72 / 74
補完編その3 アルフレッド。始まりの日 アルフレッド視点(1)
しおりを挟む
「………………………………………………」
リルが、王宮に行ってしまった――。
そんな出来事があったのは、7時間前。
「………………………………………………」
その時から俺は、ずっとこうしてる。
自室のベッドで大の字になって、天井を眺め続けている。恐ろしいくらいに大量の虚無感に襲われ、抜け殻のように天井を眺め続けている。
「………………………………………………。結局、変わらなかったな。何をやっても、無駄だったな……」
リルの言動が不自然になってから、色々と動いた。
幼馴染は『本心』と言ってたけどそれは大ウソで、ずっと『彼女がいたい場所』にいられるよう努力してみた。
「………………………………………………。でも、駄目だった」
相手が、大き過ぎた。
敵はこの国の頂点・王家で、こっちは伯爵家。
こちらがアレコレ頭を使って崩そうとしても、あちらは圧倒的な力でねじ伏せてくる。
「………………………………………………。こんなの、どうしようもない。勝てるはずがないじゃないか」
そんなことを呟いていたら、勝手に涙が零れてきた。
悔し涙。すっかりお馴染みとなったもの。
今日までにおかしくなってしまうくらい泣いて、もう出なくなったと思っていたのに。そいつは間違いだったようだ。
「………………くそ。………………くそぉ……っ。なんなんだよ、この状況は……っ。誰か、全部悪い夢だって言ってくれよ……っ」
リルが嫌々、心にもない台詞を口にさせられたり――。自分の意思は無視されて、王太子エメリックと婚約させられたり――。やがては王太子エメリックと結婚させられて、そんなヤツと生涯暮らすことにさせられたり――。
酷いことばかりだ。滅茶苦茶だ。
だから、頼む……。頼むよ……!
これは悪夢だと、言ってくれ。目の前の光景にヒビが入って割れて、あの頃のような楽しい毎日に戻ってくれ……!!
「………………………………………………。………………………………。は、ははは。ははははは……。そうだよな。覚めないよな。だってここは、夢じゃないんだもんな……」
分かっていたことだけど、分かりたくなかった。認めたくなった。
けどさ……。
景色が割れてくれないし、頬っぺたを抓ったら痛いし、あれから何度も寝て起きててさ……。
もう……。認めるしかない……。
ここは、現実。これも現実なんだって。
「………………………………………………。俺って、嘘つきだよな……」
『俺、リルが好きだ! 大好きだ! だからずっとずっと、一緒にいてくれ! 何があっても、リルを守るからっ! 生涯君を笑顔にすると誓うからっ! 俺と、恋人になってください!』
アオプ湖で約束したのに、このザマ。口だけの男だった。
「………………………………………………。嘘つきに、なりたくない……。リルを守りたい……」
でもそれは、叶わない。
この問題に、気持ちなんて関係ない。プラス要素にもマイナス要素にもなってはくれない。
だって、方法がないんだ……!
あれこれ手を打って、全部ダメだったんだ……!
これも、認めたくないけど認めるしかない。
俺は無様にずっと、死ぬまで……。こうやって、悔し涙を呑むことしかできない――
「まて、よ。待てよ……」
悔し涙。
これは……っ!
リルが、王宮に行ってしまった――。
そんな出来事があったのは、7時間前。
「………………………………………………」
その時から俺は、ずっとこうしてる。
自室のベッドで大の字になって、天井を眺め続けている。恐ろしいくらいに大量の虚無感に襲われ、抜け殻のように天井を眺め続けている。
「………………………………………………。結局、変わらなかったな。何をやっても、無駄だったな……」
リルの言動が不自然になってから、色々と動いた。
幼馴染は『本心』と言ってたけどそれは大ウソで、ずっと『彼女がいたい場所』にいられるよう努力してみた。
「………………………………………………。でも、駄目だった」
相手が、大き過ぎた。
敵はこの国の頂点・王家で、こっちは伯爵家。
こちらがアレコレ頭を使って崩そうとしても、あちらは圧倒的な力でねじ伏せてくる。
「………………………………………………。こんなの、どうしようもない。勝てるはずがないじゃないか」
そんなことを呟いていたら、勝手に涙が零れてきた。
悔し涙。すっかりお馴染みとなったもの。
今日までにおかしくなってしまうくらい泣いて、もう出なくなったと思っていたのに。そいつは間違いだったようだ。
「………………くそ。………………くそぉ……っ。なんなんだよ、この状況は……っ。誰か、全部悪い夢だって言ってくれよ……っ」
リルが嫌々、心にもない台詞を口にさせられたり――。自分の意思は無視されて、王太子エメリックと婚約させられたり――。やがては王太子エメリックと結婚させられて、そんなヤツと生涯暮らすことにさせられたり――。
酷いことばかりだ。滅茶苦茶だ。
だから、頼む……。頼むよ……!
これは悪夢だと、言ってくれ。目の前の光景にヒビが入って割れて、あの頃のような楽しい毎日に戻ってくれ……!!
「………………………………………………。………………………………。は、ははは。ははははは……。そうだよな。覚めないよな。だってここは、夢じゃないんだもんな……」
分かっていたことだけど、分かりたくなかった。認めたくなった。
けどさ……。
景色が割れてくれないし、頬っぺたを抓ったら痛いし、あれから何度も寝て起きててさ……。
もう……。認めるしかない……。
ここは、現実。これも現実なんだって。
「………………………………………………。俺って、嘘つきだよな……」
『俺、リルが好きだ! 大好きだ! だからずっとずっと、一緒にいてくれ! 何があっても、リルを守るからっ! 生涯君を笑顔にすると誓うからっ! 俺と、恋人になってください!』
アオプ湖で約束したのに、このザマ。口だけの男だった。
「………………………………………………。嘘つきに、なりたくない……。リルを守りたい……」
でもそれは、叶わない。
この問題に、気持ちなんて関係ない。プラス要素にもマイナス要素にもなってはくれない。
だって、方法がないんだ……!
あれこれ手を打って、全部ダメだったんだ……!
これも、認めたくないけど認めるしかない。
俺は無様にずっと、死ぬまで……。こうやって、悔し涙を呑むことしかできない――
「まて、よ。待てよ……」
悔し涙。
これは……っ!
12
あなたにおすすめの小説
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
婚約破棄された公爵令嬢ですが、戻らなかっただけです
鷹 綾
恋愛
王太子カイル殿下から、社交界の場で婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リュシエンヌ。
理由は――
「王太子妃には華が必要だから」。
新たに選ばれたのは、愛らしく無邪気な義妹セシリア。
誰もが思った。
傷ついた令嬢は泣き、縋り、やがて戻るのだと。
けれどリュシエンヌは、ただ一言だけ告げる。
「戻りません」
彼女は怒らない。
争わない。
復讐もしない。
ただ――王家を支えるのをやめただけ。
流通は滞り、商会は様子を見始め、焦った王太子は失点を重ねる。
さらに義妹の軽率な一言が決定打となり、王太子妃候補の座は静かに消えた。
強いざまあとは、叫ぶことではない。
自らの選択で、自らの立場を削らせること。
そして彼女は最後まで戻らない。
支えない。
奪わない。
――選ばれなかったのではない。
彼女が、選ばなかったのだ。
これは、沈黙で勝つ公爵令嬢の物語。
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる