大切な人のためにできること

柚木ゆず

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第6話 種明かし リシャール視点

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「なっ、なにをやっているの!? リシャール!!」
「離さんか!! おまえっ! 自分が何をやっているのか分かっているのか!?」
「もちろん、分かっていますよ」

 マリオンを後ろ手に縛って、連れて来た。
 分からないはずがない。

「分かっているですって!? なにもかも貴方の仕業だったのね!?」
「なにを考えているんだ!? リシャール!! お前は何を企んでいる!? まさかっ、この家をっ、ロルマンド商会を乗っ取るつもりか!?」
「まさか、そんなつもりはありませんよ」

 結果的にそうなるものの、こちらにそんな目的はない。

「ないですって!? ならっ、なにが目的なのよ!?」
「言え!! 言えっ!! なぜ親を裏切るような真似をする!?」
「……その原因は、貴方がたにある。俺はアリスを救うために、動いているのですよ」

 そう告げた瞬間、母と父は固まった。

「あり、す……? まさか、貴方……」
「知って、いるのか……? 我々の計画を……? 真実を……?」
「ええ、そうですよ。忌々しい企みも出生の秘密も、すべて把握済みですよ」

 複数の違和感が切っ掛けとなって、アリスに関して秘密裏に調べ始めたこと。
 その中で母が出産に備えて実家に戻ってからこの屋敷に戻ってくるまでの間に、不思議な点がいくつも見つかったこと。
 それによって母の実家を集中的に調べるようになり、使用人の事故死という情報を手に入れたこと。
 事故死した使用人を調べてみるとなぜか墓が作られておらず、ロクな葬儀もあげられていないと判明したこと。
 異常な点が多数見つかり使用人の実家を訪ねてみた結果、使用人の家族によってアリスと事故死の真実を知得したこと。
 その後母シャンタルと父ピエールの周辺を探ってみたら、おぞましい計画の存在が見つかったこと。
 1年半の調査によって手に入れたものを、初めて2人に伝えた。

「……………………」
「……………………」
「まさか、異母妹が霞むほどの真実が隠されているとは思いませんでしたよ。……あんな企みを知って、じっとして居られるわけがなかった」

 でも当時の俺は、まだ16歳の子ども。『幼い頃からそれなりに頭が働くおかげ』がせいぜい3割、『アリスに強い恩を感じている使用人3人アナたちの協力』が7割、これらによって調査ができたものの、ここから先は『敵を倒す』が必要になってしまう。

 子爵家と商会を率いる当主夫妻。

 その壁はあまりにも高く、しかしながらどうにかして乗り越えないといけない。
 そこで決意した日、12月24日から寝る間も惜しんでアイディアを練り始めて――





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