら、あわっ。リョーコちゃんの身体が1回眩しく光って、身体が透明になりはじめた。
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