8 / 28
第5話 異常 俯瞰視点
しおりを挟む
「ひいいい!? い、ぁああああ……」
「うわああああああああ!? ぁ、ぁぁ……」
シャンタルが何百万もかけて理想の内装にした、『愛の素』こと当主夫妻の寝室。その中にあるキングサイズのベッドの上では、ピエールとシャンタルが仲良く失禁していました。
つい十数分前までは『楽しい明日の予定』を再確認してニコニコしていた2人が、顔面を涙まみれにして股間を濡らしてしまっている理由。それはもちろん、侵入者たちが自分たちのもとまで来てしまったからです。
「目的はなに!? 誰の指金!?」
「我々の命が目的か!? 金か!? 金なんだな!?」
「お金なら好きなだけあげるわ!! 命が狙いならっ、ねえ!! わたくし達の側につかない!? ついてくれたら欲しいものはなんだってあげるわ!! なんなら商会内で良いポジションをあげるわ!!」
「それがいい!! そうしよう!! 雇い主ではやれないものを我々ならやれるのだよ! そうするべきだ!! その方が人生を楽しめる!!」
死ぬのは嫌――。死にたくない――。
他者にするのはよくても、自分達がされるのは怖い辛い。そんなシャンタルとピエールは声を震わせながらも死に物狂いで口を動かし、胸の前で手を組みました。
「その選択っ、後悔させないわ!! させるものですかっ!! ぜひっ、わたくし達を手を組みましょう!? そうしましょう!?」
「たった一度しかない人生っ、一番よい選択をするべきだと思う!! しよう!! しようっ!! そうしよう!!」
「…………はあ、よく喋るヤツらだ。しかも見てみろよ、この面(つら)」
「ああ、典型的な下衆の面だな。ボスがああいうのも納得だ」
「おたくのとこは、確かアレだったよな? ウチは別の理由だが、いずれ同じ目に遭ってたかもしれないな」
侵入者計11人のリーダー格3人は肩を竦め、同じく揃って呆れのため息をつきました。
「シャンタル、ピエール、勝手に話を進めるな。オレらは誰一人として、そっちには着かない」
「これからお前らを、とある場所へと運ぶ。だがその前に、お前達は会わなければならない御人がいる」
「お、おひと……!?」
「だ、誰のことだ……!? このっ、我々への襲撃を指令を出した者のことか……!?」
「半分当たりで、半分ハズレだ。その方は――ちょうどいらっしゃったようだな」
「口で説明するより見た方が早い。……こちらの方が、そうだ」
コンコンとノックが行われ、それに応じて1人が扉を開ける。そうすると――
「「マリオン!? リシャール!?」」
――愛しい長女を後ろ手に拘束した長男が、侵入者たちに会釈をしながら入って来たのでした。
「うわああああああああ!? ぁ、ぁぁ……」
シャンタルが何百万もかけて理想の内装にした、『愛の素』こと当主夫妻の寝室。その中にあるキングサイズのベッドの上では、ピエールとシャンタルが仲良く失禁していました。
つい十数分前までは『楽しい明日の予定』を再確認してニコニコしていた2人が、顔面を涙まみれにして股間を濡らしてしまっている理由。それはもちろん、侵入者たちが自分たちのもとまで来てしまったからです。
「目的はなに!? 誰の指金!?」
「我々の命が目的か!? 金か!? 金なんだな!?」
「お金なら好きなだけあげるわ!! 命が狙いならっ、ねえ!! わたくし達の側につかない!? ついてくれたら欲しいものはなんだってあげるわ!! なんなら商会内で良いポジションをあげるわ!!」
「それがいい!! そうしよう!! 雇い主ではやれないものを我々ならやれるのだよ! そうするべきだ!! その方が人生を楽しめる!!」
死ぬのは嫌――。死にたくない――。
他者にするのはよくても、自分達がされるのは怖い辛い。そんなシャンタルとピエールは声を震わせながらも死に物狂いで口を動かし、胸の前で手を組みました。
「その選択っ、後悔させないわ!! させるものですかっ!! ぜひっ、わたくし達を手を組みましょう!? そうしましょう!?」
「たった一度しかない人生っ、一番よい選択をするべきだと思う!! しよう!! しようっ!! そうしよう!!」
「…………はあ、よく喋るヤツらだ。しかも見てみろよ、この面(つら)」
「ああ、典型的な下衆の面だな。ボスがああいうのも納得だ」
「おたくのとこは、確かアレだったよな? ウチは別の理由だが、いずれ同じ目に遭ってたかもしれないな」
侵入者計11人のリーダー格3人は肩を竦め、同じく揃って呆れのため息をつきました。
「シャンタル、ピエール、勝手に話を進めるな。オレらは誰一人として、そっちには着かない」
「これからお前らを、とある場所へと運ぶ。だがその前に、お前達は会わなければならない御人がいる」
「お、おひと……!?」
「だ、誰のことだ……!? このっ、我々への襲撃を指令を出した者のことか……!?」
「半分当たりで、半分ハズレだ。その方は――ちょうどいらっしゃったようだな」
「口で説明するより見た方が早い。……こちらの方が、そうだ」
コンコンとノックが行われ、それに応じて1人が扉を開ける。そうすると――
「「マリオン!? リシャール!?」」
――愛しい長女を後ろ手に拘束した長男が、侵入者たちに会釈をしながら入って来たのでした。
43
あなたにおすすめの小説
犬猿の仲だと思っていたのに、なぜか幼なじみの公爵令息が世話を焼いてくる
風見ゆうみ
恋愛
元伯爵令嬢だった私、ビアラ・ミゼライトにはホーリル・フェルナンディという子爵令息の婚約者がいる。とある事情で両親を亡くした私は、フェルナンディ子爵家から支援を受けて、貴族が多く通う学園ではあるけれど、成績次第では平民でも通える学園に通っていた。
ある日、ホーリルから呼び出された私は、彼から婚約を破棄し学費や寮費援助を打ち切ると告げられてしまう。
しかも、彼の新しいお相手は私の腐れ縁の相手、ディラン・ミーグス公爵令息の婚約者だった。
その場に居たミーグスと私は婚約破棄を了承する。でも、馬鹿な元婚約者たちが相手では、それだけで終わるはずもなかった――
※完結保証です。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。魔法も存在します。
※誤字脱字など見直して気をつけているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです
【完結】さっさと婚約破棄が皆のお望みです
井名可乃子
恋愛
年頃のセレーナに降って湧いた縁談を周囲は歓迎しなかった。引く手あまたの伯爵がなぜ見ず知らずの子爵令嬢に求婚の手紙を書いたのか。幼い頃から番犬のように傍を離れない年上の幼馴染アンドリューがこの結婚を認めるはずもなかった。
「婚約破棄されてこい」
セレーナは未来の夫を試す為に自らフラれにいくという、アンドリューの世にも馬鹿げた作戦を遂行することとなる。子爵家の一人娘なんだからと屁理屈を並べながら伯爵に敵意丸出しの幼馴染に、呆れながらも内心ほっとしたのがセレーナの本音だった。
伯爵家との婚約発表の日を迎えても二人の関係は変わらないはずだった。アンドリューに寄り添う知らない女性を見るまでは……。
犠牲になるのは、妹である私
木山楽斗
恋愛
男爵家の令嬢であるソフィーナは、父親から冷遇されていた。彼女は溺愛されている双子の姉の陰とみなされており、個人として認められていなかったのだ。
ソフィーナはある時、姉に代わって悪名高きボルガン公爵の元に嫁ぐことになった。
好色家として有名な彼は、離婚を繰り返しており隠し子もいる。そんな彼の元に嫁げば幸せなどないとわかっていつつも、彼女は家のために犠牲になると決めたのだった。
婚約者となってボルガン公爵家の屋敷に赴いたソフィーナだったが、彼女はそこでとある騒ぎに巻き込まれることになった。
ボルガン公爵の子供達は、彼の横暴な振る舞いに耐えかねて、公爵家の改革に取り掛かっていたのである。
結果として、ボルガン公爵はその力を失った。ソフィーナは彼に弄ばれることなく、彼の子供達と良好な関係を築くことに成功したのである。
さらにソフィーナの実家でも、同じように改革が起こっていた。彼女を冷遇する父親が、その力を失っていたのである。
好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
王子様の花嫁選抜
ひづき
恋愛
王妃の意向で花嫁の選抜会を開くことになった。
花嫁候補の一人に選ばれた他国の王女フェリシアは、王太子を見て一年前の邂逅を思い出す。
花嫁に選ばれたくないな、と、フェリシアは思った。
アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる