わたしとの約束を守るために留学をしていた幼馴染が、知らない女性を連れて戻ってきました

柚木ゆず

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第25話 幼馴染2人のその後~リュクレースの場合・その7~ リュクレース視点(2)

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「ソフィー様!? ソフィー様!!」
「っ! 大丈夫ですか!?」
「……く、苦しい……。胸が、急に、苦しくなって……。力も、はいり、ません……」

 わたし達より2歳上の、ヤリュータレアス侯爵令嬢ソフィー様。絨毯の上に倒れたソフィー様が発された声は、今にも消えそうなほど小さなものでした……。

「さっきまであんなに元気だったのに……。どうして……」
「食べ物、飲み物に何か入っていたのか……!?」
「それはあり得ないわ。会場で出すものは、我がローヴェリラ侯爵家が責任を持って提供しているもの」

 介抱されているアニー様――主催者であり総責任者が即座に否定し、困惑しながらもテキパキと担架を要請。そちらはすぐに到着し、ソフィー様は緊急用の医務室へと運ばれてゆきました。

「まずはあそこで応急処置を施す。それで回復すればよし、回復しなければすぐ知り合いの医療機関は運びます」
「ありがとうね、アニー。……あの子の様子が気になる。ワタシも行くよ」

 弟子想いの先生は不安そうにされながら会場をあとにされ、30分ほどが経過したでしょうか。フィリベール様と共に待機していると、先生とアニー様が戻られました。

「「「「「アニー様っ! ソフィ―様のご様子はいかがですかっ?」」」」
「幸い回復して、胸の苦しみもなくなったし、顔色もよくなっている。とはいえ本人にも思い当たる節のない異変ということもあって、念のために知り合いのもとで検査をしてもらうことになったわ」
「「「「「そうですか……」」」」」
「それでね、これから私と、先生もご一緒に同行されることになったの。だから申し訳ないけれど、前祝いはここでお開きとさせていただくわ」

 あのようなことがあったのですから、その判断は当然のことでした。

「リュクレース様。ではまた3日後に」
「はい。フィリベール様、また3日後に」

 今日ばかりはお互い笑顔なしでお別れをして、その場を去ります。
 そうしてわたしは、ソフィー様を案じながら帰路につき――

「…………そういうこと、だったのですね……」

 ――その翌日のことでした。
 二通目となる『新たな不審な手紙』が届き、わたしたち・・は全てを理解することになるのでした。


 
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