あこがれチェンジ!

柚木ゆず

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11 あたし達が調査! (4)

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「んにゅにゅにゅにゅにゅ……っ。にゅにゅにゅにゅにゅ……っ!」
「くっ、もう追いかけてきたかっ。しかも、予想以上に速い……っ」
「1年生の時から毎日、学校まで走ってるからねっ。すぐに追いついちゃうよっ」

 人と人の間をすり抜けながら進んで、トラヒコくんが左に曲がったからあたしも左に曲がる。
 トラヒコくんまで、残り30メートルくらいっ。

「わっ!? なになに!? 子どもの鬼ごっこっ!?」
「走ってごめんなさいっ、おとなりを失礼します、だよっ。にゅにゅにゅにゅにゅ……っ!」

 ビックリしてる女の人さんに謝って、前にあるトラヒコくんのお背中を追いかける。
 トラヒコくんまでは、残り20メートルくらいっ。この近くにエレベーターはないから、あとちょっとで捕まえられるっっ。

「ぐ……っ。父さんも母さんも、余計な真似をしてくれるよ……っ」
「パパさんとママさんは、すっごく心配してたっ。そんなコト言っちゃダメで、このまま捕まえちゃうよっ」

 トラヒコくんまでは、残り10メートルくらい。
 あと少しっ。あと少し頑張れば、パパさんたちを安心させられるっ。

「トラヒコくんっ、もー無理だよっ。んにゅにゅにゅにゅにゅ……っ!」
「くそっ、すぐ後ろにいる……っ。このままじゃ……。このままじゃ……っっ」
「んにゅにゅにゅにゅ……! んにゅにゅにゅにゅ……っ!」

 残り、5メートルくらい。
 ホントに、あとちょっとっ。あとちょっと走れば、トラヒコくんに――

「仕方ないっ。そこの男の子、許してくれよっ!」

 あやっ!
 トラヒコくんは近くにいた小さな男の子を後ろに引っ張り、その男の子はあたしの目の前で転んだ。

「障害物のでき上がりだっ。これでちょっとは足が止まるだろっ」
「にゅぅ……っ。倒れた男の子は、上手く避けられるけど……」

 けど……。
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