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丸木のぞみ編
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とある日の放課後。校舎の屋上で、一人の少女――丸木のぞみと一人の少年が向かい合っていた。
「お忙しいところをありがとうございます。これから大事なお話をしますね」
眼鏡をかけた、知的で落ち着いた少女。いつもクールな丸木は、今日も淡々と言葉を発していく。
「私が貴方と出会ったのは、三年前。入学式の日ですね」
「…………」
「私はご覧の通り合理主義で、この性格は時折対立を起こします。こういう調子の人間にそういう内容を話されると、感情的になる方が一定数いらっしゃるんですよね」
「…………」
「特に学生は、こういう系統が苦手、もしくは嫌いなのでしょう。その日もクラスメイトの男子が、私の意見に対しそのような反応をしてきました」
「…………」
「ここまではいつも通りだったのですが、そこからは違っていた。彼は熱が入るあまり、私に手を出そうとしてきたんです」
「…………」
「私はこのような経験がなく、一瞬思考が停止しました。何をすればいいか分からなくなり、周りに居た人達も驚いて動けず、このまま殴られてしまうと覚悟しました」
「…………」
「ですが、それは起きませんでした。なぜなら偶然通りかかった貴方が、彼の拳を止めてくださったからです」
「…………」
「恐怖からの安堵。貴方の行動によって私の中にそんな感情が発生し、それはやがて…………形を変えました。これまで私の中に存在していなかった感情が、芽生えたのです」
丸木は相変わらず淡々と告げ、クールに微笑む。
「その感情の名は、愛。私は貴方を、愛しています」
「お忙しいところをありがとうございます。これから大事なお話をしますね」
眼鏡をかけた、知的で落ち着いた少女。いつもクールな丸木は、今日も淡々と言葉を発していく。
「私が貴方と出会ったのは、三年前。入学式の日ですね」
「…………」
「私はご覧の通り合理主義で、この性格は時折対立を起こします。こういう調子の人間にそういう内容を話されると、感情的になる方が一定数いらっしゃるんですよね」
「…………」
「特に学生は、こういう系統が苦手、もしくは嫌いなのでしょう。その日もクラスメイトの男子が、私の意見に対しそのような反応をしてきました」
「…………」
「ここまではいつも通りだったのですが、そこからは違っていた。彼は熱が入るあまり、私に手を出そうとしてきたんです」
「…………」
「私はこのような経験がなく、一瞬思考が停止しました。何をすればいいか分からなくなり、周りに居た人達も驚いて動けず、このまま殴られてしまうと覚悟しました」
「…………」
「ですが、それは起きませんでした。なぜなら偶然通りかかった貴方が、彼の拳を止めてくださったからです」
「…………」
「恐怖からの安堵。貴方の行動によって私の中にそんな感情が発生し、それはやがて…………形を変えました。これまで私の中に存在していなかった感情が、芽生えたのです」
丸木は相変わらず淡々と告げ、クールに微笑む。
「その感情の名は、愛。私は貴方を、愛しています」
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