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第10話 真相 俯瞰視点(2)
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「……な、なにを、言って……」
「やっと、種明かしが出来ますね。わたくしは、ザルイール様が送り込んだスパイなのですよ。ザルイール様が当主であり会頭となるための、ね」
現当主であり現会頭であるロークの実弟、ザルイール。表向きは兄を尊敬し誠心誠意兄を支える弟の鑑のような人間でしたが、実体は真逆。長男だからという理由でトップにいる兄を幼い頃から怨み続けている、地位と名声を渇望する野心家だったのです。
「目的を達成するには、当主、当主夫人、そして嫡男を追い出さないといけない。ザルイール様は10代の頃からその方法を模索し続けるも見つからず、内側からチャンスを狙えるようにわたくしを送り込んだのですよ」
すぐ傍で目を光らせ、現体制を崩壊させる機会を見つける。その仕込みによって早々に『ファニーへの恋』に気付き、同じくその後の『浮気』も把握できますが、ジョルロア自身も言っていたようにそれだけでは弱い。
親族や商会の上層部の人間を動かすのは、難しかった。
そこで『浮気』を活かした強力な一撃を与えられる方法を考え始め、その結果生まれたのがこの作戦でした。
「ファニーとの絶縁ではなく、関係維持を選ぶ。ファニーを屋敷に招待する。支援を約束する。マエリス様に浮気が露見した時、貴男方ならそんな風に動いてくださると思っていましたよ」
「……!!」
「この動きを関係者に見せることができたら、計画は最後まで進める。そう確信したザルイール様により、わたくしはマエリス様に浮気を知らせる手紙をお渡ししたのですよ」
あの時部屋に手紙を差し込んだのはアルスで、手紙を受け取った際のマエリスの読みは大正解。マエリスのためではなく、自分のためにそうしていたのです。
「あの方は貴男様に騙されて好感を抱いていて、手紙に乗ってもらえるかが唯一の不安材料でした。ところがふたを開けてみたら、なんとまぁご本人がうっかり寝言でもらしていたようで。あっさりと信じていただけましたよ」
「ぐっ!!」
「あとはくだんのリストランテにご案内をして、壺に身を潜めていただき、わたくしは気付かないフリをして見逃し、貴男様が退室された隙にナフキンを回収。その後追跡によりファニーの居場所を特定し、アレに至るというわけです」
「……そうか、そういうことだったのか……!! よくも――まさか!! あの事故もお前達が!?」
「貴男様が死んでしまっては、殺害と後妻を使えなくなります。こちらはむしろ絶対に死なれては困る側で、一切関与していませんよ」
嘘を吐き続けている上に、身勝手にふたりの死を願い続けていた罰なのでしょう。事故は偶然起きた出来事でした。
「あの件でヒヤッとしましたが無事回復されて、予定通り計画を完遂できました。ジョルロア様。完璧な操り人形となってくださったこと、心より感謝しております」
「きさまぁああああああああああああああああああああ!! 殺してやるうううううううううううううううううううううううう!!」
「怖い怖い、そんなに怒らないでくださいよ。感謝は煽りではなく事実で、ちゃんとお礼を用意しているんです。そちらで怒りを鎮めてください」
そう、言い終えた直後でした。進んでいた馬車が急に止まり、ジョルロアは拘束されたまま外へと出されたのでした。
彼が降ろされた場所、それは――
「やっと、種明かしが出来ますね。わたくしは、ザルイール様が送り込んだスパイなのですよ。ザルイール様が当主であり会頭となるための、ね」
現当主であり現会頭であるロークの実弟、ザルイール。表向きは兄を尊敬し誠心誠意兄を支える弟の鑑のような人間でしたが、実体は真逆。長男だからという理由でトップにいる兄を幼い頃から怨み続けている、地位と名声を渇望する野心家だったのです。
「目的を達成するには、当主、当主夫人、そして嫡男を追い出さないといけない。ザルイール様は10代の頃からその方法を模索し続けるも見つからず、内側からチャンスを狙えるようにわたくしを送り込んだのですよ」
すぐ傍で目を光らせ、現体制を崩壊させる機会を見つける。その仕込みによって早々に『ファニーへの恋』に気付き、同じくその後の『浮気』も把握できますが、ジョルロア自身も言っていたようにそれだけでは弱い。
親族や商会の上層部の人間を動かすのは、難しかった。
そこで『浮気』を活かした強力な一撃を与えられる方法を考え始め、その結果生まれたのがこの作戦でした。
「ファニーとの絶縁ではなく、関係維持を選ぶ。ファニーを屋敷に招待する。支援を約束する。マエリス様に浮気が露見した時、貴男方ならそんな風に動いてくださると思っていましたよ」
「……!!」
「この動きを関係者に見せることができたら、計画は最後まで進める。そう確信したザルイール様により、わたくしはマエリス様に浮気を知らせる手紙をお渡ししたのですよ」
あの時部屋に手紙を差し込んだのはアルスで、手紙を受け取った際のマエリスの読みは大正解。マエリスのためではなく、自分のためにそうしていたのです。
「あの方は貴男様に騙されて好感を抱いていて、手紙に乗ってもらえるかが唯一の不安材料でした。ところがふたを開けてみたら、なんとまぁご本人がうっかり寝言でもらしていたようで。あっさりと信じていただけましたよ」
「ぐっ!!」
「あとはくだんのリストランテにご案内をして、壺に身を潜めていただき、わたくしは気付かないフリをして見逃し、貴男様が退室された隙にナフキンを回収。その後追跡によりファニーの居場所を特定し、アレに至るというわけです」
「……そうか、そういうことだったのか……!! よくも――まさか!! あの事故もお前達が!?」
「貴男様が死んでしまっては、殺害と後妻を使えなくなります。こちらはむしろ絶対に死なれては困る側で、一切関与していませんよ」
嘘を吐き続けている上に、身勝手にふたりの死を願い続けていた罰なのでしょう。事故は偶然起きた出来事でした。
「あの件でヒヤッとしましたが無事回復されて、予定通り計画を完遂できました。ジョルロア様。完璧な操り人形となってくださったこと、心より感謝しております」
「きさまぁああああああああああああああああああああ!! 殺してやるうううううううううううううううううううううううう!!」
「怖い怖い、そんなに怒らないでくださいよ。感謝は煽りではなく事実で、ちゃんとお礼を用意しているんです。そちらで怒りを鎮めてください」
そう、言い終えた直後でした。進んでいた馬車が急に止まり、ジョルロアは拘束されたまま外へと出されたのでした。
彼が降ろされた場所、それは――
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