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第11話 感謝の気持ち 俯瞰視点(1)
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「貴男様は、見覚えがあるはずです。こちらがどこか、分かりますよね?」
「……当たり前だろうが。ここは、ファニーの家だ」
平民にしては立派な一軒家。ジョルロアが密かに行っていた支援によって建った、愛しの人がいる場所でした。
「当初は隣国で適当に捨てる予定だったのですが、計画のためとはいえ長年一緒に居た人にそこまでするのは寝覚めが悪いものです。そこでザルイール様に頼み、ファニーと一緒に暮らせるようにしていただいたのですよ」
二度と自分達の目の前に現れないこと。余計なことを吹聴しないこと。などなど5つの約束を守れば、好きにしてもいい。
アルスの申し出により、そういったことになっていたのです。
「貴族としてのアレコレは失いますが、愛する人との生活は失わずに済む。そこまで悪くはないとは思いませんか?」
「……………………」
「やだな、睨みつけないでくださいよ。……はぁ。わたくしがやめると言えば、コレもなくなるんですよ? それでもいいんですか?」
「……………………っっ。分かった。それでいい。そうして、くれ」
はらわたは煮えくり返っていますが、ファニーとの時間まで奪われたら死んだも同然です。奥歯を噛み締め、五指の爪を食い込ませながら頷きました。
「念のため貴男様には、今後も監視をつけるそうです。妙な真似をしたらそこで終わり。気を付けてくださいね」
「………………分かっている」
「よろしくお願いしますよ? では、ここでお別れですね。よい人生を」
アルスはひらひらと手を振って馬車に乗り込み、ロークとアヌークを乗せたまま軽快に走り出し――。ジョルロアは、すぐに動き出します。
精一杯ダメージを受けていない素振りをしてノックを行い、15秒ほど経った頃でしょうか。
「お待たせいたしました――ジョル様!?」
最愛の人が現れ、突然の来訪に目を丸くしました。
「え!? ええっ!? こんなところにおひとりで!? どうされたのですか!?」
「…………実はな……。全てを失ってしまったんだ」
偽装を始めとした叔父の陰謀、それによる追放。今日起きた悪夢のような出来事を語り、真っすぐファニーの瞳を見つめました。
「だが不幸中の幸い、君の傍にずっと居れるようになったんだ。今までのようにはいかないけれど、俺なりのやり方で幸せにしてみせるからさ。これからもよろしくお願いします」
鼻の頭をぽりぽりと掻き、真っすぐ手を伸ばします。そんな彼に対し、ファニーは――
「そうなのですね。そういうことなら、貴方様との御縁はここまでです」
――パンと、差し出された手を叩いたのでした。
「……当たり前だろうが。ここは、ファニーの家だ」
平民にしては立派な一軒家。ジョルロアが密かに行っていた支援によって建った、愛しの人がいる場所でした。
「当初は隣国で適当に捨てる予定だったのですが、計画のためとはいえ長年一緒に居た人にそこまでするのは寝覚めが悪いものです。そこでザルイール様に頼み、ファニーと一緒に暮らせるようにしていただいたのですよ」
二度と自分達の目の前に現れないこと。余計なことを吹聴しないこと。などなど5つの約束を守れば、好きにしてもいい。
アルスの申し出により、そういったことになっていたのです。
「貴族としてのアレコレは失いますが、愛する人との生活は失わずに済む。そこまで悪くはないとは思いませんか?」
「……………………」
「やだな、睨みつけないでくださいよ。……はぁ。わたくしがやめると言えば、コレもなくなるんですよ? それでもいいんですか?」
「……………………っっ。分かった。それでいい。そうして、くれ」
はらわたは煮えくり返っていますが、ファニーとの時間まで奪われたら死んだも同然です。奥歯を噛み締め、五指の爪を食い込ませながら頷きました。
「念のため貴男様には、今後も監視をつけるそうです。妙な真似をしたらそこで終わり。気を付けてくださいね」
「………………分かっている」
「よろしくお願いしますよ? では、ここでお別れですね。よい人生を」
アルスはひらひらと手を振って馬車に乗り込み、ロークとアヌークを乗せたまま軽快に走り出し――。ジョルロアは、すぐに動き出します。
精一杯ダメージを受けていない素振りをしてノックを行い、15秒ほど経った頃でしょうか。
「お待たせいたしました――ジョル様!?」
最愛の人が現れ、突然の来訪に目を丸くしました。
「え!? ええっ!? こんなところにおひとりで!? どうされたのですか!?」
「…………実はな……。全てを失ってしまったんだ」
偽装を始めとした叔父の陰謀、それによる追放。今日起きた悪夢のような出来事を語り、真っすぐファニーの瞳を見つめました。
「だが不幸中の幸い、君の傍にずっと居れるようになったんだ。今までのようにはいかないけれど、俺なりのやり方で幸せにしてみせるからさ。これからもよろしくお願いします」
鼻の頭をぽりぽりと掻き、真っすぐ手を伸ばします。そんな彼に対し、ファニーは――
「そうなのですね。そういうことなら、貴方様との御縁はここまでです」
――パンと、差し出された手を叩いたのでした。
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