33 / 39
エピローグ~5年後の未来~その2 俯瞰視点
しおりを挟む
「……頼む、お願いだ……! 時間よ巻き戻れ……!! 戻ってくれ……!!」
バーゼルットと呼ばれる街の隅にある、住居を持たない者が集まる場所。そこの一角では、汚らしいボロボロの服を纏った男が天に祈りを捧げていました。
彼の名前は、ジョルロア。かつてはハーライト子爵家の貴族で、嫡男であり副会頭を務めていた男です。
『聞こえなかったんですか? 早く消えろ。邪魔。目障り。これ以上しつこくするなら、通報するわよ?』
『………………くそが!! 死ね!! 死ね!! 地獄に落ちろ!!』
叔父によって追放され、愛していた女性ファニーにも捨てられたジョルロア。そんな彼はどうにかして再起を図ろうとしますが、『追放された元貴族』という肩書は非常に悪い印象を放ってしまいました。
それによってまともな仕事に就くことはできず、仕方がなく――。本当に仕方なく自身が『ゴミがする仕事』だと称していた日雇いの労働を始めましたが、
「平民如きが偉そうに命令するな!! こんな仕事こっちから願い下げだ!!」
プライドの高さによってすぐ感情が爆発し、ころころと職を変え、やがて悪評が広まり雇ってくれるところは完全になくなってしまったのでした。
そのため野宿と残飯漁りを繰り返す日々となってしまい、当然、ジョルロアがそんな日常に耐えられるはずがありませんでした。
『あの頃に、戻りたい……!! なにひとつ不自由のなかったあの日々に、戻りたい……!! 神様、時間を巻き戻してください……!!』
もう、奇跡しかない――。そんな理由で必死の神頼みが始まりますが、残念ながら――その願いが叶う日が訪れることは、ありません。
「ファニーという女と出会ったしまったせいで、こんな目に遭っているんです……!!」
「マエリスがもっと魅力的だったら、心変わりしてファニーと縁を切れていたんです……! 俺はずっと、女に恵まれていなかったんです……!!」
「叔父やアルスが邪な企みをしていなければ、なにも起こらなかったんです……!!」
いつまでも、どこまでも責任転嫁で他責思考。自分の比は殆どないと――1割もないと主する有様。
こんな考えを持ち主を助ける存在は、ありません。
「お願いします……! お願いします……!! 綺麗な服を着て……美味しいものを好きなだけ食べて……大きなベッドで寝る……。あの日々に、戻してください……!!」
ですのでこれから先も、ずっとこんな調子。ジョルロアは憐れに叫び続け、憐れに歳を取ってゆくのでした――。
バーゼルットと呼ばれる街の隅にある、住居を持たない者が集まる場所。そこの一角では、汚らしいボロボロの服を纏った男が天に祈りを捧げていました。
彼の名前は、ジョルロア。かつてはハーライト子爵家の貴族で、嫡男であり副会頭を務めていた男です。
『聞こえなかったんですか? 早く消えろ。邪魔。目障り。これ以上しつこくするなら、通報するわよ?』
『………………くそが!! 死ね!! 死ね!! 地獄に落ちろ!!』
叔父によって追放され、愛していた女性ファニーにも捨てられたジョルロア。そんな彼はどうにかして再起を図ろうとしますが、『追放された元貴族』という肩書は非常に悪い印象を放ってしまいました。
それによってまともな仕事に就くことはできず、仕方がなく――。本当に仕方なく自身が『ゴミがする仕事』だと称していた日雇いの労働を始めましたが、
「平民如きが偉そうに命令するな!! こんな仕事こっちから願い下げだ!!」
プライドの高さによってすぐ感情が爆発し、ころころと職を変え、やがて悪評が広まり雇ってくれるところは完全になくなってしまったのでした。
そのため野宿と残飯漁りを繰り返す日々となってしまい、当然、ジョルロアがそんな日常に耐えられるはずがありませんでした。
『あの頃に、戻りたい……!! なにひとつ不自由のなかったあの日々に、戻りたい……!! 神様、時間を巻き戻してください……!!』
もう、奇跡しかない――。そんな理由で必死の神頼みが始まりますが、残念ながら――その願いが叶う日が訪れることは、ありません。
「ファニーという女と出会ったしまったせいで、こんな目に遭っているんです……!!」
「マエリスがもっと魅力的だったら、心変わりしてファニーと縁を切れていたんです……! 俺はずっと、女に恵まれていなかったんです……!!」
「叔父やアルスが邪な企みをしていなければ、なにも起こらなかったんです……!!」
いつまでも、どこまでも責任転嫁で他責思考。自分の比は殆どないと――1割もないと主する有様。
こんな考えを持ち主を助ける存在は、ありません。
「お願いします……! お願いします……!! 綺麗な服を着て……美味しいものを好きなだけ食べて……大きなベッドで寝る……。あの日々に、戻してください……!!」
ですのでこれから先も、ずっとこんな調子。ジョルロアは憐れに叫び続け、憐れに歳を取ってゆくのでした――。
74
あなたにおすすめの小説
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。
しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。
友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。
『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。
取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。
彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
婚約破棄されたので、自由に生きたら王太子が失脚しましたあ
鍛高譚
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢 ロザリー・フォン・アーデン は、王太子 エドワード・カミル・レグノード の婚約者として誰もが認める完璧な貴族令嬢だった。
しかしある日、王太子は突如 “聖女” を名乗る平民の少女 セシリア・ブランシュ に夢中になり、ロザリーに無情な婚約破棄を言い渡す。
「これは神の導きだ! 私の本当の運命の相手はセシリアなんだ!」
「ロザリー様、あなたは王太子妃にふさわしくありませんわ」
──ふたりの言葉を前に、ロザリーは静かに微笑んだ。
「……そうですか。では、私も自由に生きさせていただきますわね?」
だが、これがロザリーの “ざまぁ” 逆転劇の幕開けだった!
神託と称して王太子を操る “聖女” の正体は、なんと偽者!?
さらに王室財政を私物化する 汚職貴族との黒い繋がり も発覚!?
次々と暴かれる陰謀の数々に、王宮は大混乱。
そして、すべての証拠が王の手に渡ったとき──王太子 エドワードは王太子の地位を剥奪され、偽の聖女と共に国外追放 となる!
「ロザリー様を捨てた王太子は大馬鹿者だ!」
「やっぱり王妃にふさわしかったのはロザリー様だったのよ!」
社交界ではロザリーへの称賛が止まらない。
そしてそんな彼女のもとに、なんと隣国の 若き王クラウス・アレクサンドル から正式な求婚が──!?
「私はあなたの聡明さと誇り高き心に惹かれました。私の王妃になっていただけませんか?」
かつての婚約破棄が嘘のように、今度は 本物の愛と自由を手にするチャンス が巡ってくる。
しかし、ロザリーはすぐに頷かない。
「私はもう、誰かに振り回されるだけの人生は選びません」
王妃となる道を選ぶのか、それとも公爵家の令嬢として新たな未来を切り開くのか──?
皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]
風龍佳乃
恋愛
マルティナには初恋の人がいたが
王命により皇太子の元に嫁ぎ
無能と言われた夫を支えていた
ある日突然
皇帝になった夫が自分の元婚約者令嬢を
第2夫人迎えたのだった
マルティナは初恋の人である
第2皇子であった彼を新皇帝にするべく
動き出したのだった
マルティナは時間をかけながら
じっくりと王家を牛耳り
自分を蔑ろにした夫に三行半を突き付け
理想の人生を作り上げていく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる