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補完編その2 大公は、どうしてもお詫びをしたかった 俯瞰視点 完全版
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「なにぃっ!? アルフレッド君とリナ君が結婚を決めただと!?」
2人が4年越しのサプライズリベンジを成功させた、次の日。2人の父親から届いた手紙を読み終えるや否や、大公メドスは飛び上がるように椅子から立ち上がりました。
「いずれ結婚すると思っていたが、予想以上に早かった……。これでは、計画が間に合わんぞ……っ」
式場の用意が叶わなかった彼は、何かできる事はないか? と、その直後より思考を巡らせていました。その結果いくつかの案が浮かんでいたのですが、それはどれも数か月の時を擁してしまうものばかり。その手紙に書かれていたスケジュールでは、間に合いません。
「……わたしは己の未熟さゆえに、彼と彼女に多大な迷惑をかけてしまった……。なんとかして、2人に何かをしてあげられないだろうか……?」
それに。人間として、アルフレッドという男を尊敬している。
大公としての謝罪という意味でも、『友』としてのお祝いという意味でも。どうしても、何かをしたい。
彼はそんな考えを宿しており、腕組みをして思案を始めました。
「アルフレッド君とリル君は、2人ならではの式を挙げようとしている。したがって、場所や内容などに首を突っ込むのは不可能……」
ならば、どうする?
執務室を、ぐるぐる、ぐるぐる。広々とした部屋を時計周りに歩き回り、名案を探します。
「…………2人の邪魔にならない部分で、協力できる方法は……。準備のサポートをする人間を、何名か派遣して――否。却下だ」
アルフレッドとリルにとっては、その作業も楽しみの一つ。それは逆効果をもたらしてしまうものでした。
「したらば……………………。なにが、よい……?」
考えろ。考えるのだ。
思い出せ。思い出すのだ。
メドスよ。お前が式を挙げた時、困った事はなかったか? 不便だと感じた事はなかったか?
「わたしの時は……。わたしの時は………………………………………………っ!! そうだ……っ。そうだった……っっ」
ウェディングドレス。
そんな9文字が、彼の頭に浮かび上がりました。
「ウェディングドレスの用意は、かなりの時が必要だった……。故にそこが、数少ない支援可能なポイントとなる……!!」
わたしの力を総動員すれば、所要時間を大幅に短縮できる。
今の2人は、一日も早い結婚を望んでいるのだから………………。そうすれば喜んでもらえる!
「これだ……っ。これだ……っっ。…………ケビンっ、来てくれっ!」
メドスは大急ぎで従者を呼び寄せ、指示を出します。
嬉々とした彼の口から出た内容は、
これから2人に、介入の許可を取ってきて欲しい。
ウエディングドレスをとにかく早く用意できるよう、その手の関係者に手当たり次第声をかけて欲しい。
勿論、クオリティーは最優先。質と時間を維持できるように頼んで欲しい。
予算は、なし。どれだけ掛かっても構わない。
この4つ。
その結果、ドレスの準備は2人が予定していた何倍も早く進み――。およそ1か月半後の挙式が、実現することになるのでした。
2人が4年越しのサプライズリベンジを成功させた、次の日。2人の父親から届いた手紙を読み終えるや否や、大公メドスは飛び上がるように椅子から立ち上がりました。
「いずれ結婚すると思っていたが、予想以上に早かった……。これでは、計画が間に合わんぞ……っ」
式場の用意が叶わなかった彼は、何かできる事はないか? と、その直後より思考を巡らせていました。その結果いくつかの案が浮かんでいたのですが、それはどれも数か月の時を擁してしまうものばかり。その手紙に書かれていたスケジュールでは、間に合いません。
「……わたしは己の未熟さゆえに、彼と彼女に多大な迷惑をかけてしまった……。なんとかして、2人に何かをしてあげられないだろうか……?」
それに。人間として、アルフレッドという男を尊敬している。
大公としての謝罪という意味でも、『友』としてのお祝いという意味でも。どうしても、何かをしたい。
彼はそんな考えを宿しており、腕組みをして思案を始めました。
「アルフレッド君とリル君は、2人ならではの式を挙げようとしている。したがって、場所や内容などに首を突っ込むのは不可能……」
ならば、どうする?
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「…………2人の邪魔にならない部分で、協力できる方法は……。準備のサポートをする人間を、何名か派遣して――否。却下だ」
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「したらば……………………。なにが、よい……?」
考えろ。考えるのだ。
思い出せ。思い出すのだ。
メドスよ。お前が式を挙げた時、困った事はなかったか? 不便だと感じた事はなかったか?
「わたしの時は……。わたしの時は………………………………………………っ!! そうだ……っ。そうだった……っっ」
ウェディングドレス。
そんな9文字が、彼の頭に浮かび上がりました。
「ウェディングドレスの用意は、かなりの時が必要だった……。故にそこが、数少ない支援可能なポイントとなる……!!」
わたしの力を総動員すれば、所要時間を大幅に短縮できる。
今の2人は、一日も早い結婚を望んでいるのだから………………。そうすれば喜んでもらえる!
「これだ……っ。これだ……っっ。…………ケビンっ、来てくれっ!」
メドスは大急ぎで従者を呼び寄せ、指示を出します。
嬉々とした彼の口から出た内容は、
これから2人に、介入の許可を取ってきて欲しい。
ウエディングドレスをとにかく早く用意できるよう、その手の関係者に手当たり次第声をかけて欲しい。
勿論、クオリティーは最優先。質と時間を維持できるように頼んで欲しい。
予算は、なし。どれだけ掛かっても構わない。
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