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第7話 幼馴染2人のその後~ラウルの場合・その1~ ラウル視点
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「……なあラウルよ、俺よ。俺は実際に、手に入れてしまったんだよな? …………はははははっ! ああそうだともっ! 夢なんかじゃないっ!! 勝ち組の仲間入りを果たしたんだ……!!」
リュクレースとの縁を切ってから、5日後の夜。学院の敷地内に建つ寮に戻ってきた俺は、届いていた『生徒会長用のバッジ』を掲げながら改めて喜びを噛み締めていた。
――名門ラドラロンド学院の生徒会長に就任する――。
しかも前例のない、外国人の当選を果たしたんだ。箔が――特大の箔がつかないはずがない。
在籍中も卒業後も、ずっと注目をされること間違いなし。
その証拠に歴代の生徒会長は全員が現在も一目置かれていて、講演など様々な依頼も舞い込んでいる――ず~っと引っ張りだこなんだ。ソレ以上に注目され続けること間違いなしで、ワンランク上の人生を歩むことができる。
で・も。それだけじゃないんだよなぁ。
――マリレーヌ様と婚約できるようになった――。
歴史においても現在の知名度においても実力においても財力においても、ウチとは別格な侯爵家に仲間入りを果たせる。
もう、細かく語る必要もない。
ワンランクどころか、ツーランクも上の人生を歩むことができる。
ツーとワンで、スリー。
ここまできたら、もはや別次元。ココに留学して懸命に勉学に励んだおかげで、俺の人生は薔薇色なものになったんだ!
「ははははははははは……! リュクレースには感謝しないといけないな。アイツのおかげで、俺は最高より最高な一生が――いや、待てよ……」
『世界で一番幸せにする』と言い出したのも、『そのために留学する』と言い出したのも、俺だ。
よくよく考えてみたらアイツはなにもしていないんだから、アイツに感謝する必要はないじゃないか。それどころか――アレは楽して甘い蜜だけ吸おうとしていた、とんでもないクズ女じゃないか。
「そうかそうか。なら婚約解消は自業自得だな。ざまぁみろ!」
頭の中に浮かんでいたリュクレースの顔に向けて舌を出し、そうしていると部屋に戻ってから1時間近く経っていることに気が付いた。
明日からも慌ただしい日々は続き、今度は3日間学院を休んで、早朝からコダヴァルア邸に向かう――マリレーヌ様のご家族にご挨拶をするようになっている。明日は朝の5時に起きないといけなくて、寝坊したら大変だからさっさと寝るとしよう。
「くくく。これが人生の安泰を手に入れた感覚、選ばれし極僅かな『勝者』しか感じれないものか。素晴らしい……!」
全身に溢れる幸福感や高揚感に浸りながらベッドに入り、こうして喜びに満ちた一日が終わりを告げる。だがすぐに同じような幸せや喜びに満ちた一日が幕を開け、笑顔以外浮かばない充実した日々が続いていって――
○○
「…………なっ!? なんだって!? そんなバカな!?」
リュクレースとの縁を切ってから、5日後の夜。学院の敷地内に建つ寮に戻ってきた俺は、届いていた『生徒会長用のバッジ』を掲げながら改めて喜びを噛み締めていた。
――名門ラドラロンド学院の生徒会長に就任する――。
しかも前例のない、外国人の当選を果たしたんだ。箔が――特大の箔がつかないはずがない。
在籍中も卒業後も、ずっと注目をされること間違いなし。
その証拠に歴代の生徒会長は全員が現在も一目置かれていて、講演など様々な依頼も舞い込んでいる――ず~っと引っ張りだこなんだ。ソレ以上に注目され続けること間違いなしで、ワンランク上の人生を歩むことができる。
で・も。それだけじゃないんだよなぁ。
――マリレーヌ様と婚約できるようになった――。
歴史においても現在の知名度においても実力においても財力においても、ウチとは別格な侯爵家に仲間入りを果たせる。
もう、細かく語る必要もない。
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ツーとワンで、スリー。
ここまできたら、もはや別次元。ココに留学して懸命に勉学に励んだおかげで、俺の人生は薔薇色なものになったんだ!
「ははははははははは……! リュクレースには感謝しないといけないな。アイツのおかげで、俺は最高より最高な一生が――いや、待てよ……」
『世界で一番幸せにする』と言い出したのも、『そのために留学する』と言い出したのも、俺だ。
よくよく考えてみたらアイツはなにもしていないんだから、アイツに感謝する必要はないじゃないか。それどころか――アレは楽して甘い蜜だけ吸おうとしていた、とんでもないクズ女じゃないか。
「そうかそうか。なら婚約解消は自業自得だな。ざまぁみろ!」
頭の中に浮かんでいたリュクレースの顔に向けて舌を出し、そうしていると部屋に戻ってから1時間近く経っていることに気が付いた。
明日からも慌ただしい日々は続き、今度は3日間学院を休んで、早朝からコダヴァルア邸に向かう――マリレーヌ様のご家族にご挨拶をするようになっている。明日は朝の5時に起きないといけなくて、寝坊したら大変だからさっさと寝るとしよう。
「くくく。これが人生の安泰を手に入れた感覚、選ばれし極僅かな『勝者』しか感じれないものか。素晴らしい……!」
全身に溢れる幸福感や高揚感に浸りながらベッドに入り、こうして喜びに満ちた一日が終わりを告げる。だがすぐに同じような幸せや喜びに満ちた一日が幕を開け、笑顔以外浮かばない充実した日々が続いていって――
○○
「…………なっ!? なんだって!? そんなバカな!?」
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