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第21話 エメリック視点(1)
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「………………あ、れ……? ぼく、は…………。僕は、なにを、して――なっ!? なんなんだこれは!? どうなっているっ!?」
気が付いたら、王宮の外――馬車の傍で仰向けになっていて、後ろ手に縛られていた。
なっ、なぜ拘束されてる!? なぜ地面に転がっている!? なぜ左頬がこんなにも腫れているんだ!?
「クーデターが起きて、全員拘束されてしまった。貴方はアルフレッド・ロザスの怒りを買って、思い切り殴られて失神。その間に運び出されて、これから連行されるところ。これらが、そうなっている理由ですわ」
「サーフィナ……! そうか……。そうだった……っ。アイツらに、邪魔をされたんだった……!!」
視界外にいた愛する人のおかげで、思い出した。
最大のサプライズの寸前に、騒ぎになって……。父さんと母さんも捕まり、あのクソ男にやられてしまったんだ……っ。
「くそ、くそ……っ。何もかもが台無しだ……っっ。あいつらのせいで――」
「違いますわよ。何もかも、貴方のせいですわ」
…………。え……? え…………?
サーフィナは今迄見た事もない、冷たく軽蔑した目になった。
「僕の……。せい……?」
「大公から、全部聞きましたわ。先の婚約の真実も、昨夜の暗殺計画の全容も」
リルが心変わりして乗り換えたのではなく、僕が強制的に婚約させたこと。サーフィナとリルの比較が許せなくなって、殺害を計画したこと。
隠していたものを、淡々と告げられた。
「貴方が殺害なんて企まなければ、ここまで酷い有様にはなっていなかった。貴方が世間に大ウソを吐いていなかったら――予想以上の愚か者だと知っていたら、誘惑なんてしなかったのに……っ。貴方の婚約者なんかにはならなかったのに……っ。わたくしの人生が滅茶苦茶になったのは、貴方のせいですわ……!!」
「なっ……っ。さ、サーフィナ……。ま、まさか……。まさか、君は……」
「ええそうですわ! わたくしの目的は貴方ではなく、王太子妃! 言いなりにして操るために言い寄っていただけですわ!!」
そ、んな……。
そんな…………。
『エメリック様、愛していますわ』
『エメリック様と婚約できて、幸せ。わたくし、世界一の幸せ者ですわ』
これまでのことは、全て心にもない言葉。
ウソ……。だった……。
気が付いたら、王宮の外――馬車の傍で仰向けになっていて、後ろ手に縛られていた。
なっ、なぜ拘束されてる!? なぜ地面に転がっている!? なぜ左頬がこんなにも腫れているんだ!?
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「サーフィナ……! そうか……。そうだった……っ。アイツらに、邪魔をされたんだった……!!」
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最大のサプライズの寸前に、騒ぎになって……。父さんと母さんも捕まり、あのクソ男にやられてしまったんだ……っ。
「くそ、くそ……っ。何もかもが台無しだ……っっ。あいつらのせいで――」
「違いますわよ。何もかも、貴方のせいですわ」
…………。え……? え…………?
サーフィナは今迄見た事もない、冷たく軽蔑した目になった。
「僕の……。せい……?」
「大公から、全部聞きましたわ。先の婚約の真実も、昨夜の暗殺計画の全容も」
リルが心変わりして乗り換えたのではなく、僕が強制的に婚約させたこと。サーフィナとリルの比較が許せなくなって、殺害を計画したこと。
隠していたものを、淡々と告げられた。
「貴方が殺害なんて企まなければ、ここまで酷い有様にはなっていなかった。貴方が世間に大ウソを吐いていなかったら――予想以上の愚か者だと知っていたら、誘惑なんてしなかったのに……っ。貴方の婚約者なんかにはならなかったのに……っ。わたくしの人生が滅茶苦茶になったのは、貴方のせいですわ……!!」
「なっ……っ。さ、サーフィナ……。ま、まさか……。まさか、君は……」
「ええそうですわ! わたくしの目的は貴方ではなく、王太子妃! 言いなりにして操るために言い寄っていただけですわ!!」
そ、んな……。
そんな…………。
『エメリック様、愛していますわ』
『エメリック様と婚約できて、幸せ。わたくし、世界一の幸せ者ですわ』
これまでのことは、全て心にもない言葉。
ウソ……。だった……。
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