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第10話 真相 俯瞰視点(1)
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「ジョルロア様、大変なことになってしまいましたね」
「アルス!? お前が監視係だったのか!! ならばっ、まだ望みはあるぞっ!」
馬車に放り込まれたあと、乗り込んできたのは従者だった。まさかの人選に、沈んでいた表情は一気に明るくなりました。
「お前はずっと近くにいたから分かるだろう!? あれはおかしい!!」
「ええ、そうですね。あれは、おかしいです」
「このまま追放されるわけにはいかない!! どうにかしてくれ!! どうにかしてっ、俺達の無実をしょうめい――あ、アルス? アル、ス……?」
懸命に頼んでいると、不敵に口元を緩めた。
この状況下ではあり得ない反応を目の当たりにし、ジョルロアは間抜けに目を瞬かせました。
「あ、アルス……? ある、す……?」
「…………自分が書いていないものがあって、しかも指紋までついていた。その理由を、知りたいですよね?」
「え……? おっ、お前は知っているというのか!? その口ぶりっ、知っているんだな!? 当たり前だっ、教えろっ! どうなっているんだアレは!?」
「…………なぜ、指紋が付着していたのか? そういえばジョルロア様、二階の廊下でわたくしから何かを受け取りませんでしたか?」
「受け取る? い、いやなにも――っっ!!」
『ジョルロア様、こちらの紙なのですが……』
『ん? 紙? こいつがどうかしたのか?』
『そちらに置かれてありまして。いかがなさいましょう?』
『……そうだな、父上と母上にも聞いてみろ。それで該当者がいないなら捨てるんだ』
『畏まりました』
指紋が検出された紙と同じサイズの紙に、しっかりと触れてしまっていました。
「あとはわたくしが、指紋がついた位置に合わせて殺害および後妻の件を記入して完成。ザルイール様にお渡しして、鑑定を行って、証拠の出来上がりとなりました」
「や、やっぱり捏造されたものだったのか……!! アルス!! どういうつもりだ!! なぜ俺を裏切った!!」
アルスは幼い頃から自分に従っていた、誰よりも忠誠心の強い男。たとえ自分や家族が命を失うとしても、喜んでジョルロアのために尽くす男。
家族以外で、もっとも信頼できる存在だったのです。
「今でも信じられない……。なぜ俺を裏切ったんだ!! 答えろアルス!!」
「ジョルロア様、わたくしは貴男様を裏切ってはおりませんよ」
「!! ふざけるな!!」
「ふざけてなど、いませんよ」
実際、アルスはまったくふざけてはいませんでした。
なぜらば――
「だってわたくしは、最初からずっとザルイール様の忠実なしもべ。一度たりとも、貴男様の下についてはいないのですからね」
「アルス!? お前が監視係だったのか!! ならばっ、まだ望みはあるぞっ!」
馬車に放り込まれたあと、乗り込んできたのは従者だった。まさかの人選に、沈んでいた表情は一気に明るくなりました。
「お前はずっと近くにいたから分かるだろう!? あれはおかしい!!」
「ええ、そうですね。あれは、おかしいです」
「このまま追放されるわけにはいかない!! どうにかしてくれ!! どうにかしてっ、俺達の無実をしょうめい――あ、アルス? アル、ス……?」
懸命に頼んでいると、不敵に口元を緩めた。
この状況下ではあり得ない反応を目の当たりにし、ジョルロアは間抜けに目を瞬かせました。
「あ、アルス……? ある、す……?」
「…………自分が書いていないものがあって、しかも指紋までついていた。その理由を、知りたいですよね?」
「え……? おっ、お前は知っているというのか!? その口ぶりっ、知っているんだな!? 当たり前だっ、教えろっ! どうなっているんだアレは!?」
「…………なぜ、指紋が付着していたのか? そういえばジョルロア様、二階の廊下でわたくしから何かを受け取りませんでしたか?」
「受け取る? い、いやなにも――っっ!!」
『ジョルロア様、こちらの紙なのですが……』
『ん? 紙? こいつがどうかしたのか?』
『そちらに置かれてありまして。いかがなさいましょう?』
『……そうだな、父上と母上にも聞いてみろ。それで該当者がいないなら捨てるんだ』
『畏まりました』
指紋が検出された紙と同じサイズの紙に、しっかりと触れてしまっていました。
「あとはわたくしが、指紋がついた位置に合わせて殺害および後妻の件を記入して完成。ザルイール様にお渡しして、鑑定を行って、証拠の出来上がりとなりました」
「や、やっぱり捏造されたものだったのか……!! アルス!! どういうつもりだ!! なぜ俺を裏切った!!」
アルスは幼い頃から自分に従っていた、誰よりも忠誠心の強い男。たとえ自分や家族が命を失うとしても、喜んでジョルロアのために尽くす男。
家族以外で、もっとも信頼できる存在だったのです。
「今でも信じられない……。なぜ俺を裏切ったんだ!! 答えろアルス!!」
「ジョルロア様、わたくしは貴男様を裏切ってはおりませんよ」
「!! ふざけるな!!」
「ふざけてなど、いませんよ」
実際、アルスはまったくふざけてはいませんでした。
なぜらば――
「だってわたくしは、最初からずっとザルイール様の忠実なしもべ。一度たりとも、貴男様の下についてはいないのですからね」
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