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「…………ぅ……。あれ……?」
目を覚ますとふかふかのベッドにいて、見慣れない天井があった。
ここ、ウチじゃないよね? どうして、こんなところに――っっ!
「そうだっ、思い出したっ。姉さんや王太子に、はめられたんだ」
マリナ姉さんが犯した数々の罪を背負わされ、あたしが連行されそうになった。だから逃げようとしていたんだけど、食事に睡眠薬が入っていて倒れてしまった。
そんなところを、仮面の人に助けてもらって……。ここでこの人が、介抱してくれていたみたい。
「……あたしはあの人のおかげで、助かったんだ……。素敵な人、だったなぁ」
ホッとしていると、そんな言葉が独りでに出てきた。
抱えてくれる手とかけてくれる言葉は、とっても優しかった。無条件で安心できちゃうものだった。
だからその時を思い出すと胸がトクンとして、もしかしなくても、アレ。恋をしちゃったみたい。
「だっ、だってピンチを助けてもらって、しかもあんな風にしてくれたんだもん……っ。そうならない方がおかしいってば!」
あたしは決して、惚れやすいタイプじゃない。擬態キング(決してクイーンではない)姉さんのおかげで、むしろ最初は警戒してしまう女。
でも、あの人は違うの。あの人からはなぜかとっても思い遣りを感じられたから、こうなってるだけなの。
「要するにこれは特別で、こうなるのは当然。なので問題なし、なんだけど……。なんで、あんな風に接してくれるんだろ?」
繰り返すと擬態キング姉さんのせいで用心深くなっていて、ちょっとでもそういう間柄になっている異性はいない。全然思い当たる節はないんだけど、あるからなってるんだよね。
「危険を顧みず助けてくれた、仮面の方。一体誰なんだろ……?」
ベッドの上で暫く唸り、可能性を考えていた時だった。部屋の扉がコンコンとノックされて、「入るよ」のあとガチャリと開いた。
(ぁっ。この声は、仮面の人の声っ!)
少し高めで柔らかさのある、品に満ちた声。ソレは間違いなくおぼろげな意識の中で耳にしたもので、あたしは脊髄反射で斜め右方向――声がした方向に顔を向けた。
(あの時よりも声が通ってるから、仮面はもう外してる。どんな方なんだろ……?)
生まれて初めて、恋をしちゃった人。あたしはドキドキしながら視線を動かし――
「ゲっ……」
――淑女らしからぬ声を出してしまう。
肩くらいまで伸ばした、艶のあるサラサラの金髪。芸術品のような美しい顔の中にある、ブルーの瞳。誰かが作ったんじゃないかと思ってしまうくらい、一切の無駄がない肢体。
そんな数多の長所を持つ男性は、公爵家の嫡男ユリオス・ガーソル先輩。今年の春から通い始めた高等学舎で2学年上のクラスにいる、学校で一番苦手な人だったのだ。
目を覚ますとふかふかのベッドにいて、見慣れない天井があった。
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そんなところを、仮面の人に助けてもらって……。ここでこの人が、介抱してくれていたみたい。
「……あたしはあの人のおかげで、助かったんだ……。素敵な人、だったなぁ」
ホッとしていると、そんな言葉が独りでに出てきた。
抱えてくれる手とかけてくれる言葉は、とっても優しかった。無条件で安心できちゃうものだった。
だからその時を思い出すと胸がトクンとして、もしかしなくても、アレ。恋をしちゃったみたい。
「だっ、だってピンチを助けてもらって、しかもあんな風にしてくれたんだもん……っ。そうならない方がおかしいってば!」
あたしは決して、惚れやすいタイプじゃない。擬態キング(決してクイーンではない)姉さんのおかげで、むしろ最初は警戒してしまう女。
でも、あの人は違うの。あの人からはなぜかとっても思い遣りを感じられたから、こうなってるだけなの。
「要するにこれは特別で、こうなるのは当然。なので問題なし、なんだけど……。なんで、あんな風に接してくれるんだろ?」
繰り返すと擬態キング姉さんのせいで用心深くなっていて、ちょっとでもそういう間柄になっている異性はいない。全然思い当たる節はないんだけど、あるからなってるんだよね。
「危険を顧みず助けてくれた、仮面の方。一体誰なんだろ……?」
ベッドの上で暫く唸り、可能性を考えていた時だった。部屋の扉がコンコンとノックされて、「入るよ」のあとガチャリと開いた。
(ぁっ。この声は、仮面の人の声っ!)
少し高めで柔らかさのある、品に満ちた声。ソレは間違いなくおぼろげな意識の中で耳にしたもので、あたしは脊髄反射で斜め右方向――声がした方向に顔を向けた。
(あの時よりも声が通ってるから、仮面はもう外してる。どんな方なんだろ……?)
生まれて初めて、恋をしちゃった人。あたしはドキドキしながら視線を動かし――
「ゲっ……」
――淑女らしからぬ声を出してしまう。
肩くらいまで伸ばした、艶のあるサラサラの金髪。芸術品のような美しい顔の中にある、ブルーの瞳。誰かが作ったんじゃないかと思ってしまうくらい、一切の無駄がない肢体。
そんな数多の長所を持つ男性は、公爵家の嫡男ユリオス・ガーソル先輩。今年の春から通い始めた高等学舎で2学年上のクラスにいる、学校で一番苦手な人だったのだ。
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