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第22話 戦いを終えて蘇る、あの日の記憶 アルフレッド視点
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『アルフレッド、ありがとう。あたしのためにずっとずっと、頑張ってくれてありがとうございました……っ』
『あたしね、今も昔も幸せだよ。アルフレッドと出会えて、アルフレッドに好きになってもらえて、アルフレッドを好きになれて。すごく幸せ……!』
エメリックをぶっ飛ばした直後も、様々な処理をしていて馬車に乗り込む時も、父さんやおじさんの計らいで2人でサートル家に帰っている間も。リルは俺の頬に氷をあてながら微笑んでくれて、その影響なんだと思う。
あの日の泣き顔も鳴き声も、浮かんでこなくなった。
その代わりに浮かんでくるのは、笑い顔と明るい声ばかり。
『アルフレッド……っ。あたしもずっと会いたくって、すっごく幸せ……っ』
10ヵ月ぶりに再会した日の、笑顔と声。
『ぁ、ありがと。アルフレッドもその服、似合ってるよ』
10ヵ月ぶりに買い物デートをした日の、照れた顔と声。
『アルフレッドの手料理だし、10ヵ月ぶりだし、隣にいてくれるのはアルフレッド。そしたら、こうなっちゃうよね』
10ヵ月ぶりにランチをした日の、満面の笑みと声。
すっかり、記憶が上書きされた。
再会した瞬間から俺にとっても本当に楽しい日々が再開していたんだけど、しっかり片が付いてないから――。何かと、考えることや蘇ることがあった。
でもそれはもう、なくなった。
…………だから今夜くらいは、ちょっとくらい自分に甘くなってもいいよな?
お疲れ様、俺。
へなちょこなりに、よく頑張ったな。
暗躍の日々を振り返って安堵の息を吐き、そうしていたら――。左隣に座っていたリルが、俺の左手の指に自分の右手の指を絡めてきた。
「へなちょこじゃないよ、アルフレッドは。アルフレッドは、すっごくカッコよくって優しいあたしのヒーロー。ずっとずーっと、自分に甘くしてもいいんだよ?」
「リル……。ありゃりゃ。俺の内心、ぜーんぶ読まれちゃってたか」
「幼馴染で恋人ですからっ。頬っぺたに触れてましたからっ。今夜はあたしにとっても特別ですからっ。アルフレッドさんの考えが、簡単に分かっちゃいましたっ」
リルはイタズラっぽく片目を瞑り、くすっとはにかむ。そうやって可愛らしい笑窪を作った彼女は、「ね」とくすぐったそうに目を細めた。
「特別な夜だから、なんだろうね。こうやってたら、あの日のことを思い出しちゃった」
「流石は幼馴染で恋人の、リルさん。俺も、おんなじだよ。その日、それとあの日のことを思い出してた」
その日――。それは、告白した日。
あの日――。それは…………。
俺が、リルへの想いを認識した日。
そうそう。そうだった。
俺達の『この関係』は、あそこから始まったんだよな――。
『あたしね、今も昔も幸せだよ。アルフレッドと出会えて、アルフレッドに好きになってもらえて、アルフレッドを好きになれて。すごく幸せ……!』
エメリックをぶっ飛ばした直後も、様々な処理をしていて馬車に乗り込む時も、父さんやおじさんの計らいで2人でサートル家に帰っている間も。リルは俺の頬に氷をあてながら微笑んでくれて、その影響なんだと思う。
あの日の泣き顔も鳴き声も、浮かんでこなくなった。
その代わりに浮かんでくるのは、笑い顔と明るい声ばかり。
『アルフレッド……っ。あたしもずっと会いたくって、すっごく幸せ……っ』
10ヵ月ぶりに再会した日の、笑顔と声。
『ぁ、ありがと。アルフレッドもその服、似合ってるよ』
10ヵ月ぶりに買い物デートをした日の、照れた顔と声。
『アルフレッドの手料理だし、10ヵ月ぶりだし、隣にいてくれるのはアルフレッド。そしたら、こうなっちゃうよね』
10ヵ月ぶりにランチをした日の、満面の笑みと声。
すっかり、記憶が上書きされた。
再会した瞬間から俺にとっても本当に楽しい日々が再開していたんだけど、しっかり片が付いてないから――。何かと、考えることや蘇ることがあった。
でもそれはもう、なくなった。
…………だから今夜くらいは、ちょっとくらい自分に甘くなってもいいよな?
お疲れ様、俺。
へなちょこなりに、よく頑張ったな。
暗躍の日々を振り返って安堵の息を吐き、そうしていたら――。左隣に座っていたリルが、俺の左手の指に自分の右手の指を絡めてきた。
「へなちょこじゃないよ、アルフレッドは。アルフレッドは、すっごくカッコよくって優しいあたしのヒーロー。ずっとずーっと、自分に甘くしてもいいんだよ?」
「リル……。ありゃりゃ。俺の内心、ぜーんぶ読まれちゃってたか」
「幼馴染で恋人ですからっ。頬っぺたに触れてましたからっ。今夜はあたしにとっても特別ですからっ。アルフレッドさんの考えが、簡単に分かっちゃいましたっ」
リルはイタズラっぽく片目を瞑り、くすっとはにかむ。そうやって可愛らしい笑窪を作った彼女は、「ね」とくすぐったそうに目を細めた。
「特別な夜だから、なんだろうね。こうやってたら、あの日のことを思い出しちゃった」
「流石は幼馴染で恋人の、リルさん。俺も、おんなじだよ。その日、それとあの日のことを思い出してた」
その日――。それは、告白した日。
あの日――。それは…………。
俺が、リルへの想いを認識した日。
そうそう。そうだった。
俺達の『この関係』は、あそこから始まったんだよな――。
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