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第3話 魔王城 アリアル視点(2)
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「ここが食堂だ」
「……広い、ですね。かつて過ごしていたお屋敷の、3倍はあります」
「かつてはこの半分以下だったんだがな、ケヴィンのヤツがビリヤードで負けた際に『食堂はウチの方が広いから僕の勝ち!』などとほざいたんだ。負けず嫌いの阿呆の言葉に反応するのは癪だったが、徹底的に叩きのめすべく倍にしてやったのだ」
「ここが浴場になる」
「び、ビックリするくらい豪華ですね……。……もしかして……」
「ふふ、そのまさかだ。ケヴィンのヤツがトランプで負けた際に『浴場はウチが勝ってる!』と言い出してな、次に来た時に驚かせてやったんだ」
「書庫の隣にあるこの部屋が、プレイルームだ。ビリヤード、トランプ、ボードゲームなどができるぞ」
「ケヴィンさんの煽りは、ここで生まれたんですね?」
「アイツは基本真面目なくせに、子どもっぽいところがある男なんだよ。だが一度も、不快に感じたことはなかった。不思議なヤツだった」
「さて、いよいよ本命の登場だ。ここが今日からアリアルの部屋だ」
「わたしが過ごしていた部屋の3倍はあります……。本当によろしいのですか?」
「好きな者には親切にしたくなる、と言っただろう? これも俺の我が儘だ。気にせず使って欲しい」
「は、はい。お言葉に甘えさせてもらいます」
初代勇者との思い出話をいくつも聞いたり、貴族を経験している私でもビックリするくらい豪華なお部屋をもらったり。魔王城の案内は驚くことがたくさんあって――でも、この時のわたしはまだ知りませんでした。
これらが比にならないくらいの驚きが、まだ待っていることを。
「これで、城内の案内は終わりだ。ここからは城の中にはない、とある場所に案内する。きっと驚くだろうな」
そんな前置きがあったら、驚かないような――。と考えながら赤色のカーペットが敷かれた廊下を進み、ここは2階なので階段を使って1階に降り、魔王城の中心にある『魔王の間』に入った。
「ここはさっき見せた場所だが、まだ紹介していないところがあるんだ。それが、これだ」
「ぁ! 階段……!」
魔王が座る、漆黒の玉座。彼が指を鳴らすとその後ろに、地下へと続く階段が現れました。
「アリアルよ」
「? はい?」
「かつて魔王城を目指した時、どのくらい魔物と遭遇したか覚えているか?」
「は、はい。360回前後、だったと記憶しています」
およそ1年の旅で、このくらい。平均1日1遭遇だった。
「魔物――我が眷族は現在、およそ1000万体存在する」
「1000万!?」
「こんなにも数が居るのに、なぜその程度しか接触がなかったのか? その答えが、この先にある」
にやり、と――。イタズラっぽく口を吊り上げる魔王ロイドに続いて階段を降り、その先にあった大きく分厚い漆黒の扉を潜る。
そうすると、その先には――
「「「「「あっ、魔王様だ!」」」」」
「「「「「わ~! 魔王様!!」」」」」」
「「「「「陛下! お久しぶりでございます!!」」」」」
ガイコツやゾンビなどなど。沢山の魔物が暮らす、大きな街が広がっていたのでした。
「……広い、ですね。かつて過ごしていたお屋敷の、3倍はあります」
「かつてはこの半分以下だったんだがな、ケヴィンのヤツがビリヤードで負けた際に『食堂はウチの方が広いから僕の勝ち!』などとほざいたんだ。負けず嫌いの阿呆の言葉に反応するのは癪だったが、徹底的に叩きのめすべく倍にしてやったのだ」
「ここが浴場になる」
「び、ビックリするくらい豪華ですね……。……もしかして……」
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「書庫の隣にあるこの部屋が、プレイルームだ。ビリヤード、トランプ、ボードゲームなどができるぞ」
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「さて、いよいよ本命の登場だ。ここが今日からアリアルの部屋だ」
「わたしが過ごしていた部屋の3倍はあります……。本当によろしいのですか?」
「好きな者には親切にしたくなる、と言っただろう? これも俺の我が儘だ。気にせず使って欲しい」
「は、はい。お言葉に甘えさせてもらいます」
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これらが比にならないくらいの驚きが、まだ待っていることを。
「これで、城内の案内は終わりだ。ここからは城の中にはない、とある場所に案内する。きっと驚くだろうな」
そんな前置きがあったら、驚かないような――。と考えながら赤色のカーペットが敷かれた廊下を進み、ここは2階なので階段を使って1階に降り、魔王城の中心にある『魔王の間』に入った。
「ここはさっき見せた場所だが、まだ紹介していないところがあるんだ。それが、これだ」
「ぁ! 階段……!」
魔王が座る、漆黒の玉座。彼が指を鳴らすとその後ろに、地下へと続く階段が現れました。
「アリアルよ」
「? はい?」
「かつて魔王城を目指した時、どのくらい魔物と遭遇したか覚えているか?」
「は、はい。360回前後、だったと記憶しています」
およそ1年の旅で、このくらい。平均1日1遭遇だった。
「魔物――我が眷族は現在、およそ1000万体存在する」
「1000万!?」
「こんなにも数が居るのに、なぜその程度しか接触がなかったのか? その答えが、この先にある」
にやり、と――。イタズラっぽく口を吊り上げる魔王ロイドに続いて階段を降り、その先にあった大きく分厚い漆黒の扉を潜る。
そうすると、その先には――
「「「「「あっ、魔王様だ!」」」」」
「「「「「わ~! 魔王様!!」」」」」」
「「「「「陛下! お久しぶりでございます!!」」」」」
ガイコツやゾンビなどなど。沢山の魔物が暮らす、大きな街が広がっていたのでした。
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