気付いてくれたのは、わたしを嫌っていたはずの婚約者でした

柚木ゆず

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エピローグ 2人のその先~誓い~ エレノオール視点

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「最後にもう一つ。誓いをさせていただきます」

 季節が2つ過ぎ去り、冬を迎えた中で行われているわたし達の結婚式。その、終盤に差し掛かったタイミングでした。
 祭壇にて『夫婦の誓い』を終えてすぐ、ベンジャマン様のお身体がこちら向きました。

「エレノオール様」
「は、はいっ」
「それ以外の方法が見つからなかったとはいえ――。僕はかつて、自身の言動により貴方様を傷付けてしまいました」

 マティルドの爆弾を爆発させないようにするための、発言と行動。ベンジャマン様が仰られているのは、その際の出来事です。

「でも、二度目はありません。万が一似たような問題が発生したとしても、二度とそういった選択はしない。貴女様の心も身体も傷付けることは、決してありません」
「ベンジャマン、さま」
「だって僕はもう、あの時は違ってずっと隣にいます。何があろうとも貴女の剣となり盾となり、貴女のもとに届く前に排除できるのですからね。……ここに、誓いを立てます」

 世の中に絶対はないと言いますが、僕が常識を変えましょう――。この先どんな問題が襲い掛かろうとも、貴女様の心身には指ひとつ触れさせない――。波風ひとつ立てませんよ――。
 ベンジャマン様はわたしの瞳を真っすぐ見つめながら、静かに、ですが力強く言の葉を紡いでくださりました。

「……痛み入ります。わたしは、幸せ者です」

 大好きな方からそんな視線をいただけて、そんな風に仰ってもらえるなんて。こんなに嬉しいことはありません。

「僕の言葉に、そのような表情と言葉を返していただける。こちらも幸せ者ですよ」

 無意識的に緩んでいた口元と、嬉し涙が浮かんでいた瞳。ベンジャマン様はそれらを順番に見つめられたあと、わたしへと向かって一歩踏み出しました。
 ……有難いもう一つの誓いが終わり、『夫婦の誓い』は完全に終了となりました。ですのでこれから、最後の儀式へと移ります。

「……僕達の縁は家と家の都合、政略的な理由で生まれたものですが、今この胸にある想いはソレとは無縁です」
「そうですね。わたし達の胸にある感情は、わたし達で生み出したものです」

 ふたりで過ごした、時間。あの日から今日までの間に芽生え、ふたりで一緒に育ててきました。

「…………エレノオール・・・・・心から貴女を愛しています。一生涯手を取り合い、共に歩いてゆきましょう」
ベンジャマン・・・・・・、心から貴方を愛しています。……はい。はいっ。一生涯、手を取り合って同じ道を進んでゆきましょう」

 手を絡め合って想いを告げ合い、キスをする。
 わたし達は言葉と身体を使って互いの気持ちを改めて相手に届け、そうしてわたし達は――


 新たな関係のもと、新たな一歩を揃って踏み出したのでした。
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