婚約破棄ですか? ありがとうございます!

柚木ゆず

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補完編その3 アルフレッド。始まりの日  アルフレッド視点(2)

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「方法がない。本当に……?」

 垂れてきていた悔し涙しょっぱい水滴を飲んだ俺は、跳ねるように飛び起きた。
 涙はすっかり枯れていて、出ないと思った。けど今、こうやって出ているんだ。

 そっちも、同じじゃないのか?

 方法がないと、思い込んでいるだけ。
 実際にはどこかに存在していて、俺が見つけられていないだけじゃないのか?

「…………涙が、出たんだ。その可能性はある」

 そう感じた瞬間、俺の脳が再び動き出す。

「………………改めて、状況の整理をしよう」

 こっちは伯爵家で、あっちは王族。国王夫婦の全面的なサポートを受けられる、王太子。
 ソイツを――違う。3人全員ソイツらを、黙らせるには……。どうすればいい……?

「リルはきっと、王族からの攻撃を恐れて従っている。つまりサートル家とウチが攻撃をされてないようにすれば、従う必要はなくなる」

 ただ、それは不可能に近い。
 貴族の中でも伯爵家は中位で、その中でもウチもサートル家は中の下程度。そんな力はない。

「じゃあ、別の方法だ。そっちが無理なら、別の角度から探ればいいだけだ!」

 希望の光を掴めるかもしれない――。ソレはとても小さな可能性だけれど、例え0・1%だったとしても、『あるかもしれない』んだ。
 それがもたらしてくれるエネルギーは強大で、俺は休まず考え続けた。

「坊ちゃま……。夕食の準備が整いました」
「すみません、レナモさん。答えが出るまで、ここで独りにさせてください」

「アルフレッド……。何か腹に入れておかないと、体を壊してしまうぞ……?」
「大丈夫だよ、父さん。今の俺には、食べてる暇も体を壊してる暇もないから」

 そうやってベッドの上で思案を続けて、太陽が再び高々と昇った頃だった。俺の中に、一つの案が生まれた。


 その案の名前は、クーデター。


 守りではなく、攻めの発想。
 攻撃に耐えられないなら、やられる前に倒せ。それが、リルとの約束を守れる唯一の方法。

「…………婚約に関する『悪事』は表沙汰になっていないけど、元々貴族内には王家に対する不満はあった。正義感の強い貴族に持ち掛ければ、勝算はある……!」

 すでに計画の工程は、頭の中で出来上がっている。
 味方を増やしていって、数が増えれば賛同者も増える。そうやって結束していけば、貴族でも王族を倒せる!

「……………………リル、待っててくれ。必ず、助けるから」

 俺は窓の外――王宮に向かって誓いを立て、ベッドから降りて部屋を飛び出す。こうして幼馴染を取り戻す戦いが始まり、その10か月後。
 ようやく俺は、約束を果たせたのだった。

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