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滝井ゆう編
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とある日の放課後。校舎の屋上で、一人の少女――滝井ゆうと一人の少年が向かい合っていた。
「……わざわざ、きてくれて、ありがとう……。大事なお話を、します……」
いつも俯きがちな、ボソボソと喋る内気な少女。滝井は肩を窄めながら、口を動かす。
「……私があなたと出会ったのは、三年前……。入学式の日……」
「…………」
「……学校で迷子になっていた私を、助けてくれた……。誰かに場所を聞きたいけど聞けないでいた私を、行きたい場所に連れて行ってくれた……」
「…………」
「あなたは全然喋らなくって、突然、黙って手を引っ張ってくれた、よね……? 私は話すのが苦手だから、すごく助かり、ました……」
「…………」
「……あの時の、手……。ぶっきらぼうだったけど、温かさを感じた……。あなたはとても優しい人だって、分かりました……」
「…………」
「そのあとも、困っていたら何回も助けてくれて……。毎回あなたは何も言わないのに、優しいのはおんなじで……」
「…………」
「……そんなあったかさが、心地よくって……。私は、ずっと、感じたく、なりました……」
引き続きボソボソで、俯いて喋っていた滝井。しかし彼女は勇気を振り絞って顔を上げ、相手の瞳をしっかりと見つめた。
「……私は、あなたが、好き、です……。大、好きです……」
「……わざわざ、きてくれて、ありがとう……。大事なお話を、します……」
いつも俯きがちな、ボソボソと喋る内気な少女。滝井は肩を窄めながら、口を動かす。
「……私があなたと出会ったのは、三年前……。入学式の日……」
「…………」
「……学校で迷子になっていた私を、助けてくれた……。誰かに場所を聞きたいけど聞けないでいた私を、行きたい場所に連れて行ってくれた……」
「…………」
「あなたは全然喋らなくって、突然、黙って手を引っ張ってくれた、よね……? 私は話すのが苦手だから、すごく助かり、ました……」
「…………」
「……あの時の、手……。ぶっきらぼうだったけど、温かさを感じた……。あなたはとても優しい人だって、分かりました……」
「…………」
「そのあとも、困っていたら何回も助けてくれて……。毎回あなたは何も言わないのに、優しいのはおんなじで……」
「…………」
「……そんなあったかさが、心地よくって……。私は、ずっと、感じたく、なりました……」
引き続きボソボソで、俯いて喋っていた滝井。しかし彼女は勇気を振り絞って顔を上げ、相手の瞳をしっかりと見つめた。
「……私は、あなたが、好き、です……。大、好きです……」
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