44 / 88
第21話 幼馴染2人のその後~ラウルの場合・その5~ ラウル視点(2)
しおりを挟む
「……………………………………」
大きなノックに起こされてから、およそ1時間後。俺は呆然となって自室に戻り、そのままベッドに倒れ込んだ。
「……………………………………。なんてことだ……」
まさか……。まさか――
ロック先生が死んでしまうだなんて。
膨大な借金の原因となった、女癖の悪さと酒癖の悪さ。
昨夜ロック先生は『彼女』である女と酒を飲み、盛り上がっているところに1人の女が――彼は二股をしており、もう片方の相手が現れてしまう。ソレによって二股がバレて女たちと激しい口論になってしまい、どうしようもなくなった先生は逆切れをして2人に暴力を振るってしまった。
それによって通報されることとなってしまい、捕縛を恐れた彼は血相を変えてその場から逃げ出してしまったそうだ。
――そんなロック先生はすでにワインを1本空けていて、酷く酔っていた――。
その状態でまともに走れるわけはなく、案の定逃走中に川に転落。激しく酔っているため足がつくと気付かず、パニックになってそのまま溺死してしまったらしい……。
「…………………………っっ。なにをやってるんだあのバカは!!」
アイツが居なかったら問題文も回答も手に入らないじゃないか!
俺は毎回主席を取らないといけないのに……! そのための計画が崩壊してしまったじゃないか!!
「…………………………どうする……。どうすればいいんだ……!?」
この学院内に、取り引きをできるヤツは他にいない。
新たな『ロック先生』を用意することはできない。
最悪、だ……。
「…………今から勉強すれば、どうにか、なるか……?」
無理だ。出来るはずがない。
だって俺は、前回から一切授業以外で教科書を開いていないんだ。公表されないからと、ミニテストの勉強さえもしていなくて……。
そんな状態で今からやっても、70点すらも取れないだろう……。
「でも、1位を取らないといけない……。それが不可能なら……最低でも、10番台に入らないといけない」
前回トップを取り戻しているのだから、少しくらい落ちても許される。とはいえ許容範囲は、そこだ……。
「勉強は間に合わなくて…………問題も回答も入手できない……。待ってくれよ……。どうすればいいんだよ……!?」
いくらクレバーになった俺でも、こんなのどうにもならない。
「……………………」
目の前が真っ暗になってくる。
けど、それでもどうにかしないといけない。
「……………………やってやる……! 奇跡を起こしてやる……!」
地獄に落ちろ! 苦しめ!! 地獄で悲鳴をあげ続けろ!!
滅茶苦茶にしやがったクズ・ロックの死後の不幸を心から願い、思案を始める。
「……奇跡を起こす、そのためには……………………」
大きなノックに起こされてから、およそ1時間後。俺は呆然となって自室に戻り、そのままベッドに倒れ込んだ。
「……………………………………。なんてことだ……」
まさか……。まさか――
ロック先生が死んでしまうだなんて。
膨大な借金の原因となった、女癖の悪さと酒癖の悪さ。
昨夜ロック先生は『彼女』である女と酒を飲み、盛り上がっているところに1人の女が――彼は二股をしており、もう片方の相手が現れてしまう。ソレによって二股がバレて女たちと激しい口論になってしまい、どうしようもなくなった先生は逆切れをして2人に暴力を振るってしまった。
それによって通報されることとなってしまい、捕縛を恐れた彼は血相を変えてその場から逃げ出してしまったそうだ。
――そんなロック先生はすでにワインを1本空けていて、酷く酔っていた――。
その状態でまともに走れるわけはなく、案の定逃走中に川に転落。激しく酔っているため足がつくと気付かず、パニックになってそのまま溺死してしまったらしい……。
「…………………………っっ。なにをやってるんだあのバカは!!」
アイツが居なかったら問題文も回答も手に入らないじゃないか!
俺は毎回主席を取らないといけないのに……! そのための計画が崩壊してしまったじゃないか!!
「…………………………どうする……。どうすればいいんだ……!?」
この学院内に、取り引きをできるヤツは他にいない。
新たな『ロック先生』を用意することはできない。
最悪、だ……。
「…………今から勉強すれば、どうにか、なるか……?」
無理だ。出来るはずがない。
だって俺は、前回から一切授業以外で教科書を開いていないんだ。公表されないからと、ミニテストの勉強さえもしていなくて……。
そんな状態で今からやっても、70点すらも取れないだろう……。
「でも、1位を取らないといけない……。それが不可能なら……最低でも、10番台に入らないといけない」
前回トップを取り戻しているのだから、少しくらい落ちても許される。とはいえ許容範囲は、そこだ……。
「勉強は間に合わなくて…………問題も回答も入手できない……。待ってくれよ……。どうすればいいんだよ……!?」
いくらクレバーになった俺でも、こんなのどうにもならない。
「……………………」
目の前が真っ暗になってくる。
けど、それでもどうにかしないといけない。
「……………………やってやる……! 奇跡を起こしてやる……!」
地獄に落ちろ! 苦しめ!! 地獄で悲鳴をあげ続けろ!!
滅茶苦茶にしやがったクズ・ロックの死後の不幸を心から願い、思案を始める。
「……奇跡を起こす、そのためには……………………」
658
あなたにおすすめの小説
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?
神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。
カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。
(※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
あなたと妹がキモ……恐いので、婚約破棄でOKです。あ、あと慰謝料ください。
百谷シカ
恋愛
「妹が帰って来たので、今日はこれにて。また連絡するよ、ルイゾン」
「えっ? あ……」
婚約中のティボー伯爵令息マルク・バゼーヌが、結婚準備も兼ねた食事会を中座した。
理由は、出戻りした妹フェリシエンヌの涙の乱入。
それからというもの、まったく音沙汰ナシよ。
結婚予定日が迫り連絡してみたら、もう、最悪。
「君には良き姉としてフェリシエンヌを支えてほしい。婿探しを手伝ってくれ」
「お兄様のように素敵な方なんて、この世にいるわけがないわ」
「えっ? あ……ええっ!?」
私はシドニー伯爵令嬢ルイゾン・ジュアン。
婚約者とその妹の仲が良すぎて、若干の悪寒に震えている。
そして。
「あなたなんかにお兄様は渡さないわ!」
「無責任だな。妹の婿候補を連れて来られないなら、君との婚約は破棄させてもらう」
「あー……それで、結構です」
まったく、馬鹿にされたものだわ!
私はフェリシエンヌにあらぬ噂を流され、有責者として婚約を破棄された。
「お兄様を誘惑し、私を侮辱した罪は、すっごく重いんだからね!」
なんと、まさかの慰謝料請求される側。
困った私は、幼馴染のラモー伯爵令息リシャール・サヴァチエに助けを求めた。
彼は宮廷で執政官補佐を務めているから、法律に詳しいはず……
王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。
ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる