婚約破棄ですか? ありがとうございます!

柚木ゆず

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第23話 アルフレッド(14歳)が気付いた日 アルフレッド視点(1)

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 あれ? ヘンだな。そう思うようになったのは、1週間と少し前のことだった。

『アルフレッド、こんにちはっ。あそぼっ』

 その日もいつも通り、幼馴染がウチにやって来た。
 でも。この日は、何かが違っていた。

『アルフレッドっ。お庭で一緒に、お花のネックレスを作ろっ』

 手を握って引っ張られていると『ムズムズ』してきて、ニッコリ笑顔を見ると『ドキン』としてくる。
 なんだか照れ臭くって、ちょっと距離を取りたくなってしまう。でもリルから離れたくはなくって、もっともっと一緒にいたいと思ってしまう。バイバイの時はいつも以上に寂しくなるし、次が待ち遠しくなる。


 おかしい。
 この前はなんともなかったのに。
 どうしたんだろう。
 あの時からずっと変だ。
 もしかして、風邪でも引いてる?
 熱の影響かな?


 気になって父さんに相談してみたら、

『ふふふ。ついに、だな』
『??? ついに? どういうこと?』
『その状態は風邪ではなくて、とても大切なもの・・・・・・・・だよ。そう感じ始めた時のことを思い出して、自分の心としっかり向き合ってみなさい』

 嬉しそうに両肩をパンパンと叩いてきて、俺は言われた通りにしてみることにした。自分の部屋のベッドに寝っ転がって、自分の心と向き合ってみることにした。

「そう感じ始めた、時のこと……。あんな風に、感じ始めたのは……」

『アルフレッド、こんにちはっ。あそぼっ』

 9日前。リルが、ウチに来てくれた時。

『アルフレッドっ。お庭で一緒に、お花のネックレスを作ろっ』

 ムズムズだったりドキンだったり。その時から、不思議なことが起きるようになった。

「……どうして……。こんな風に、感じるんだろ……? ……それに……」

 じっくり考えてみたら、もう一つ気になるトコがあった。
 えっと……。なんていうか……。その……。


 リルが、すごく可愛く見える。


 客観的に見ても幼馴染は整っていて、可愛くて綺麗だと思っていた。
 でも。今は、ちょっと違う。
 リルだけど、リルじゃないような……。本人だけど、別人のような……。そんな感じで、見える。

「…………あと…………」

 可愛いと綺麗だとか、リルの性格の○○な部分が好きだとか。そういうことを今迄みたいに、面と向かって言えそうにない。

『リルって、笑顔が似合うよなっ。笑うともっともっと可愛くなるっ』

 そう言ってる場面を想像してみただけで、顔がかあっとなる。気が付くとベッドの上で転げ回っていて、「ぎゃー!」「何言ってんだよ俺は!」と叫んでしまっていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……。なんなんだ、この状況は……。こんなのまるで、昔のレナモの姉レミヤさんじゃないか――………………。レミヤさん……」

 あの人はこうなっていた時、知人を好きになったと言っていた。

 好き。
 好き……っ。

「ま、まさか……。俺……」


 リルを好きになってる?


「い、いやいやそれはないってば! だってリルは幼馴染で、兄妹とか家族みたいな関係で――」

 手を引っ張られた時の、ムズムズ。
 ニッコリ笑顔を見た時の、ドキン。

 それらが鮮明に蘇ってきて、思い知らされた。認めるしか、なかった。

「……俺……。リルが、好きなんだ……」

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