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第7話 土曜日 真鈴視点(2)
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「そういえば市川さんは、来栖市(くるすし)は初めてなんですよね?」
「そうだよ。写真ではちょこっと見たことがあって、実際に行くのは初めてだね」
小学4年生の頃に県外から今の家に引っ越してきて、登校とか必要な時以外は家から出なかった。隣接していても言ったことがないところだらけで、なんなら市内にも通ったことのない道が大量にあるのです。
「せっかくですし、色々と紹介しながら向かいますね。まず駅の前にあるのが、『鳩噴水(はとふんすい)』です」
「これ、有名なやつだよね? ネットで見て気になってたんだ」
噴水の周りに鳩のオブジェが12羽あって、確か12時と18時に鳩の鳴き声が出るようになっている。SNSとかの動画でしか見たことがなくって、まさか自分の目で見る時が来るとは思わなかった。
「ちょっとした観光スポットになってますね。現在鳩の声が出るスピーカーが故障中で、来月には復活するそうです」
「あらら、残念。また来てよってことかな?」
「そうかもしれませんね。生で聞くと、格別な雰囲気がある――と言っていますが、僕もこの場で聞いたことがないんですけどね」
「そうなんだ。水前寺くんって、この市の生まれ?」
「はい、この市で生まれ育ちました。12時と18時にこの近くを通る機会がなくて、まだ一度も聞けていないんですよ」
「あるあるだよね。ウチの父が来栖市内の大学に4年間通ってて、在学中一回も聞いたことがないって言ってたもん」
そんな話をしながら駅から見て北方向に進んでいって、5分ぐらい歩いたら現れた交差点を右に曲がる。
「あそこにあるケーキ店は、モンブランがとても有名なんです。隣の市はもちろん県外からも、モンブランを求めてお客さんが来るそうですよ」
「あっ、そのお店も知ってるよ。父が買ってきてくれたことがあって、滅茶苦茶美味しかった」
私は甘いものが大好きで、時間がある時はお仕事帰りに買ってきてくれる。ココ『アンティーク』のモンブランは糸のようなきめ細かいマロンクリームが特徴で、口に入れるとふわっと溶けるんだよね。
「本当に美味しいですよね。あちらにあるレストランは、オムライスが絶品な隠れた名店なんですよ」
「あのお店は知らないや。へぇ~、母に教えてあげないと」
そこのお店は上手く隠れていたせいか、オムライス大好き人間のお母さんも知らない。今度のお休みに友達と行ってきたら? って言ってみよう。
「是非、教えてあげてください。他にも、この辺りには美味しいお店があって――」
大福のお店やクレープのお店、ハンバーガーショップやお蕎麦屋さんなどなど。メジャーなお店だけじゃなくって来栖市民のみが知るマイナーなお店もたくさん教えてもらって、
「着きました。こちらです」
目的地の公園に着く頃には、おかげでかなり詳しくなりました。
「食べ物の話題は一旦忘れて、集中しないとだ。……どんな幽霊がいるのかな?」
「そうだよ。写真ではちょこっと見たことがあって、実際に行くのは初めてだね」
小学4年生の頃に県外から今の家に引っ越してきて、登校とか必要な時以外は家から出なかった。隣接していても言ったことがないところだらけで、なんなら市内にも通ったことのない道が大量にあるのです。
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「これ、有名なやつだよね? ネットで見て気になってたんだ」
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「ちょっとした観光スポットになってますね。現在鳩の声が出るスピーカーが故障中で、来月には復活するそうです」
「あらら、残念。また来てよってことかな?」
「そうかもしれませんね。生で聞くと、格別な雰囲気がある――と言っていますが、僕もこの場で聞いたことがないんですけどね」
「そうなんだ。水前寺くんって、この市の生まれ?」
「はい、この市で生まれ育ちました。12時と18時にこの近くを通る機会がなくて、まだ一度も聞けていないんですよ」
「あるあるだよね。ウチの父が来栖市内の大学に4年間通ってて、在学中一回も聞いたことがないって言ってたもん」
そんな話をしながら駅から見て北方向に進んでいって、5分ぐらい歩いたら現れた交差点を右に曲がる。
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「あっ、そのお店も知ってるよ。父が買ってきてくれたことがあって、滅茶苦茶美味しかった」
私は甘いものが大好きで、時間がある時はお仕事帰りに買ってきてくれる。ココ『アンティーク』のモンブランは糸のようなきめ細かいマロンクリームが特徴で、口に入れるとふわっと溶けるんだよね。
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