あこがれチェンジ!

柚木ゆず

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17 あたし達の、アコヘン。 (4)

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「はじめて見た時にわぁってなって、同じクラスになったらもっと好きになった。モミジちゃんは去年からあたしの憧れで、実はアコヘンを誘ってきたのはモミジちゃんの性格になったあたしなの」
「ぇ……。うそ……」
「ウソじゃないよー。綺麗でクールで可愛くてカッコよくって大人っぽい、誰かのために一生懸命になれる月下モミジちゃん。そんなアナタは、見た目も中身もあたしの憧れ。夢だと思っていい加減なお返事をしてなかったら、絶対にアコヘンしちゃってたんだよ」

 あたしがモミジちゃんな雰囲気と喋り方になってるのを見て、うわぁ~って思った。勘違いをしてなかったら、モミジちゃんたちのお世話になってたんだよねぇ。

「だからパートナーになった時の気持ちは、モミジちゃんとおんなじ。恥ずかしくって内緒にしてたけど、あたしもドキドキだったんだよ」
「………………」
「2回目のお仕事の時も、おんなじ。3回目のお仕事の時も、おんなじ。モミジちゃんの傍にいるともっともっと色んなコトがわかって、あたしもドンドン憧れる気持ちが強くなった」

 もしアコヘンがもう1回起きるなら、すぐに起きちゃうくらい。たっくさんたーっくさん、憧れちゃってる。

「………………わたし、は……。私は何度もミスをしたのに……。それでもまだ、貴方の気持ちは変わっていないの……?」
「うんっ。変わらないよ」

 すぐに。クエッションマークが出てすぐ、お返事をした。

「だってあたしが好きなのは、『クールで綺麗でカッコいい、何でも完璧にできるモミジちゃん』じゃないもん。『クールで綺麗でカッコいい、誰かのために一生懸命になれるモミジちゃん』、なんだもん!」

 モミジちゃんがモミジちゃんのままなら、気持ちはずっとこのまま。
 あたしはそうやって落ち込めるモミジちゃんも、大好きですっ。

「だからね、モミジちゃん。あたしは本物のモミジちゃんで、いてほしーの」
「……………………」
「あたしでよければ、困った時には頑張ってお助けするからっ。お手伝いをするからっ。そのモミジちゃんで、ずっといてほしーっ」
「……………………」
「モミジちゃん、お願いします。あたしのお願いを、聞いてもらえませんか?」

 両手を前で揃えて、いつもより深く頭を下げる。
 あたしの気持ちは、全部お伝えした。
 モミジちゃんは……。受け入れて、くれるかな……?


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